阪神タイガースは暗黒時代に戻っていくのか

2013.01.10

(2013年1月10日メルマガより)


■「阪神タイガース 暗黒時代再び」という本が出ていますね(-_-#)

http://amazon.co.jp/o/ASIN/4800202949/lanchesterkan-22/ref=nosim

著者は野村克也。おなじみの野村本です。

正月から買ってしまいました。いつも内容が同じなので、もうやめておこうと思うのです
が、つい買ってしまう。これは病気ですな...

ただし、今回の本は、いつものような昔話の繰り返しは控えめです。今の選手や監督の話題
にページを割いています。

■とはいいながら、書いてあることは、常々野村氏が言っていることと同じです。

このままでは阪神タイガースは再び暗黒時代に逆戻りになってしまう!」という警告で
すね。

その理由としては、

1.フロントに長期的な展望がない。だから監督がころころ変わる。正捕手が育たない。

2.マスコミが強すぎる。だから若手選手が勘違いして育たない。監督も辞めさせられる。

3.OBが権力を持ちすぎる。だから派閥が出来て、監督が思うように采配できない。

4.それもこれもひっくるめてファンが甘すぎる。だからフロントもマスコミもOBもいい
加減になる。

つまり「フロント」「マスコミ」「OB」「ファン」の四重苦ですわ。

■野村氏は「阪神タイガースの監督を引き受けたことは失敗だった」と発言しています。
それなのに、この執拗な警告・提言は、まことにありがたきことですな^^

関西のテレビ番組で野村氏は、フロントの無策の一端として、スカウトの無能さを上げて
いました。

なんと、以前、阪神のスカウトは、自分が推薦した選手が入団するとボーナスをもらえた
そうです。

間違ったインセンティブの典型ですな。そんなことをすると、スカウトは他球団と競合し
ない安全パイのような選手ばかりを推薦するようになりますから。

ヤクルトの監督時代「阪神の指名選手は無視してよい」と嗤っていたそうですよ。

■そんな野村氏の有難いご指導もあって、阪神タイガースのスカウトも変わってきたので
しょうね。

昨年は、関係者がびっくりするような見事なドラフト会議をやってのけましたから^^

参考:「2012年ドラフト会議を徹底検証。 阪神の上手い指名を初めて見た!」
http://number.bunshun.jp/articles/-/288505/

まあ、このことは、いつかのメルマガに書かせていただきましたね。

ただ、今回のドラフト会議がたまたまうまくいったというのでは困りますからね。これを
永続的にしていただきたいものです。

■ドラフト会議というのはご存じのとおり、その年に入団可能な新人選手の指名権を決める
会議です。

同じ選手が欲しいと複数の球団が重なれば、くじ引きで決めます。

有望選手には4,5球団が競合しますから、思い通りにいかないのがこの会議です。

それだけにドラマチックなんですが。

■もちろん、くじ運だけで、よい選手がとれるというわけではありません。くじ引きになる
のは一部の有望選手だけで、あとは各球団が思い思いの選手を指名することになります。

実際のところ、スカウトの眼力が試されるのは、2位以下の指名選手においてです。いか
に他球団が目をつけない有望選手を開拓するかに、スカウトの能力がかかっています。

指名した選手がプロとして通用するようになれば、その後のチーム編成がずいぶん楽にな
ります。

ところが、せっかく入団した新人選手が育たないと、チームを運営するためには、その
ポジションの選手を他球団からもらってこなければなりません。

当然、自球団で育てるよりも、費用がかかります。

■金満球団の代表だといわれているのが読売巨人軍です。

巨人のお金の掛け方は半端ではありません。必要と思うなら、金に糸目はつけません。

その分、結果も残しています。この5年でみれば、優勝3回。3位が2回。日本シリーズ
出場3回です。

まあ、お金をかけているのだから、順当といえば順当ですね。

■では、わが阪神タイガースはといえば、この5年で、2位が2回。4位が2回。5位が
1回。日本シリーズ出場は1回もありません。

うーーん。もっとお金をかけていい選手を集めろよーー

と思っていたら、なんと2011年、2012年とも、選手年棒総額は、12球団中、
巨人を抜いて堂々の1位。5年間の年棒総額順位平均では、1.8位。(巨人は1.4位)

