創業の成功確率を上げる5つの要件

2020.08.20

(2020年8月20日メルマガより)

■今回のテーマは「創業」です。

長年、某商工会議所で創業塾の講師を務めさせていただいているのですが、今年も来週から始まります。

こんな酷暑の、しかもコロナが治まらない時期に人が集まるのか?と言われそうですが、これが集まっているのですよ。

コロナで不安定な時期だからでしょうか。創業への関心は皆さま高いようです。

私の担当する創業塾は、わりと創業される方が多いと聞いています。

長年、やっていますから、多くの方が創業されました。

ただ創業しても、皆が順風満帆になるわけではありません。

うまくいっていない方の消息はなかなか聞こえてこないのですが、志半ばであきらめる方も多くおられるのでしょう。

むしろ成功しないほうが多いのが、創業です。それを覚悟して、臨んでください。


■長年、講師として創業者、創業予定者を見てきた関係から、どういう人が創業するか、結局しないのかがなんとなくわかります。

また自分自身、創業して15年経つわけですから、自分自身、あるいは周りの人たちを見ていて、生き残るのがどういう人かもある程度わかります。

だから今回は、私なりにみた「創業して成功(生き残る)しやすい5つの要件」を書いてみました。

成功=生き残る、か?

と言われれば、難しいところですが、事業に興隆はつきもの、良いとき悪いときがありながらも10年以上生き残っていれば立派なものです。

ここではそう考えたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

創業して10年生き残っている事業者は、1割程度だといいます。

正確な統計が見当たらないので恐縮ですが、私の感覚でもその程度かと思います。

10人に1人しか生き残れない。とすると、ずいぶんと損な賭けですな。

今、会社にお勤めの方は、できるならそのまま定年までいるのが賢い選択ですよ。


しかし、それでも踏み出したくなるのが創業です。

私だってそうでした。完璧な算段があって創業したわけではありません。いや、冷静な判断力があれば、創業なんてしません。どう考えても損ですからね。

「奥の細道」ではないですが「そぞろ神の物につきて心を狂はせ」というやつで、一種の狂気に駆られたということですな。

だから「創業塾」の受講生をみていて、危うい計画だとしても、頭ごなしに否定することはできません。創業とはそういうものだからです。

どうしても無理だなと思う場合は「1年ほどかけて、計画を練り直してみたら?」と言います。先延ばしをして、熱がひくのを待つ作戦です。

だから、私から「1年ほど温めてから」と言われた方は、そういう意味だと悟ってください^^

まあ、それで熱が冷める人は、創業しないほうがいい。する人は、何を言われてもするんですよね。

してしまったら仕方がない。脇目も振らず取り組んでください。

私ができることは、少しでも成功確率が上がるように、戦略や計画の修正をお手伝いするぐらいです。


「創業者要件」と「市場要件」


創業の成功なんて、運とか偶然の世界だよ、という考えもあります。一つの見解ですね。多数創業すれば、成功する人の絶対数も上がります。行政側はそう考えているでしょう。

ただ現場を預かる私としては、運や偶然です、と突き放すわけにはきません。

少しでも成功確率を上げていただくのが私の役割です。そのための創業塾の講師です。

どういう人が成功しやすいのか、どういう創業の仕方が成功しやすいのか。

これまでの経験からの話になりますが、5つの要件をお伝えしたいと思います。


まず、成功の要件には、「創業者に起因する要件」と「お客様に起因する要件」がある、と私は整理しています。

端的にいうと「創業者に能力がある。←熱意があり、粘りがあり、計画性があり、勝負所のセンスがあり、勤勉で、人脈があり...」ということ。

もう一つは「お客様に恵まれた。←お客様の数が多く、購買意欲が高く、勢いがあり、浮気せず、お金を使う...」ということです。

そんなもん当たり前やないかー!と怒らないでくださいね。

確かに当たり前です。この2つの要件にはまれば、失敗するのが難しいでしょう。

どちらか1つだけでも、成功しそうじゃないですか。

しかし、です。

