「世界の山ちゃん」は世界に届くのか

2016.09.08

(2016年9月8日メルマガより)


■先月21日、「世界の山ちゃん」の創業者、
エスワイフードの山本重雄会長がお亡くなりになりました。

享年59歳。まだ若かったのに残念です。

ご冥福をお祈りいたします。

■「世界の山ちゃん」は、名古屋を中心に展開する居酒屋チェーンです。

1981年に1号店を開業したのを皮切りに、現在では75店舗を展開。

海外にも4店舗進出しています。

まさにこれからという時でした。

■「世界の山ちゃん」は大阪でも5店舗展開していますね。行ったことはありませんが。

私が行ったのは、名古屋出張の折でした。

「世界の山ちゃん」という手書き文字風の大きな看板に書かれた羽の生えたオッサンのイラスト。

そのオッサンが掲げる「幻の手羽先」ののぼり。

「世界の山ちゃん」「幻の手羽先」というネーミングも悪乗りにも思えますし、どうやら社長をモデルにしているらしいオッサンのイラストにみる自己顕示欲の強さにも呆れました。

それが名古屋の繁華街にはあちこちにあるわけですよ。

なんじゃこりゃーーと思いながらも、一度は入ってみないとあかんなと思わせる店の露出ぶりでした。

■入ってみると、中にはさらに羽の生えたオッサンのイラストがあちこちに描かれていて、カオス感が漂います。

看板メニューの「幻の手羽先」についてはうるさいぐらいに特徴とか食べ方とかイラストつきで書かれていておすすめ感は半端ないのですが、そのわりにメニュー構成はやたらバラエティに富んでいて、手羽先がなければ成立しないという店でもないらしい。

食べてみると、手羽先だけではなくすべてのメニューが美味しいのか美味しくないのか分からなくさせるような味の濃さです。

いったい何なのか。

これが名古屋テイストなのか。とも思いましたが、その他の名古屋のお店に入った感じからすると、必ずしもそうではないらしい。

あえていうとアジアですな。

アジアのカオスをそのまま店の中にも外にもあふれさせている。

私は、日本で一番アジアに近いのは大阪ミナミだと思っていましたが、それ以上のアジア感を持っているのです。

「世界の山ちゃん」とはよく言ったものですよ。

こんな店を作り上げた山本社長とはどういう人だったのでしょうか

参考:【追悼・世界の山ちゃん】すべては、パクリからはじまった「幻の手羽先」誕生秘話(現代ビジネス)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49510

「立派な変人たれ!」とは、山本社長が常日頃言っていたことだそうです。

「変を愛する」「変を誇りに思う」「変で世界を変える」そんな言葉が書かれた「変人パスポート」なるものを店員に配っていたとか。

リッツカールトンのクレドのパロディなのでしょうか。

期待を裏切らない人物像ですな。

■記事によると、山本社長は、学生時代に打ち込んだ柔道を活かす仕事として、自衛隊に入隊します。

そこを3年で辞めたのは「焼き鳥屋は儲かるらしい。1億円貯めて金利で生活しよう」と考えたからでした。

駅前に4坪の焼き鳥屋を開業した山本社長ですが、当初はボンカレーとか永谷園の茶漬けなどを平気でメニューにしていたらしい。

この頃からカオスぶりを発揮していたわけですな。

そもそも看板メニューの「幻の手羽先」からして、名古屋のチェーン店「風来坊」が開発したメニューのパクリです。

それまで使い道がなく捨てるだけだった手羽先を揚げ物にしてメニュー化したのは、風来坊が初めてだったそうです。

こりゃいいわ、と真似て、(秘伝のタレまでまねできないので)合わせコショウをふりかけただけでメニュー化し、「幻の手羽先」なんてネーミングでヒット商品にしたのが山本社長です。

しかも、真似たことを隠していません。

そのあっけらかんとした態度からか、風来坊の社長も「憎めない」と語っています。

■「世界の山ちゃん」という店そのもののネーミングも、酔った社員の冗談がヒントになったということです。

柔軟というべきか。何でもありというべきか。節操がないというべきか。

ただ、こういう人物、こういう店には、活気があります。

「金儲けしたい」と公言し、ダジャレや他店をパクったメニューを平然と掲げる山本社長には、言い知れぬエネルギーを感じます。

しかし、それが嫌味にならないのは、山本社長があまりにも、自らの欲に素直でまっすぐで、建前やプライドなどで隠そうとしていないからではないでしょうか

こだわりのなさをカオス感という個性にまとめた「世界の山ちゃん」という店舗が、人を集める魅力にあふれているのは、山本社長の個性をそのまま反映しているのではないかと感じる次第です。

