ステーキを売るな、○○を売れ!

2012.07.26

(2012年7月26日メルマガより)


■「ステーキを売るな シズルを売れ!」という本が出ていますね。

http://amazon.co.jp/o/ASIN/4775941054/lanchesterkan-22/ref=nosim

著者のエルマー・ホイラー(1903-1968)は、伝説の営業コンサルタントです。

「ステーキを売るな シズルを売れ!」という言葉は、営業や広告に携わる人なら一
度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

まさにこの本は、ホイラーの秘伝を書き記した本です。

初出は1937年。営業ノウハウ本の古典中の古典。

今回は、この本を紹介したいと思います。

■私は基本的に古典を読むことが好きです。

古くさい、現代に合わない、と嫌う人も多いでしょうし、その側面も確かにあるので
すが、代えがたい良さもあります。

一つは、時代を経て読み継がれてきたという内容の完成度の高さ。

昨日出た本の評価は自分でしなければなりませんが、30年経っても読まれている本
の評価は、多くの先人がしてくれているので、安心して読めます。

もう一つは、それだけ評価された本は、他の多くの本や理論に影響を与えていますか
ら、その原点を確認することができます。

正直にいって、ランチェスター戦略にしろドラッカーにしろ、内容を水増ししたとし
か評価できない類似本が数多く出ています。

著者は自分のオリジナル色を出そうとするものですから、それが原典の持つ体系性を
損なってしまっている場合も多々あります。

だから評価の定まった古典を読むことは意味があると思うのです。

■さて「ステーキを売るな シズルを売れ!」のシズルとは何か。

これはステーキを焼くジュージューという音を指しています。

ステーキを売るのに、肉の品質をいくら説明しても顧客には響きません。ジュージュ
ーという音を聞いてもらう方が余程効果があります。

シャンパンなら泡。コーヒーなら風味。チーズなら匂い。

商品にはそれぞれ顧客に響くポイントがあります。それをホイラーはシズルと呼んだ
わけです。

■ちなみにシズルのことを「五感」と捉える向きもありますが、厳密には違います。

あくまで顧客から見た商品をどうしても買いたくなる理由を指します。

食品の場合は、味や匂い見た目などの五感に訴えかけるポイントが多くなるという
けです。

掃除機なら、使い勝手や手間のかからなさなどもシズルの一つです。

■売り手の多くは、顧客よりも扱っている商品をよく知っているものですから、数多
くのメリットが頭に浮かびます。

優秀な人は、ライバル会社の商品もよく研究していますから、それとの比較も頭に入
っています。

営業がプレゼンする時は、つい商品知識を披露したくなるのですが、顧客とすればそ
のような細かい特長を言われてもピンとこない場合があります。

携帯電話の機能などその典型ですね。

だからホイラーは、顧客の立場から商品を見る能力が必要だと説きます。

顧客の立場から心に響くポイントを書き出して、それを強く響く順番に並べればよい
と言っています。

名言ですね。

■ホイラーは、セールストークを徹底して研究し、10万5000に及ぶトークと
1900万人の反応から、売るための法則を導き出したといわれています。

その強さは「セールストーク」という分野に自分の関心と能力を集中させたこと。

だから、この本も、徹頭徹尾、売れるトーク術に終始しています。

その徹底ぶりがすごい。

セールストークを扱った本は多くありますが、今から70年以上前に書かれたこの本
の体系性と豊富な事例は、群を抜いていると感じます。

セールストーク本は、これ一冊でOKだと、私は思います。

■ちなみにホイラーは「5つの公式」をこの本の中で提示しています。

1つめは、上に述べた「ステーキを売るな、シズルを売れ!」

シズルとは、顧客から見た商品を買う「理由」のこと。

シズルを提示することが売れるセールストークの鍵となります。

■2つめは「手紙を書くな、電報を打て!」

いくら素晴らしいシズルを用意していたとしても、それを長々と時間をかけて説明し
ていては、顧客はダレてしまいます。

だから電報を打て!とは、短い10語程度のフレーズにまとめて、顧客に提示せよとい
う教えです。

■3つめは「花を添えて言え!」

素晴らしいフレーズがあったとしても、それだけでは弱い。フレーズを強化するよう
な演出が必要だ。それを「花を添える」と喩えます。

それは声かもしれないし、動作かもしれない。音楽かも知れないし、雰囲気のいい場
所かも知れない。

フレーズに花を添えることで、よりセールストークは強化されます。

■4つめは「もしもと聞くな、どちらと聞け!」

これはクロージングの際の教えです。