創業熱にとらわれて、夢中になっている創業者、創業予定者の多くは、この当たり前をまるで外している場合が多いのです。

順番に見ていきます。


心の底から好きなことをビジネスにしている


「創業者要件」のひとつ目は、好きなことで創業したということです。

勝負所のセンスがある、なんてことは事前に測りようがありませんが、手掛けるビジネスが好きかどうかぐらいはわかるはずです。

しかも心の底から好きというレベルです。

いくら事前の算段が完璧でも、現実その通りいくとは限りません。いや、その通りいかないのが普通です。

顧客のしらけた反応、仕入れ先の手のひら返し、仲間の裏切り、親切な協力者の詐欺行為、家族の不理解、友人の冷たい態度、資金の枯渇。。

創業あるあるです。

しかも今は伝染病の蔓延で経済が停止してしまっています。

想定もしない災難が降りかかったとき、すぐに心折れていたら、生き残ることなんて絶対無理です。

しかし、自分の選んだビジネスが、好きで好きで仕方がない、という分野であれば、なまじっかのことでは投げ出さないはずです。

誰が何と言おうが関係ない。おれはこのビジネスをやりたいんだ、という熱情があれば、やめろと言ってもやり続けるでしょう。

つまり、熱意、粘り、知識。。こういったことは、対象とするビジネスが好きかどうかに深くかかわっているとみています。

正直にいって「好きなことでも嫌いになる」というぐらいの辛苦がやってきます。それぐらいは想定しておかなければなりません。

「好きでもないし、興味もあまりないけど、儲かりそうだからやってみよう」という動機の人は、100%途中で投げ出すと、創業支援関係者はみています。そんな人を支援するのって、バカみたいですから。


誰にも負けない得意なことをビジネスにしている


「創業者要件」のふたつめは、得意分野で創業するということです。

好きと得意はリンクしていることが多いと思われがちですが、困ったことに、そうでもありません。

案外、人は自分が何を得意としているか気づいていないものです。

いちばん多い失敗が、それまで会社員として関わってきた分野を完全に捨てて、違う分野で創業してしまう例です。

なんとももったいない。長年、関わってきた分野については、知識も現場経験も人脈もあるのだから、明らかに得意分野です。

その得意分野を捨てて夢を追うのは、無謀というものです。

「誰にも負けない得意」というのがひっかかるのかも知れません。たいてい、自分より上がいますからね。長年、関わってきた分野だとなおさら、すごい人が何人も思い浮かんで、気後れしてしまうかも知れません。

しかし、それでも多くの人にとって未知の知識や経験や人脈を持っているわけです。これを使わない手はありません。


好きと得意を掛け合わせる


工夫次第ですよ。自分は凡庸だと思うならば、今まで経験したことと、好きな分野を掛け合わせればいいのです。

私ならば「営業」に「ランチェスター戦略」を掛け合わせました。営業の現場経験があり、サーモスが廃業寸前から世界トップになる経緯を当事者として経験し、その後ランチェスター戦略の専門家になったというポジションは、あまりありません。

「その程度の営業経験で偉そうにするな」とか「サーモスの社長でもないのに当事者ぶるな」とか言ってくる同業者が必ずいますが、悔しまぎれの発言なので、むしろポジションの巧妙さを示していると思いましょう^^

創業してからも経験は積みあがりますので、ポジションの独自性は先鋭化していきます。心配することはありません。

「アニメ」が好きなら、今の自分の仕事と組み合わせて新しい価値を作れないか考えてみてください。

「スポーツ」が好きなら、自分の仕事のスキルでスポーツを高度化できないか考えてみてください。

変革の時代ですから隙間はいくらでも生まれます。本当に工夫次第です。


世の中の不便や不満、悩みを解消するビジネスである


「市場要件」のひとつ目は、問題解決をビジネスにすることです。

購買意欲が高いのは、それが本当に必要だと思うからです。自分の悩みを解決してくれるならば、買いたいという気持ちは強くなります。

一時期、貧困問題や環境問題の解決を目指す「社会起業」がフューチャーされましたが、そうでなくても、うまくいくビジネスは、何らかの問題の解決を目指すものですから、ことさら特別なものではありません。