お金をかけているわりには結果が出ていないじゃないかーーー(-"-)

この5年で優勝2回。2位が2回。3位が1回。日本シリーズ出場が2回の中日はという
と...5年間の年棒総額順位平均は、3.4位です。

いかに阪神のコストパフォーマンスが悪いかをわかっていただけるでしょうか...

■ちなみに中日ドラゴンズのドラフト戦略には定評があります。

参考:地元の逸材はガッチリ押さえる!!中日ドラフト指名戦略の凄味。
http://number.bunshun.jp/articles/-/317836/

これは東海地区に拠点を置いているという地の利もあります。地元志向の球児が多いらしい。

同じようにソフトバンクも九州出身の選手を優先指名するという特徴を持っています。

だからこそ地元の選手をじっくり見ることができて、有望な選手を見極めることにつなが
るわけです。

これに対して、関東の球団は地元を優先しづらい。球団数が多く、優先したとしても、競合
になる可能性が高いからです。

■では、関西の球団はどうか。

阪神タイガースは全国区球団であるというビジョンがあるためか、地元志向ではありません。

これは巨人と同じですね。

全国から有望選手を連れてくるという方針です。

オリックスはどうかといえば、実はこちらも地元志向ではないようです。

記事では、関西の球児が必ずしも地元志向ではないと書かれていますが、本当でしょうか?
少なくとも、オリックスぐらいは、地元の有望選手を発掘するという姿勢を持たないと、
関西の埋もれた逸材が浮かばれないと思うのですが、いかがですかね。

それはともかく、全国区球団を自認するわが阪神タイガースは、他球団以上にスカウトに
力を入れないと、地元密着の球団にはとてもかなわないということです。

まったく。しっかりしてくださいよーー

■昨年末のドラフト会議で、阪神タイガースは藤浪晋太郎と北條史也という二人の逸材を
指名しました。

まあ、2年分の1位指名を1年でやったようなもんですよ。素晴らしい。

ところが、玄人筋に言わせると、今回のドラフト対象選手の素質でいえば、やはり大谷翔平
には劣るということです。

その「メジャーリーグに行くから指名しないでくれ」という大谷を強行指名し、見事、入団
にまでもっていったのが、日本ハムです。

こちらはさらに素晴らしいですね。

日本ハムは、北海道に拠点を置くため、地元球児だけではチーム編成が難しいという事情
があります。だから、こちらも全国に目を向けています。

しかも「その年で一番いい選手を指名する」という方針を貫いています。

記憶に新しいのは、2011年のドラフトで、巨人と相思相愛であると伝えられ、原監督
の甥でもあった菅野智之を指名し、くじ引きで交渉権を得たことです。

結果として菅野は入団しませんでしたが、日本ハムのブレない方針は評価できます。

■日本ハムはこの5年で、優勝2回。2位1回。3位1回。4位1回。日本シリーズ出場
2回です。

年棒総額平均は、12球団中6.4位です。実にコストパフォーマンスに優れています。

参考:常勝ハムの作り方。~パを制覇した"マネー・ボール"~
http://number.bunshun.jp/articles/-/289148

参考:日本ハムの強さの秘密。常勝の礎を築いた「7パーセント」のこだわり
http://bit.ly/XxWT16

日本ハムという球団は、確かにコストパフォーマンスを意識した組織運営を心がけている
ようです。

勝てばいいというわけではない。儲けなければ球団は維持できません。

7パーセントというのは、レギュラー選手以外が試合に出る割合なのだそうです。

極端にいうと、控え選手は7パーセントの価値しかないので、そこにコストを掛けるわけ
にはいきません。

レギュラー陣にはしっかりとお金をかけますが、控え選手は選手手全体にかけるコストの
7パーセントの枠内で獲得・育成しなければなりません。実際には、7%ということはな
いでしょうが、一定の枠を作っておかなければ歯止めがなくなります。