「もしも、この商品がお気に召したとしたら、いくらぐらいなら予算計上できますか」
などと曖昧な質問をしてしまうと顧客に迷わせることになってしまいます。

「Aという商品と、Bという商品ならどちらを購入されますか?」と二者択一を迫り、
取りこぼしのないようにしようという教えです。

■5つめは「吠え声に気をつけろ!」

犬は、吠え方一つで感情を表します。

だからセールストークも、話す内容だけではなく、話し方、声のトーン、スピードな
ど感情に注意して話さなければならないという注意です。

■まあ、今から見れば、少々怪しげな公式もあります。

顧客に十分考えさせないで、とりあえず売ってしまおうという心性につながる気がし
ないでもない...

まあ、そのへんは大目に見てください。あくまで使う者のモラルに任せましょう。

■さらにホイラーは3つの原則なるものも提示しています。

1つめは「平均の法則」

人の心は多様ですから、個人ごとに違うシズルを持っているはず。しかし、全体的に
見てみると、平均的に皆が持っているシズルというものがある。

それが平均の法則です。

だから、セールストークは一部のカリスマだけが顧客の反応を見ながら使いこなすも
のではなく、大勢の一般的な営業が使えるような言葉に集約することができます

■2つめは「XYZの公式」

Xとは、渇きとか空腹とか安心安全など原初的な欲求に基づく購買動機のこと。

Yとは、衣食足りた後のレジャーに行きたいロマンスがほしい冒険したいなどといっ
た二番目の欲求に基づく購買動機のこと。

Zとは、金銭がほしい、あるいは節約したいという動機のこと。

シズルはこの3つのうちのどれかに当てはまっていなければならないという公式です。

この3つの分類は少々乱暴かもしれません。マズローの5段階欲求を当てはめてみて
も、その意図するところは変わりません。

ただしホイラーは「やたらたくさんのルールや公式で混乱させてはならない」だから
単純な3つで考えろと説きます。

■3つめは「AとBのルール」

Aとは、営業のいう主張のこと。

Bとは、その根拠のこと。

要するに、メッセージに説得力を持たせるには、証拠が必要だと言っています。

例えば「履き心地のいい靴下」を勧めたいなら、手で触ってもらって、履いてもらえ
と言っています。

■いかがでしょうか。

上記を聞くと、現在のセールストークテクニックの大部分がそこに入っていると思
ませんか。

ちなみに、この本では、最初に5つの公式と3つの原則を示し、あとはひたすら実例
に費やされています。

1600万人に試したという経験量を誇るホイラーの面目躍如といった感があり、圧
倒されること間違いありません。

いつも思うのですが、実践ノウハウを豊富に持ち、しかもそれを体系化できる人は、
その分野で相当の経験と労力を積んできた人というだけでなく、自分の分野を客観的
に捉え、全体の中で的確に位置づけできる人です。

そうじゃないと、経験論を越えるノウハウ体系を作ることはできません。

本当に偉い。尊敬しますね。

■ちなみに私は「戦略」をフィールドにしていますから、コンサルティングの際に、
この本のような実践ノウハウをお伝えすることはありません。

営業コンサルタントというと、実践ノウハウを求められることも多いのですが、私が
お伝えするのは、戦略の作り方であり、フレームワークであり、それがチームに浸透
し、機能するようになるまでの執拗なサポートです。

ノウハウを求める方のご期待には副えませんが、それが選んだ道ですので、ご了承く
ださい。

ノウハウを教えてくれと言われれば、良書を紹介するようにしています。

その一つが今回の本です。

セールストークに関する本なら、まずは、こちらをお勧めいたします。

ご興味のある方は、一読してみてください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今日は、ちょうど、「営業入門セミナー」の講師を務めておりました。

私は、営業の仕事をセールストークに特化するのではなく、もうすこし全体的に捉え
ています。

今日のセミナーを聞かれた方なら、エルマー・ホイラーの公式が、営業全体のどの部
分に当てはまるのかをご理解していただけると思います。

■当然ながら、セールストークだけで、営業力を強化するには無理があります。トー
クはあくまで営業活動の一部分です。

そして、営業が行う活動全体も、もっと大きな戦略の中の一環として位置づけられて
います。

その体系を理解しなければ、成績を上げ続けることはできないと考えています。

このメルマガでは、繰り返し、その体系に言及してきたつもりですし、これから紹介
するアイデアやノウハウも体系の中に位置付けて説明していきたいと思います。

今後もご愛顧いただきますようにお願いいたします。




(2012年7月26日メルマガより)