消費者目線、生活者目線で世の中を見渡せば、不便や不満は無限にあります。とくに今は社会が変化しています。新しい不便や不満が日々表れています。

今はまさにウィズコロナの時期です。この時期に、生まれるビジネスもいっぱいあります。

巣ごもり需要、テレワーク需要、社会的距離需要、除菌需要、運動不足解消需要。

超短期ビジネスですが、リヤカーで除菌製品を売り歩く事業者まで登場しているそうですよ。

壊滅的打撃を被っている飲食店や観光業についても、アフターコロナに向けて、回復のため、あるいは再出発のために解決策が求められます。

人は生きている限り、悩みを抱えているものですから、需要はなくなりません。

創業した後でも、売上に困る事業者はこの原点に戻ってください。


誰も気づいていない社会のニーズを捉えてビジネスにしている


「市場要件」の2つめは、ニッチ需要を捉えるということです。

ニッチビジネスには、ライバルがあまりいない、いても強くないという特徴があります。

生き残るための戦略の基本は「勝てる場所で戦う」ということですから、小さな事業者は、まずはニッチビジネスを目指すべきです。

私なぞ、こればかりです。目立つところは避けますから、派手ではありませんが、ライバルが少ないので、生き残るという意味では、安定しています。

しかし「誰も気づいてない」ニーズなんてどうやって見つけるのか?と言われそうですが、それは今の仕事の中で探してください。

いま所属している会社の業界特有のニーズは、一般人にはわかりにくいものです。

業界人はみな困っている、という問題でも、それをテーマに創業する人は稀ですから、結果として誰も取り組まなかったビジネスとなります。

そういう意味でも、いまの仕事を大切にしてください。いまの仕事がうわの空では、宝のようなビジネスの種を逃してしまうことになりますから。


成長市場でいち早く地位を固める


最後は王道です。

伸び盛りの成長市場に参入することができれば、とりあえず需要に困りません。

世界的な社会変革期ですから、衰退市場、成長市場がはっきりしています。

いまはコロナで停滞していますが、AI、IoT、自動化設備、医療・福祉、新エネルギー、都市環境整備、物流、自動モビリティなど、明らかな成長市場が存在します。

成長市場はライバルも多く強力ですから戦う覚悟が必要ですが、それでも成長市場は魅力です。

思い出すに、20年程前のITバブルの頃には、チャラい創業者がいっぱい出て、大物から小物までそれなりに儲けたようです。

だから私が創業した15年前には、その時の残党が「創業は気合だ」とか「やれば何とかなる」とか適当なことを言っていたものです。正直言って、成長市場だからうまくいったんだと思いますよ。

あの時ほどではないにしろ、成長市場は常に存在するわけですから、そこを主戦場にすれば、いくぶん楽に事業を進めることができます。

コツはやはり掛け合わせることです。成長市場と自分の得意分野や知っている業界独自のニーズを組み合わせることで、小さな事業者でも手掛けられる市場を見出せます。

ただし、成長市場には強力なライバルが現れます。せっかく切り開いた市場を後発強者に奪われてしまうのは世の常です。(ITバブルの自称成功者の殆どはこれです)

そうならないためには、いちはやく地位を固めて、つぶされないようにすること。小さな市場でも圧倒的なトップになれば、簡単には追いやられません。

ランチェスター戦略を学んで、小さくてもトップになれる戦い方を工夫していただきたいと思います。


まとめ:創業の成功確率を上げる5つの要件


まとめます。

創業の成功確率を上げるためには、スタート時に、次の5つを心掛けてください。

1.心の底から好きなことをビジネスにする

2.誰にも負けない得意なことをビジネスにする

3.世の中の不便や不満、悩みを解消するビジネスをする

4.誰も気づいていない社会のニーズを捉えてビジネスにする

5.成長市場でいち早く地位を固める


ただし、これで万全だ!とは思わないでくださいよ。

これはあくまで成功確率を上げるための要件にすぎません。絶対に成功が保証されるというものではありませんので。

創業者が注力すべきことはまだまだあります。


(2020年8月20日メルマガより)

■今回のテーマは「創業」です。

長年、某商工会議所で創業塾の講師を務めさせていただいているのですが、今年も来週から始まります。

こんな酷暑の、しかもコロナが治まらない時期に人が集まるのか?と言われそうですが、これが集まっているのですよ。

コロナで不安定な時期だからでしょうか。創業への関心は皆さま高いようです。

私の担当する創業塾は、わりと創業される方が多いと聞いています。

長年、やっていますから、多くの方が創業されました。

ただ創業しても、皆が順風満帆になるわけではありません。

うまくいっていない方の消息はなかなか聞こえてこないのですが、志半ばであきらめる方も多くおられるのでしょう。

むしろ成功しないほうが多いのが、創業です。それを覚悟して、臨んでください。


■長年、講師として創業者、創業予定者を見てきた関係から、どういう人が創業するか、結局しないのかがなんとなくわかります。

また自分自身、創業して15年経つわけですから、自分自身、あるいは周りの人たちを見ていて、生き残るのがどういう人かもある程度わかります。

だから今回は、私なりにみた「創業して成功(生き残る)しやすい5つの要件」を書いてみました。

成功=生き残る、か?