とすれば、高額なFA移籍選手に頼るのは不経済です。自軍で若い選手を育成しなければ
なりません。

だから日本ハムは、選手育成に力を入れることになります。実際、日本ハムは選手育成が
うまいと評判ですが、それは確固たる球団の方針に基づいています。

例えば、選手を育成するためには、経験を積ませる必要があります。具体的には2軍の試合
に多く出場させなければなりません。

だとすれば、ポジションあたりの選手数は限られてきます。いくらいい選手がいても、2軍
の試合に出せないのなら、育成できませんから。

だから、日本ハムのドラフト指名は「ファームの試合に出せるかどうか」という観点で見
ているようです。

このように日本ハムは、構造的にコストパフォーマンスの高い組織を作ろうとしていること
が分かります。

うらやましい。わが阪神タイガースもそれぐらい戦略的になってもらいたいものですな。

■それにしても日本ハムによる大谷翔平との交渉は見事でした。

参考:日本ハムファイターズが大谷選手に入団を決意させた資料をネットで公開
http://bit.ly/SgyWvB

まあでも、大人の交渉力をもってすれば、夢見がちな高校生を説得するのは簡単だったかも
知れません。

大谷側の利害でいえば、日本ハムを経由した方が利があることは明確です。

1.リスクは高い。高校生から直接メジャー挑戦した者で成功者は少ない。

2.リターンは変わらない。プロ野球を経てメジャーに行った選手でも力がある者は長い
期間活躍している。

3.パイオニアでもない。実は高校から直接行く者は多い。成功していないだけで。

大谷本人も納得したでしょうし、何よりご両親は、そんなリスクの高いことに子供を預け
たくないでしょうに。

もっとも、日本ハムのいう「マイナーリーグは過酷だ」というイメージは真実ではないと
いう意見もありますので、一応、載せておきます。

参考:マイナーリーグは本当に過酷なのか?大谷翔平がもし渡米していたら......。
http://number.bunshun.jp/articles/-/315202/

■しかし、そんな日本ハムにしてもどうしようもない現実があります。

力のある選手にとって、日本のプロ野球は、メジャーリーグのための通過点になりつつ
あります。

プロ野球側は、中途半端に現実を受け入れて、ポスティング制度などを作りましたが、
メジャー側はその制度に不満で、アマチュアを直接獲得するという手段に出ました。

彼らは実に戦略的です。日本の独立リーグに、直接声をかけて、メジャーリーグの下部組織
になるように働きかけています。

経営に苦しい独立リーグとすれば渡りに船ですし、プロ野球に漏れた選手たちも励みにな
るでしょう。

参考:独立リーグの現状 重い腰を上げたNPB
http://on-msn.com/s680c7

おそらくプロ野球側も、なんらかのルールを作って、それを阻止しようとするでしょうが、
そんなルール整備は、さらにメジャーリーグ挑戦の道筋を明白にしてしまいます。

まさにプロ野球自身が、メジャーリーグの2軍になってしまいます。

今回の日本ハムが大谷に提示した条件は、それに拍車をかけるものでしょう。

■ただし、プロ野球がメジャーリーグの2軍になってしまうという流れは、日本ハムに責任
のあることではありません。

プロ野球全体、今の制度でいえばコミッショナーが、責任を持って、戦略を示さなければ
ならないことです。

大きくいって、方向性は3つあります。

1.メジャーリーグと同じぐらいの規模になって、互恵関係を作る。

2.メジャーリーグの下部組織として、利益配分を受ける。

3.現状のプロ野球を守り、鎖国的な政策をとる。

上策は、1です。メジャーリーグが規模拡大を進めているので、プロ野球は、アジア諸国
を取り込んだ一つのリーグになって対抗しなければなりません。そうすれば、メジャーと
対等に交渉できます。

