小さくても生き残る「局所的な強者」の作り方

2016.03.10

(2016年3月10日メルマガより)


■先日、某所で「地域密着営業」
をテーマに講演を行ってきました。

古くて新しいテーマですね。

「地域密着営業」がこれほど言われながら、今なお講演テーマとして求められるのはなぜなのか。

それは縮小する日本市場において、小さな企業がとるべき最も効果的な"解"があるからです。

■縮小市場においては、1社の勝ち組と、その他大勢の負け組に分かれやすいことがいわれています。

市場が縮小しているのだから、そこから得られる利益は小さくなっていきます。

利益の出ない我慢比べのような状況から体力のない企業が退場を余儀なくされます。

結果として、最も体力のある強い企業が、皆が捨てていった市場を取り込んで残存者利益を得ることになります。

■では、小さな会社も軒並み撤退しなければならないのか。というとそうではありません。

彼らはそれぞれが自分の居場所を見つけて生き残っていきます。

なにしろ小さいということは、利益が小さくても生きていけるという強みがあります。

小さい会社は小さいなりにしたたかです^^

そんな自分だけの居場所でしたたかに生き残る小さな会社のことを「局所的な強者」と私は呼んでいます。

局所的な強者とは何か。

特殊な商品や技術分野で強い会社。

独自にセグメントした特定の顧客層に強い会社。

いわゆるニッチ市場に強い会社のことです。

そんな局所的な強者の中で、最も絞りやすく、最もパワフルに効果を発揮するのが、ある特定の地域に強い会社です。

■だから、成熟期・衰退期にある市場環境の中、小さなな会社が生き残るために、地域密着営業を掲げるのは、理にかなったことです。

実際、小さいけれども、したたかに生き残っている会社は、地域を絞り込んでいることが多いといえます。

地域×顧客層×商品分野

こうした合わせ技で、独自の強みを活かす市場を作っているのです。

■某所の講演で例としてお話ししたのは、「でんかのヤマグチ」という会社です。

参考:厳しすぎる環境でも残る「街の電気屋」の知恵
http://toyokeizai.net/articles/-/78052

地域密着営業といえば、必ず名前のあがる有名な会社ですね。

東京都町田市で家電店を営む同社は、近隣にヨドバシカメラやヤマダ電機などの大型家電店がいるにも関わらず、売上高約10億円。19期連続黒字を誇ります。

なんでこんな小さな町の家電店が生き残れるのかというと、その秘訣は、徹底した地域密着営業にあります。

同社は、自社の顧客を「町田市の高齢者」に絞り込み、各営業担当が巡回して御用聞き営業を繰り返し行うそうです。

御用聞きというと、古い営業形態のように思われがちですが、やりようによっては、これほど効果を発揮するものはありません。

高齢者宅を巡回し、お茶でも飲みながら、テレビのリモコンの使い方や電球交換などの相談に乗るわけです。

信頼関係はできるわ、情報は得られるわ、何を提案すればいいのかタイミングを計ることができるわ、いいことづくめです。

同社では既に営業の勝ちパターンが出来上がっており、それが仕組みとしてパワフルに機能している状態です。

■もうひとつ、例としてあげたのが、新潟でアパレル店を営む「SUGAR」という会社です。

参考:年商10億、新潟の夜の街を変えた女性社長は、なぜ「地方は売れない」の常識を覆せたのか
https://sales.typemag.jp/article/6426

こちらはご存じない方が多いかな。

社長は30代の女性。年商10億円をあげるアパレル店です。(ネット売上含む)