■「ステーキを売るな シズルを売れ!」という本が出ていますね。

http://amazon.co.jp/o/ASIN/4775941054/lanchesterkan-22/ref=nosim

著者のエルマー・ホイラー(1903-1968)は、伝説の営業コンサルタントです。

「ステーキを売るな シズルを売れ!」という言葉は、営業や広告に携わる人なら一
度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

まさにこの本は、ホイラーの秘伝を書き記した本です。

初出は1937年。営業ノウハウ本の古典中の古典。

今回は、この本を紹介したいと思います。

■私は基本的に古典を読むことが好きです。

古くさい、現代に合わない、と嫌う人も多いでしょうし、その側面も確かにあるので
すが、代えがたい良さもあります。

一つは、時代を経て読み継がれてきたという内容の完成度の高さ。

昨日出た本の評価は自分でしなければなりませんが、30年経っても読まれている本
の評価は、多くの先人がしてくれているので、安心して読めます。

もう一つは、それだけ評価された本は、他の多くの本や理論に影響を与えていますか
ら、その原点を確認することができます。

正直にいって、ランチェスター戦略にしろドラッカーにしろ、内容を水増ししたとし
か評価できない類似本が数多く出ています。

著者は自分のオリジナル色を出そうとするものですから、それが原典の持つ体系性を
損なってしまっている場合も多々あります。

だから評価の定まった古典を読むことは意味があると思うのです。

■さて「ステーキを売るな シズルを売れ!」のシズルとは何か。

これはステーキを焼くジュージューという音を指しています。

ステーキを売るのに、肉の品質をいくら説明しても顧客には響きません。ジュージュ
ーという音を聞いてもらう方が余程効果があります。

シャンパンなら泡。コーヒーなら風味。チーズなら匂い。

商品にはそれぞれ顧客に響くポイントがあります。それをホイラーはシズルと呼んだ
わけです。

■ちなみにシズルのことを「五感」と捉える向きもありますが、厳密には違います。

あくまで顧客から見た商品をどうしても買いたくなる理由を指します。

食品の場合は、味や匂い見た目などの五感に訴えかけるポイントが多くなるという
けです。

掃除機なら、使い勝手や手間のかからなさなどもシズルの一つです。

■売り手の多くは、顧客よりも扱っている商品をよく知っているものですから、数多
くのメリットが頭に浮かびます。

優秀な人は、ライバル会社の商品もよく研究していますから、それとの比較も頭に入
っています。

営業がプレゼンする時は、つい商品知識を披露したくなるのですが、顧客とすればそ
のような細かい特長を言われてもピンとこない場合があります。

携帯電話の機能などその典型ですね。

だからホイラーは、顧客の立場から商品を見る能力が必要だと説きます。

顧客の立場から心に響くポイントを書き出して、それを強く響く順番に並べればよい
と言っています。

名言ですね。

■ホイラーは、セールストークを徹底して研究し、10万5000に及ぶトークと
1900万人の反応から、売るための法則を導き出したといわれています。

その強さは「セールストーク」という分野に自分の関心と能力を集中させたこと。

だから、この本も、徹頭徹尾、売れるトーク術に終始しています。

その徹底ぶりがすごい。

セールストークを扱った本は多くありますが、今から70年以上前に書かれたこの本
の体系性と豊富な事例は、群を抜いていると感じます。

セールストーク本は、これ一冊でOKだと、私は思います。

■ちなみにホイラーは「5つの公式」をこの本の中で提示しています。

1つめは、上に述べた「ステーキを売るな、シズルを売れ!」

シズルとは、顧客から見た商品を買う「理由」のこと。

シズルを提示することが売れるセールストークの鍵となります。

■2つめは「手紙を書くな、電報を打て!」

いくら素晴らしいシズルを用意していたとしても、それを長々と時間をかけて説明し
ていては、顧客はダレてしまいます。

だから電報を打て!とは、短い10語程度のフレーズにまとめて、顧客に提示せよとい
う教えです。

■3つめは「花を添えて言え!」

素晴らしいフレーズがあったとしても、それだけでは弱い。フレーズを強化するよう
な演出が必要だ。それを「花を添える」と喩えます。

それは声かもしれないし、動作かもしれない。音楽かも知れないし、雰囲気のいい場
所かも知れない。

フレーズに花を添えることで、よりセールストークは強化されます。

■4つめは「もしもと聞くな、どちらと聞け!」

これはクロージングの際の教えです。

「もしも、この商品がお気に召したとしたら、いくらぐらいなら予算計上できますか」