中策は、2です。今のままずるずると、こうなりそうな気配がしますね。メジャーは、さ
らにアジアをとりこんで、世界統一リーグという構想を打ち出すでしょう。当然ながら、
WBCと同じく、利益の殆どはメジャー側が得る仕組みになるでしょうが。

3は下策ですね。メジャー帰りの選手をプロ野球に復帰させないなどのルールを強化する
と、力のある者は、直接メジャーと契約するようになりますから、プロ野球は独立リーグ
のような立場になっていくでしょう。

どうも日本プロ野球のコミッショナーは、戦略を示す役割にあるとは思っていないようです。

読売新聞の主筆に問題があるのかどうかはわかりませんが、早晩、責任の所在を明らかに
して、戦略を立てリーダーシップを持って実行する者が出てこない限り、しょぼいプロ野
球になっていきそうですよ。

■プロ野球全体がそうなのだから、わが阪神タイガースに、戦略的になれ(長期的、全体的
視点でチーム作りをせよ)といっても無理なのかも知れませんな。

ここ数年、プロ野球・セリーグの観客動員数が落ちているのは、阪神タイガースの低迷が
原因らしい。

他球団は、それなりに頑張って、観客動員を維持しているのですよ。

参考:ファンの心をつかめるか。~プロ野球とJリーグの観客動員力~
http://number.bunshun.jp/articles/-/320591

星野監督の元で、選手を大幅に入れ替えて、阪神タイガースが生まれ変わったように強く
なったのは2003年のことでした。

もう一昔前のことなんですね...

10年で暗黒時代に逆戻りというのは、あまりにもお粗末ではないですか。

どうも坂井オーナーのやり口が内向きな体制固めと場当たり的な施策に見えて仕方ない今日
この頃ですが、長期的に強い組織を作っている途上であると信じたいものです。

(2013年1月10日メルマガより)


■「阪神タイガース 暗黒時代再び」という本が出ていますね(-_-#)

http://amazon.co.jp/o/ASIN/4800202949/lanchesterkan-22/ref=nosim

著者は野村克也。おなじみの野村本です。

正月から買ってしまいました。いつも内容が同じなので、もうやめておこうと思うのです
が、つい買ってしまう。これは病気ですな...

ただし、今回の本は、いつものような昔話の繰り返しは控えめです。今の選手や監督の話題
にページを割いています。

■とはいいながら、書いてあることは、常々野村氏が言っていることと同じです。

このままでは阪神タイガースは再び暗黒時代に逆戻りになってしまう!」という警告で
すね。

その理由としては、

1.フロントに長期的な展望がない。だから監督がころころ変わる。正捕手が育たない。

2.マスコミが強すぎる。だから若手選手が勘違いして育たない。監督も辞めさせられる。

3.OBが権力を持ちすぎる。だから派閥が出来て、監督が思うように采配できない。

4.それもこれもひっくるめてファンが甘すぎる。だからフロントもマスコミもOBもいい
加減になる。

つまり「フロント」「マスコミ」「OB」「ファン」の四重苦ですわ。

■野村氏は「阪神タイガースの監督を引き受けたことは失敗だった」と発言しています。
それなのに、この執拗な警告・提言は、まことにありがたきことですな^^

関西のテレビ番組で野村氏は、フロントの無策の一端として、スカウトの無能さを上げて
いました。

なんと、以前、阪神のスカウトは、自分が推薦した選手が入団するとボーナスをもらえた
そうです。

間違ったインセンティブの典型ですな。そんなことをすると、スカウトは他球団と競合し
ない安全パイのような選手ばかりを推薦するようになりますから。

ヤクルトの監督時代「阪神の指名選手は無視してよい」と嗤っていたそうですよ。

■そんな野村氏の有難いご指導もあって、阪神タイガースのスカウトも変わってきたので
しょうね。

昨年は、関係者がびっくりするような見事なドラフト会議をやってのけましたから^^

参考:「2012年ドラフト会議を徹底検証。 阪神の上手い指名を初めて見た!」
http://number.bunshun.jp/articles/-/288505/