■この社長、もとは古着などをネットオークションで販売している個人でした。

それが、ビジネスになると直感したのでしょう。

メーカーに掛け合って、商品を仕入れようとします。

ところがメーカーから、店舗もないようなところに卸せないと言われてしまいます。

そこであきらめないのが、起業家魂です。

それなら店舗を持てばいいんだろーと店を探します。

■店舗の場所として選んだのが、実家のある新潟でした。

本来、ネットで販売するための店舗なのだから、どこでもよかったのでしょうか。

ところが、新潟を歩いてみると、その様子にビジネスチャンスを見出します。

新潟の夜の街。歓楽街を歩くクラブやキャバクラの女性たちが、どうにもあか抜けないドレスを着ている。

東京の様子を知っている者からすれば、格差を感じざるを得なかったのでしょう。

新潟の夜の女性に、東京で流行っているようなドレスを売れば、ビジネスになる!と思いました。

■そこで、この女性社長はためらわずに、営業を開始します。

どんな営業かというと、クラブやキャバクラへ一軒一軒の飛び込み営業です。

もちろんよそ者を受け入れたがらない地方のことですから、簡単にはいきません。

8割がた門前払いという状況だったようです。

が、それを突破する強さが、この社長にはあったようです。

■このあたり営業出身の私としては、成功者の本質的な要素をみます。

営業に際して「効率よく」とか「最小の労力で最大の効果を」とか、すぐに言い出すやつはろくなもんじゃありません。

それは営業をやったことがない者の発言です。

営業の効率は、やってみて、やってみて、やってみて、勝ちパターンが見えてきてから意識するものです。

やる前から効率を考えたら何もできませんよ。

それに比べて行動派といわれるこちらの社長は、実に優秀な営業です。

行動と忍耐と信念は岩をも砕く。というやつです。

■ただし無鉄砲な行動力だけで、強い会社を作れるわけではありません。

行動し、勝ちパターンが見えたら、それを仕組み化しなければ、利益が出ません。

その「仕組み」が、このメルマガで何度も申し上げている営業プロセス、すなわち、「顧客選択」「営業」「アフターフォロー」の3段階です。

■SUGARの場合、

「顧客選択」は、新潟の夜の仕事をしている女性。明白な絞り込みができています。

「営業」は、まずは飛び込み営業。コネがないので仕方ありません。

コネができたら、その人からの紹介を得ます。

芋づる式。といえば言い方が悪いですかね。ともかく、キーマンからの紹介を受けて、見込み顧客を増やします。

もともと「東京で流行しているドレスが着たい」というニーズがあるのですから、知り合いから紹介されれば、受け入れる確率もグンと上がるはずです。

そして「アフターフォロー」一度買ってくださった顧客への営業です。

SUGARでは、既製品を紹介するだけではなく、顧客の意見をとりいれて、新たにデザインしたり、個人にカスタマイズしたものを提供することなどを行っているようです。

(そのために、中国の縫製工場を自ら開拓したとか)

一度、購入してくれた顧客には、再度訪問して、個別カスタマイズ提案を行います。

ドレスなど一着では足りないものですから、二着目を購入してもらえる可能性が多いにあるわけです。

■こうしてみると、新潟の夜の女性に対するドレス販売という事業は、既に「売る仕組み」が出来上がっていることがわかります。

その後、同社は、本来のネット販売に戻って、売上を拡大しているとのことですが、その基盤となっているのが、上の事業なのですね。

実に理にかなった「局所的な強者」ではないですか。

■まとめます。

縮小市場において、小さな会社が生き残るには「局所的な強者」になることがよい。

局所的な強者になるためには、自ら「局所」を見つけ、そこに「売る仕組み」を構築する。

それが生き残るための秘訣となります。

■もう一言添えておきます。

このやり方において、大切なのは、最初に「局所」を見つけることです。

言い換えれば、「自分でも勝つことができる市場」を見つけること。

それができなければ、営業も売る仕組みも徒労に終わってしまいます。

では「局所」を見つけるにはどうすればいいのか?