と言われれば、難しいところですが、事業に興隆はつきもの、良いとき悪いときがありながらも10年以上生き残っていれば立派なものです。

ここではそう考えたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

創業して10年生き残っている事業者は、1割程度だといいます。

正確な統計が見当たらないので恐縮ですが、私の感覚でもその程度かと思います。

10人に1人しか生き残れない。とすると、ずいぶんと損な賭けですな。

今、会社にお勤めの方は、できるならそのまま定年までいるのが賢い選択ですよ。


しかし、それでも踏み出したくなるのが創業です。

私だってそうでした。完璧な算段があって創業したわけではありません。いや、冷静な判断力があれば、創業なんてしません。どう考えても損ですからね。

「奥の細道」ではないですが「そぞろ神の物につきて心を狂はせ」というやつで、一種の狂気に駆られたということですな。

だから「創業塾」の受講生をみていて、危うい計画だとしても、頭ごなしに否定することはできません。創業とはそういうものだからです。

どうしても無理だなと思う場合は「1年ほどかけて、計画を練り直してみたら?」と言います。先延ばしをして、熱がひくのを待つ作戦です。

だから、私から「1年ほど温めてから」と言われた方は、そういう意味だと悟ってください^^

まあ、それで熱が冷める人は、創業しないほうがいい。する人は、何を言われてもするんですよね。

してしまったら仕方がない。脇目も振らず取り組んでください。

私ができることは、少しでも成功確率が上がるように、戦略や計画の修正をお手伝いするぐらいです。


「創業者要件」と「市場要件」


創業の成功なんて、運とか偶然の世界だよ、という考えもあります。一つの見解ですね。多数創業すれば、成功する人の絶対数も上がります。行政側はそう考えているでしょう。

ただ現場を預かる私としては、運や偶然です、と突き放すわけにはきません。

少しでも成功確率を上げていただくのが私の役割です。そのための創業塾の講師です。

どういう人が成功しやすいのか、どういう創業の仕方が成功しやすいのか。

これまでの経験からの話になりますが、5つの要件をお伝えしたいと思います。


まず、成功の要件には、「創業者に起因する要件」と「お客様に起因する要件」がある、と私は整理しています。

端的にいうと「創業者に能力がある。←熱意があり、粘りがあり、計画性があり、勝負所のセンスがあり、勤勉で、人脈があり...」ということ。

もう一つは「お客様に恵まれた。←お客様の数が多く、購買意欲が高く、勢いがあり、浮気せず、お金を使う...」ということです。

そんなもん当たり前やないかー!と怒らないでくださいね。

確かに当たり前です。この2つの要件にはまれば、失敗するのが難しいでしょう。

どちらか1つだけでも、成功しそうじゃないですか。

しかし、です。

創業熱にとらわれて、夢中になっている創業者、創業予定者の多くは、この当たり前をまるで外している場合が多いのです。

順番に見ていきます。


心の底から好きなことをビジネスにしている


「創業者要件」のひとつ目は、好きなことで創業したということです。

勝負所のセンスがある、なんてことは事前に測りようがありませんが、手掛けるビジネスが好きかどうかぐらいはわかるはずです。

しかも心の底から好きというレベルです。

いくら事前の算段が完璧でも、現実その通りいくとは限りません。いや、その通りいかないのが普通です。

顧客のしらけた反応、仕入れ先の手のひら返し、仲間の裏切り、親切な協力者の詐欺行為、家族の不理解、友人の冷たい態度、資金の枯渇。。

創業あるあるです。

しかも今は伝染病の蔓延で経済が停止してしまっています。

想定もしない災難が降りかかったとき、すぐに心折れていたら、生き残ることなんて絶対無理です。

しかし、自分の選んだビジネスが、好きで好きで仕方がない、という分野であれば、なまじっかのことでは投げ出さないはずです。

誰が何と言おうが関係ない。おれはこのビジネスをやりたいんだ、という熱情があれば、やめろと言ってもやり続けるでしょう。

つまり、熱意、粘り、知識。。こういったことは、対象とするビジネスが好きかどうかに深くかかわっているとみています。

正直にいって「好きなことでも嫌いになる」というぐらいの辛苦がやってきます。それぐらいは想定しておかなければなりません。

「好きでもないし、興味もあまりないけど、儲かりそうだからやってみよう」という動機の人は、100%途中で投げ出すと、創業支援関係者はみています。そんな人を支援するのって、バカみたいですから。


誰にも負けない得意なことをビジネスにしている


「創業者要件」のふたつめは、得意分野で創業するということです。

好きと得意はリンクしていることが多いと思われがちですが、困ったことに、そうでもありません。

案外、人は自分が何を得意としているか気づいていないものです。

いちばん多い失敗が、それまで会社員として関わってきた分野を完全に捨てて、違う分野で創業してしまう例です。

なんとももったいない。長年、関わってきた分野については、知識も現場経験も人脈もあるのだから、明らかに得意分野です。

その得意分野を捨てて夢を追うのは、無謀というものです。

「誰にも負けない得意」というのがひっかかるのかも知れません。たいてい、自分より上がいますからね。長年、関わってきた分野だとなおさら、すごい人が何人も思い浮かんで、気後れしてしまうかも知れません。