まあ、このことは、いつかのメルマガに書かせていただきましたね。

ただ、今回のドラフト会議がたまたまうまくいったというのでは困りますからね。これを
永続的にしていただきたいものです。

■ドラフト会議というのはご存じのとおり、その年に入団可能な新人選手の指名権を決める
会議です。

同じ選手が欲しいと複数の球団が重なれば、くじ引きで決めます。

有望選手には4,5球団が競合しますから、思い通りにいかないのがこの会議です。

それだけにドラマチックなんですが。

■もちろん、くじ運だけで、よい選手がとれるというわけではありません。くじ引きになる
のは一部の有望選手だけで、あとは各球団が思い思いの選手を指名することになります。

実際のところ、スカウトの眼力が試されるのは、2位以下の指名選手においてです。いか
に他球団が目をつけない有望選手を開拓するかに、スカウトの能力がかかっています。

指名した選手がプロとして通用するようになれば、その後のチーム編成がずいぶん楽にな
ります。

ところが、せっかく入団した新人選手が育たないと、チームを運営するためには、その
ポジションの選手を他球団からもらってこなければなりません。

当然、自球団で育てるよりも、費用がかかります。

■金満球団の代表だといわれているのが読売巨人軍です。

巨人のお金の掛け方は半端ではありません。必要と思うなら、金に糸目はつけません。

その分、結果も残しています。この5年でみれば、優勝3回。3位が2回。日本シリーズ
出場3回です。

まあ、お金をかけているのだから、順当といえば順当ですね。

■では、わが阪神タイガースはといえば、この5年で、2位が2回。4位が2回。5位が
1回。日本シリーズ出場は1回もありません。

うーーん。もっとお金をかけていい選手を集めろよーー

と思っていたら、なんと2011年、2012年とも、選手年棒総額は、12球団中、
巨人を抜いて堂々の1位。5年間の年棒総額順位平均では、1.8位。(巨人は1.4位)

お金をかけているわりには結果が出ていないじゃないかーーー(-"-)

この5年で優勝2回。2位が2回。3位が1回。日本シリーズ出場が2回の中日はという
と...5年間の年棒総額順位平均は、3.4位です。

いかに阪神のコストパフォーマンスが悪いかをわかっていただけるでしょうか...

■ちなみに中日ドラゴンズのドラフト戦略には定評があります。

参考:地元の逸材はガッチリ押さえる!!中日ドラフト指名戦略の凄味。
http://number.bunshun.jp/articles/-/317836/

これは東海地区に拠点を置いているという地の利もあります。地元志向の球児が多いらしい。

同じようにソフトバンクも九州出身の選手を優先指名するという特徴を持っています。

だからこそ地元の選手をじっくり見ることができて、有望な選手を見極めることにつなが
るわけです。

これに対して、関東の球団は地元を優先しづらい。球団数が多く、優先したとしても、競合
になる可能性が高いからです。

■では、関西の球団はどうか。

阪神タイガースは全国区球団であるというビジョンがあるためか、地元志向ではありません。

これは巨人と同じですね。

全国から有望選手を連れてくるという方針です。

オリックスはどうかといえば、実はこちらも地元志向ではないようです。

記事では、関西の球児が必ずしも地元志向ではないと書かれていますが、本当でしょうか?
少なくとも、オリックスぐらいは、地元の有望選手を発掘するという姿勢を持たないと、
関西の埋もれた逸材が浮かばれないと思うのですが、いかがですかね。