でんかのヤマグチも、SUGARも、最初から今のようにターゲットが明確であったわけではありません

SUGARはもちろん、でんかヤマグチも、長年の試行錯誤の末に、今のビジネスの形を作っていきました。

だから、最初から「勝てる場面」が見えないからといって悲嘆する必要はありません。

とりあえずやってみること。やってみて、ダメだったら、方向転換すればいいだけのことです。

既にビジネスをやっている方は、今のビジネスの中から「局所」を見つけてください。

自分独自の「局所」は、行動する中から見えてくるはずです。

(2016年3月10日メルマガより)


■先日、某所で「地域密着営業」
をテーマに講演を行ってきました。

古くて新しいテーマですね。

「地域密着営業」がこれほど言われながら、今なお講演テーマとして求められるのはなぜなのか。

それは縮小する日本市場において、小さな企業がとるべき最も効果的な"解"があるからです。

■縮小市場においては、1社の勝ち組と、その他大勢の負け組に分かれやすいことがいわれています。

市場が縮小しているのだから、そこから得られる利益は小さくなっていきます。

利益の出ない我慢比べのような状況から体力のない企業が退場を余儀なくされます。

結果として、最も体力のある強い企業が、皆が捨てていった市場を取り込んで残存者利益を得ることになります。

■では、小さな会社も軒並み撤退しなければならないのか。というとそうではありません。

彼らはそれぞれが自分の居場所を見つけて生き残っていきます。

なにしろ小さいということは、利益が小さくても生きていけるという強みがあります。

小さい会社は小さいなりにしたたかです^^

そんな自分だけの居場所でしたたかに生き残る小さな会社のことを「局所的な強者」と私は呼んでいます。

局所的な強者とは何か。

特殊な商品や技術分野で強い会社。

独自にセグメントした特定の顧客層に強い会社。

いわゆるニッチ市場に強い会社のことです。

そんな局所的な強者の中で、最も絞りやすく、最もパワフルに効果を発揮するのが、ある特定の地域に強い会社です。

■だから、成熟期・衰退期にある市場環境の中、小さなな会社が生き残るために、地域密着営業を掲げるのは、理にかなったことです。

実際、小さいけれども、したたかに生き残っている会社は、地域を絞り込んでいることが多いといえます。

地域×顧客層×商品分野

こうした合わせ技で、独自の強みを活かす市場を作っているのです。

■某所の講演で例としてお話ししたのは、「でんかのヤマグチ」という会社です。

参考:厳しすぎる環境でも残る「街の電気屋」の知恵
http://toyokeizai.net/articles/-/78052

地域密着営業といえば、必ず名前のあがる有名な会社ですね。

東京都町田市で家電店を営む同社は、近隣にヨドバシカメラやヤマダ電機などの大型家電店がいるにも関わらず、売上高約10億円。19期連続黒字を誇ります。

なんでこんな小さな町の家電店が生き残れるのかというと、その秘訣は、徹底した地域密着営業にあります。

同社は、自社の顧客を「町田市の高齢者」に絞り込み、各営業担当が巡回して御用聞き営業を繰り返し行うそうです。

御用聞きというと、古い営業形態のように思われがちですが、やりようによっては、これほど効果を発揮するものはありません。

高齢者宅を巡回し、お茶でも飲みながら、テレビのリモコンの使い方や電球交換などの相談に乗るわけです。

信頼関係はできるわ、情報は得られるわ、何を提案すればいいのかタイミングを計ることができるわ、いいことづくめです。

同社では既に営業の勝ちパターンが出来上がっており、それが仕組みとしてパワフルに機能している状態です。

■もうひとつ、例としてあげたのが、新潟でアパレル店を営む「SUGAR」という会社です。

参考:年商10億、新潟の夜の街を変えた女性社長は、なぜ「地方は売れない」の常識を覆せたのか
https://sales.typemag.jp/article/6426

こちらはご存じない方が多いかな。

社長は30代の女性。年商10億円をあげるアパレル店です。(ネット売上含む)