■金儲けのことばかりいう山本社長ですから、社員に愛想を尽かされて苦境に陥ります。

さすがに困った山本社長は、経営の勉強会などに参加するようになります。

そこで、ある経営者の「会社は社員を守るためにある」という教えに触れて心を打たれます。

すっかり改心した山本社長に、社員もついてくるようになり、業績は向上、今に至ります。

そんな「私の履歴書」に出てくるようなストーリー展開も、大物経営者の条件を満たしていると感じます。

■だからこそ、59歳の若さで亡くなったことが残念です。

国内75店舗。国外4店舗。

これから本当の「世界の山ちゃん」になろうとしていたところだったのでしょうね。

75店舗といえば、創業社長が一人で取り仕切ることができるぎりぎりの大きさではないか。

おそらく社内のマネジメント体制も、ワンマン社長ありきの構成になっているのではないでしょうか。

こういう時、会社を継承する、長く続く組織を作ることの難しさを感じます。

■今後、「世界の山ちゃん」はどうなっていくのでしょうか。

集団体制に移行するにしても、新店の準備、人材育成、メニュー開発など、社長の専用事項をどう取り仕切っていくのか。

難しいところですね。

おそらく1年は、社内の体制を固めるために守りに徹するでしょうが、その後、どう展開していくかは、新経営陣にかかっています。

店が経営者の個性そのもの。と思えるような店だけに、その特徴を維持・発展させるのは困難極まりない。

ただ「世界の山ちゃん」というコンテンツは、世界のどこにもない独自のものだけに、これをここでとん挫させるのももったいないことです。

自ら運営するにしろ、どこかの傘下に入るにしろ、新経営陣の判断と手腕次第です。

せっかくの個性的な店を魅力あるままに育てていってほしいものです。

とりあえずは、大阪に5店舗あるらしいので、私も一度、行ってみようかな。

そこで、世界への途上に倒れた快経営者に思いを馳せたいとおもいます。



(2016年9月8日メルマガより)


■先月21日、「世界の山ちゃん」の創業者、
エスワイフードの山本重雄会長がお亡くなりになりました。

享年59歳。まだ若かったのに残念です。

ご冥福をお祈りいたします。

■「世界の山ちゃん」は、名古屋を中心に展開する居酒屋チェーンです。

1981年に1号店を開業したのを皮切りに、現在では75店舗を展開。

海外にも4店舗進出しています。

まさにこれからという時でした。

■「世界の山ちゃん」は大阪でも5店舗展開していますね。行ったことはありませんが。

私が行ったのは、名古屋出張の折でした。

「世界の山ちゃん」という手書き文字風の大きな看板に書かれた羽の生えたオッサンのイラスト。

そのオッサンが掲げる「幻の手羽先」ののぼり。

「世界の山ちゃん」「幻の手羽先」というネーミングも悪乗りにも思えますし、どうやら社長をモデルにしているらしいオッサンのイラストにみる自己顕示欲の強さにも呆れました。

それが名古屋の繁華街にはあちこちにあるわけですよ。

なんじゃこりゃーーと思いながらも、一度は入ってみないとあかんなと思わせる店の露出ぶりでした。

■入ってみると、中にはさらに羽の生えたオッサンのイラストがあちこちに描かれていて、カオス感が漂います。

看板メニューの「幻の手羽先」についてはうるさいぐらいに特徴とか食べ方とかイラストつきで書かれていておすすめ感は半端ないのですが、そのわりにメニュー構成はやたらバラエティに富んでいて、手羽先がなければ成立しないという店でもないらしい。

食べてみると、手羽先だけではなくすべてのメニューが美味しいのか美味しくないのか分からなくさせるような味の濃さです。

いったい何なのか。

これが名古屋テイストなのか。とも思いましたが、その他の名古屋のお店に入った感じからすると、必ずしもそうではないらしい。

あえていうとアジアですな。

アジアのカオスをそのまま店の中にも外にもあふれさせている。

私は、日本で一番アジアに近いのは大阪ミナミだと思っていましたが、それ以上のアジア感を持っているのです。

「世界の山ちゃん」とはよく言ったものですよ。

こんな店を作り上げた山本社長とはどういう人だったのでしょうか

参考:【追悼・世界の山ちゃん】すべては、パクリからはじまった「幻の手羽先」誕生秘話(現代ビジネス)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49510