それはともかく、全国区球団を自認するわが阪神タイガースは、他球団以上にスカウトに
力を入れないと、地元密着の球団にはとてもかなわないということです。

まったく。しっかりしてくださいよーー

■昨年末のドラフト会議で、阪神タイガースは藤浪晋太郎と北條史也という二人の逸材を
指名しました。

まあ、2年分の1位指名を1年でやったようなもんですよ。素晴らしい。

ところが、玄人筋に言わせると、今回のドラフト対象選手の素質でいえば、やはり大谷翔平
には劣るということです。

その「メジャーリーグに行くから指名しないでくれ」という大谷を強行指名し、見事、入団
にまでもっていったのが、日本ハムです。

こちらはさらに素晴らしいですね。

日本ハムは、北海道に拠点を置くため、地元球児だけではチーム編成が難しいという事情
があります。だから、こちらも全国に目を向けています。

しかも「その年で一番いい選手を指名する」という方針を貫いています。

記憶に新しいのは、2011年のドラフトで、巨人と相思相愛であると伝えられ、原監督
の甥でもあった菅野智之を指名し、くじ引きで交渉権を得たことです。

結果として菅野は入団しませんでしたが、日本ハムのブレない方針は評価できます。

■日本ハムはこの5年で、優勝2回。2位1回。3位1回。4位1回。日本シリーズ出場
2回です。

年棒総額平均は、12球団中6.4位です。実にコストパフォーマンスに優れています。

参考:常勝ハムの作り方。~パを制覇した"マネー・ボール"~
http://number.bunshun.jp/articles/-/289148

参考:日本ハムの強さの秘密。常勝の礎を築いた「7パーセント」のこだわり
http://bit.ly/XxWT16

日本ハムという球団は、確かにコストパフォーマンスを意識した組織運営を心がけている
ようです。

勝てばいいというわけではない。儲けなければ球団は維持できません。

7パーセントというのは、レギュラー選手以外が試合に出る割合なのだそうです。

極端にいうと、控え選手は7パーセントの価値しかないので、そこにコストを掛けるわけ
にはいきません。

レギュラー陣にはしっかりとお金をかけますが、控え選手は選手手全体にかけるコストの
7パーセントの枠内で獲得・育成しなければなりません。実際には、7%ということはな
いでしょうが、一定の枠を作っておかなければ歯止めがなくなります。

とすれば、高額なFA移籍選手に頼るのは不経済です。自軍で若い選手を育成しなければ
なりません。

だから日本ハムは、選手育成に力を入れることになります。実際、日本ハムは選手育成が
うまいと評判ですが、それは確固たる球団の方針に基づいています。

例えば、選手を育成するためには、経験を積ませる必要があります。具体的には2軍の試合
に多く出場させなければなりません。

だとすれば、ポジションあたりの選手数は限られてきます。いくらいい選手がいても、2軍
の試合に出せないのなら、育成できませんから。

だから、日本ハムのドラフト指名は「ファームの試合に出せるかどうか」という観点で見
ているようです。

このように日本ハムは、構造的にコストパフォーマンスの高い組織を作ろうとしていること
が分かります。

うらやましい。わが阪神タイガースもそれぐらい戦略的になってもらいたいものですな。

■それにしても日本ハムによる大谷翔平との交渉は見事でした。

参考:日本ハムファイターズが大谷選手に入団を決意させた資料をネットで公開
http://bit.ly/SgyWvB

まあでも、大人の交渉力をもってすれば、夢見がちな高校生を説得するのは簡単だったかも
知れません。

大谷側の利害でいえば、日本ハムを経由した方が利があることは明確です。

1.リスクは高い。高校生から直接メジャー挑戦した者で成功者は少ない。

2.リターンは変わらない。プロ野球を経てメジャーに行った選手でも力がある者は長い
期間活躍している。

3.パイオニアでもない。実は高校から直接行く者は多い。成功していないだけで。

大谷本人も納得したでしょうし、何よりご両親は、そんなリスクの高いことに子供を預け
たくないでしょうに。

もっとも、日本ハムのいう「マイナーリーグは過酷だ」というイメージは真実ではないと
いう意見もありますので、一応、載せておきます。

参考:マイナーリーグは本当に過酷なのか?大谷翔平がもし渡米していたら......。
http://number.bunshun.jp/articles/-/315202/