■この社長、もとは古着などをネットオークションで販売している個人でした。

それが、ビジネスになると直感したのでしょう。

メーカーに掛け合って、商品を仕入れようとします。

ところがメーカーから、店舗もないようなところに卸せないと言われてしまいます。

そこであきらめないのが、起業家魂です。

それなら店舗を持てばいいんだろーと店を探します。

■店舗の場所として選んだのが、実家のある新潟でした。

本来、ネットで販売するための店舗なのだから、どこでもよかったのでしょうか。

ところが、新潟を歩いてみると、その様子にビジネスチャンスを見出します。

新潟の夜の街。歓楽街を歩くクラブやキャバクラの女性たちが、どうにもあか抜けないドレスを着ている。

東京の様子を知っている者からすれば、格差を感じざるを得なかったのでしょう。

新潟の夜の女性に、東京で流行っているようなドレスを売れば、ビジネスになる!と思いました。

■そこで、この女性社長はためらわずに、営業を開始します。

どんな営業かというと、クラブやキャバクラへ一軒一軒の飛び込み営業です。

もちろんよそ者を受け入れたがらない地方のことですから、簡単にはいきません。

8割がた門前払いという状況だったようです。

が、それを突破する強さが、この社長にはあったようです。

■このあたり営業出身の私としては、成功者の本質的な要素をみます。

営業に際して「効率よく」とか「最小の労力で最大の効果を」とか、すぐに言い出すやつはろくなもんじゃありません。

それは営業をやったことがない者の発言です。

営業の効率は、やってみて、やってみて、やってみて、勝ちパターンが見えてきてから意識するものです。

やる前から効率を考えたら何もできませんよ。

それに比べて行動派といわれるこちらの社長は、実に優秀な営業です。

行動と忍耐と信念は岩をも砕く。というやつです。

■ただし無鉄砲な行動力だけで、強い会社を作れるわけではありません。

行動し、勝ちパターンが見えたら、それを仕組み化しなければ、利益が出ません。

その「仕組み」が、このメルマガで何度も申し上げている営業プロセス、すなわち、「顧客選択」「営業」「アフターフォロー」の3段階です。

■SUGARの場合、

「顧客選択」は、新潟の夜の仕事をしている女性。明白な絞り込みができています。

「営業」は、まずは飛び込み営業。コネがないので仕方ありません。

コネができたら、その人からの紹介を得ます。

芋づる式。といえば言い方が悪いですかね。ともかく、キーマンからの紹介を受けて、見込み顧客を増やします。

もともと「東京で流行しているドレスが着たい」というニーズがあるのですから、知り合いから紹介されれば、受け入れる確率もグンと上がるはずです。

そして「アフターフォロー」一度買ってくださった顧客への営業です。

SUGARでは、既製品を紹介するだけではなく、顧客の意見をとりいれて、新たにデザインしたり、個人にカスタマイズしたものを提供することなどを行っているようです。

(そのために、中国の縫製工場を自ら開拓したとか)

一度、購入してくれた顧客には、再度訪問して、個別カスタマイズ提案を行います。

ドレスなど一着では足りないものですから、二着目を購入してもらえる可能性が多いにあるわけです。

■こうしてみると、新潟の夜の女性に対するドレス販売という事業は、既に「売る仕組み」が出来上がっていることがわかります。

その後、同社は、本来のネット販売に戻って、売上を拡大しているとのことですが、その基盤となっているのが、上の事業なのですね。

実に理にかなった「局所的な強者」ではないですか。

■まとめます。

縮小市場において、小さな会社が生き残るには「局所的な強者」になることがよい。

局所的な強者になるためには、自ら「局所」を見つけ、そこに「売る仕組み」を構築する。

それが生き残るための秘訣となります。

■もう一言添えておきます。

このやり方において、大切なのは、最初に「局所」を見つけることです。

言い換えれば、「自分でも勝つことができる市場」を見つけること。

それができなければ、営業も売る仕組みも徒労に終わってしまいます。

では「局所」を見つけるにはどうすればいいのか?

でんかのヤマグチも、SUGARも、最初から今のようにターゲットが明確であったわけではありません

SUGARはもちろん、でんかヤマグチも、長年の試行錯誤の末に、今のビジネスの形を作っていきました。

だから、最初から「勝てる場面」が見えないからといって悲嘆する必要はありません。

とりあえずやってみること。やってみて、ダメだったら、方向転換すればいいだけのことです。

既にビジネスをやっている方は、今のビジネスの中から「局所」を見つけてください。

自分独自の「局所」は、行動する中から見えてくるはずです。

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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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