などと曖昧な質問をしてしまうと顧客に迷わせることになってしまいます。

「Aという商品と、Bという商品ならどちらを購入されますか?」と二者択一を迫り、
取りこぼしのないようにしようという教えです。

■5つめは「吠え声に気をつけろ!」

犬は、吠え方一つで感情を表します。

だからセールストークも、話す内容だけではなく、話し方、声のトーン、スピードな
ど感情に注意して話さなければならないという注意です。

■まあ、今から見れば、少々怪しげな公式もあります。

顧客に十分考えさせないで、とりあえず売ってしまおうという心性につながる気がし
ないでもない...

まあ、そのへんは大目に見てください。あくまで使う者のモラルに任せましょう。

■さらにホイラーは3つの原則なるものも提示しています。

1つめは「平均の法則」

人の心は多様ですから、個人ごとに違うシズルを持っているはず。しかし、全体的に
見てみると、平均的に皆が持っているシズルというものがある。

それが平均の法則です。

だから、セールストークは一部のカリスマだけが顧客の反応を見ながら使いこなすも
のではなく、大勢の一般的な営業が使えるような言葉に集約することができます

■2つめは「XYZの公式」

Xとは、渇きとか空腹とか安心安全など原初的な欲求に基づく購買動機のこと。

Yとは、衣食足りた後のレジャーに行きたいロマンスがほしい冒険したいなどといっ
た二番目の欲求に基づく購買動機のこと。

Zとは、金銭がほしい、あるいは節約したいという動機のこと。

シズルはこの3つのうちのどれかに当てはまっていなければならないという公式です。

この3つの分類は少々乱暴かもしれません。マズローの5段階欲求を当てはめてみて
も、その意図するところは変わりません。

ただしホイラーは「やたらたくさんのルールや公式で混乱させてはならない」だから
単純な3つで考えろと説きます。

■3つめは「AとBのルール」

Aとは、営業のいう主張のこと。

Bとは、その根拠のこと。

要するに、メッセージに説得力を持たせるには、証拠が必要だと言っています。

例えば「履き心地のいい靴下」を勧めたいなら、手で触ってもらって、履いてもらえ
と言っています。

■いかがでしょうか。

上記を聞くと、現在のセールストークテクニックの大部分がそこに入っていると思
ませんか。

ちなみに、この本では、最初に5つの公式と3つの原則を示し、あとはひたすら実例
に費やされています。

1600万人に試したという経験量を誇るホイラーの面目躍如といった感があり、圧
倒されること間違いありません。

いつも思うのですが、実践ノウハウを豊富に持ち、しかもそれを体系化できる人は、
その分野で相当の経験と労力を積んできた人というだけでなく、自分の分野を客観的
に捉え、全体の中で的確に位置づけできる人です。

そうじゃないと、経験論を越えるノウハウ体系を作ることはできません。

本当に偉い。尊敬しますね。

■ちなみに私は「戦略」をフィールドにしていますから、コンサルティングの際に、
この本のような実践ノウハウをお伝えすることはありません。

営業コンサルタントというと、実践ノウハウを求められることも多いのですが、私が
お伝えするのは、戦略の作り方であり、フレームワークであり、それがチームに浸透
し、機能するようになるまでの執拗なサポートです。

ノウハウを求める方のご期待には副えませんが、それが選んだ道ですので、ご了承く
ださい。

ノウハウを教えてくれと言われれば、良書を紹介するようにしています。

その一つが今回の本です。

セールストークに関する本なら、まずは、こちらをお勧めいたします。

ご興味のある方は、一読してみてください。

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■今日は、ちょうど、「営業入門セミナー」の講師を務めておりました。

私は、営業の仕事をセールストークに特化するのではなく、もうすこし全体的に捉え
ています。

今日のセミナーを聞かれた方なら、エルマー・ホイラーの公式が、営業全体のどの部
分に当てはまるのかをご理解していただけると思います。

■当然ながら、セールストークだけで、営業力を強化するには無理があります。トー
クはあくまで営業活動の一部分です。

そして、営業が行う活動全体も、もっと大きな戦略の中の一環として位置づけられて
います。

その体系を理解しなければ、成績を上げ続けることはできないと考えています。

このメルマガでは、繰り返し、その体系に言及してきたつもりですし、これから紹介
するアイデアやノウハウも体系の中に位置付けて説明していきたいと思います。

今後もご愛顧いただきますようにお願いいたします。




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