■しかし、そんな日本ハムにしてもどうしようもない現実があります。

力のある選手にとって、日本のプロ野球は、メジャーリーグのための通過点になりつつ
あります。

プロ野球側は、中途半端に現実を受け入れて、ポスティング制度などを作りましたが、
メジャー側はその制度に不満で、アマチュアを直接獲得するという手段に出ました。

彼らは実に戦略的です。日本の独立リーグに、直接声をかけて、メジャーリーグの下部組織
になるように働きかけています。

経営に苦しい独立リーグとすれば渡りに船ですし、プロ野球に漏れた選手たちも励みにな
るでしょう。

参考:独立リーグの現状 重い腰を上げたNPB
http://on-msn.com/s680c7

おそらくプロ野球側も、なんらかのルールを作って、それを阻止しようとするでしょうが、
そんなルール整備は、さらにメジャーリーグ挑戦の道筋を明白にしてしまいます。

まさにプロ野球自身が、メジャーリーグの2軍になってしまいます。

今回の日本ハムが大谷に提示した条件は、それに拍車をかけるものでしょう。

■ただし、プロ野球がメジャーリーグの2軍になってしまうという流れは、日本ハムに責任
のあることではありません。

プロ野球全体、今の制度でいえばコミッショナーが、責任を持って、戦略を示さなければ
ならないことです。

大きくいって、方向性は3つあります。

1.メジャーリーグと同じぐらいの規模になって、互恵関係を作る。

2.メジャーリーグの下部組織として、利益配分を受ける。

3.現状のプロ野球を守り、鎖国的な政策をとる。

上策は、1です。メジャーリーグが規模拡大を進めているので、プロ野球は、アジア諸国
を取り込んだ一つのリーグになって対抗しなければなりません。そうすれば、メジャーと
対等に交渉できます。

中策は、2です。今のままずるずると、こうなりそうな気配がしますね。メジャーは、さ
らにアジアをとりこんで、世界統一リーグという構想を打ち出すでしょう。当然ながら、
WBCと同じく、利益の殆どはメジャー側が得る仕組みになるでしょうが。

3は下策ですね。メジャー帰りの選手をプロ野球に復帰させないなどのルールを強化する
と、力のある者は、直接メジャーと契約するようになりますから、プロ野球は独立リーグ
のような立場になっていくでしょう。

どうも日本プロ野球のコミッショナーは、戦略を示す役割にあるとは思っていないようです。

読売新聞の主筆に問題があるのかどうかはわかりませんが、早晩、責任の所在を明らかに
して、戦略を立てリーダーシップを持って実行する者が出てこない限り、しょぼいプロ野
球になっていきそうですよ。

■プロ野球全体がそうなのだから、わが阪神タイガースに、戦略的になれ(長期的、全体的
視点でチーム作りをせよ)といっても無理なのかも知れませんな。

ここ数年、プロ野球・セリーグの観客動員数が落ちているのは、阪神タイガースの低迷が
原因らしい。

他球団は、それなりに頑張って、観客動員を維持しているのですよ。

参考:ファンの心をつかめるか。~プロ野球とJリーグの観客動員力~
http://number.bunshun.jp/articles/-/320591

星野監督の元で、選手を大幅に入れ替えて、阪神タイガースが生まれ変わったように強く
なったのは2003年のことでした。

もう一昔前のことなんですね...

10年で暗黒時代に逆戻りというのは、あまりにもお粗末ではないですか。

どうも坂井オーナーのやり口が内向きな体制固めと場当たり的な施策に見えて仕方ない今日
この頃ですが、長期的に強い組織を作っている途上であると信じたいものです。

コラム

blog

代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
世の中の事象を営業戦略コンサルタントの視点から斬っていきます。(無料)

記事一覧

blog

記事一覧

講演・セミナー実績

Customer Voice

記事一覧

このページのTOPへ