「立派な変人たれ!」とは、山本社長が常日頃言っていたことだそうです。

「変を愛する」「変を誇りに思う」「変で世界を変える」そんな言葉が書かれた「変人パスポート」なるものを店員に配っていたとか。

リッツカールトンのクレドのパロディなのでしょうか。

期待を裏切らない人物像ですな。

■記事によると、山本社長は、学生時代に打ち込んだ柔道を活かす仕事として、自衛隊に入隊します。

そこを3年で辞めたのは「焼き鳥屋は儲かるらしい。1億円貯めて金利で生活しよう」と考えたからでした。

駅前に4坪の焼き鳥屋を開業した山本社長ですが、当初はボンカレーとか永谷園の茶漬けなどを平気でメニューにしていたらしい。

この頃からカオスぶりを発揮していたわけですな。

そもそも看板メニューの「幻の手羽先」からして、名古屋のチェーン店「風来坊」が開発したメニューのパクリです。

それまで使い道がなく捨てるだけだった手羽先を揚げ物にしてメニュー化したのは、風来坊が初めてだったそうです。

こりゃいいわ、と真似て、(秘伝のタレまでまねできないので)合わせコショウをふりかけただけでメニュー化し、「幻の手羽先」なんてネーミングでヒット商品にしたのが山本社長です。

しかも、真似たことを隠していません。

そのあっけらかんとした態度からか、風来坊の社長も「憎めない」と語っています。

■「世界の山ちゃん」という店そのもののネーミングも、酔った社員の冗談がヒントになったということです。

柔軟というべきか。何でもありというべきか。節操がないというべきか。

ただ、こういう人物、こういう店には、活気があります。

「金儲けしたい」と公言し、ダジャレや他店をパクったメニューを平然と掲げる山本社長には、言い知れぬエネルギーを感じます。

しかし、それが嫌味にならないのは、山本社長があまりにも、自らの欲に素直でまっすぐで、建前やプライドなどで隠そうとしていないからではないでしょうか

こだわりのなさをカオス感という個性にまとめた「世界の山ちゃん」という店舗が、人を集める魅力にあふれているのは、山本社長の個性をそのまま反映しているのではないかと感じる次第です。

■金儲けのことばかりいう山本社長ですから、社員に愛想を尽かされて苦境に陥ります。

さすがに困った山本社長は、経営の勉強会などに参加するようになります。

そこで、ある経営者の「会社は社員を守るためにある」という教えに触れて心を打たれます。

すっかり改心した山本社長に、社員もついてくるようになり、業績は向上、今に至ります。

そんな「私の履歴書」に出てくるようなストーリー展開も、大物経営者の条件を満たしていると感じます。

■だからこそ、59歳の若さで亡くなったことが残念です。

国内75店舗。国外4店舗。

これから本当の「世界の山ちゃん」になろうとしていたところだったのでしょうね。

75店舗といえば、創業社長が一人で取り仕切ることができるぎりぎりの大きさではないか。

おそらく社内のマネジメント体制も、ワンマン社長ありきの構成になっているのではないでしょうか。

こういう時、会社を継承する、長く続く組織を作ることの難しさを感じます。

■今後、「世界の山ちゃん」はどうなっていくのでしょうか。

集団体制に移行するにしても、新店の準備、人材育成、メニュー開発など、社長の専用事項をどう取り仕切っていくのか。

難しいところですね。

おそらく1年は、社内の体制を固めるために守りに徹するでしょうが、その後、どう展開していくかは、新経営陣にかかっています。

店が経営者の個性そのもの。と思えるような店だけに、その特徴を維持・発展させるのは困難極まりない。

ただ「世界の山ちゃん」というコンテンツは、世界のどこにもない独自のものだけに、これをここでとん挫させるのももったいないことです。

自ら運営するにしろ、どこかの傘下に入るにしろ、新経営陣の判断と手腕次第です。

せっかくの個性的な店を魅力あるままに育てていってほしいものです。

とりあえずは、大阪に5店舗あるらしいので、私も一度、行ってみようかな。

そこで、世界への途上に倒れた快経営者に思いを馳せたいとおもいます。



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