しかし、それでも多くの人にとって未知の知識や経験や人脈を持っているわけです。これを使わない手はありません。


好きと得意を掛け合わせる


工夫次第ですよ。自分は凡庸だと思うならば、今まで経験したことと、好きな分野を掛け合わせればいいのです。

私ならば「営業」に「ランチェスター戦略」を掛け合わせました。営業の現場経験があり、サーモスが廃業寸前から世界トップになる経緯を当事者として経験し、その後ランチェスター戦略の専門家になったというポジションは、あまりありません。

「その程度の営業経験で偉そうにするな」とか「サーモスの社長でもないのに当事者ぶるな」とか言ってくる同業者が必ずいますが、悔しまぎれの発言なので、むしろポジションの巧妙さを示していると思いましょう^^

創業してからも経験は積みあがりますので、ポジションの独自性は先鋭化していきます。心配することはありません。

「アニメ」が好きなら、今の自分の仕事と組み合わせて新しい価値を作れないか考えてみてください。

「スポーツ」が好きなら、自分の仕事のスキルでスポーツを高度化できないか考えてみてください。

変革の時代ですから隙間はいくらでも生まれます。本当に工夫次第です。


世の中の不便や不満、悩みを解消するビジネスである


「市場要件」のひとつ目は、問題解決をビジネスにすることです。

購買意欲が高いのは、それが本当に必要だと思うからです。自分の悩みを解決してくれるならば、買いたいという気持ちは強くなります。

一時期、貧困問題や環境問題の解決を目指す「社会起業」がフューチャーされましたが、そうでなくても、うまくいくビジネスは、何らかの問題の解決を目指すものですから、ことさら特別なものではありません。

消費者目線、生活者目線で世の中を見渡せば、不便や不満は無限にあります。とくに今は社会が変化しています。新しい不便や不満が日々表れています。

今はまさにウィズコロナの時期です。この時期に、生まれるビジネスもいっぱいあります。

巣ごもり需要、テレワーク需要、社会的距離需要、除菌需要、運動不足解消需要。

超短期ビジネスですが、リヤカーで除菌製品を売り歩く事業者まで登場しているそうですよ。

壊滅的打撃を被っている飲食店や観光業についても、アフターコロナに向けて、回復のため、あるいは再出発のために解決策が求められます。

人は生きている限り、悩みを抱えているものですから、需要はなくなりません。

創業した後でも、売上に困る事業者はこの原点に戻ってください。


誰も気づいていない社会のニーズを捉えてビジネスにしている


「市場要件」の2つめは、ニッチ需要を捉えるということです。

ニッチビジネスには、ライバルがあまりいない、いても強くないという特徴があります。

生き残るための戦略の基本は「勝てる場所で戦う」ということですから、小さな事業者は、まずはニッチビジネスを目指すべきです。

私なぞ、こればかりです。目立つところは避けますから、派手ではありませんが、ライバルが少ないので、生き残るという意味では、安定しています。

しかし「誰も気づいてない」ニーズなんてどうやって見つけるのか?と言われそうですが、それは今の仕事の中で探してください。

いま所属している会社の業界特有のニーズは、一般人にはわかりにくいものです。

業界人はみな困っている、という問題でも、それをテーマに創業する人は稀ですから、結果として誰も取り組まなかったビジネスとなります。

そういう意味でも、いまの仕事を大切にしてください。いまの仕事がうわの空では、宝のようなビジネスの種を逃してしまうことになりますから。


成長市場でいち早く地位を固める


最後は王道です。

伸び盛りの成長市場に参入することができれば、とりあえず需要に困りません。

世界的な社会変革期ですから、衰退市場、成長市場がはっきりしています。

いまはコロナで停滞していますが、AI、IoT、自動化設備、医療・福祉、新エネルギー、都市環境整備、物流、自動モビリティなど、明らかな成長市場が存在します。

成長市場はライバルも多く強力ですから戦う覚悟が必要ですが、それでも成長市場は魅力です。

思い出すに、20年程前のITバブルの頃には、チャラい創業者がいっぱい出て、大物から小物までそれなりに儲けたようです。

だから私が創業した15年前には、その時の残党が「創業は気合だ」とか「やれば何とかなる」とか適当なことを言っていたものです。正直言って、成長市場だからうまくいったんだと思いますよ。

あの時ほどではないにしろ、成長市場は常に存在するわけですから、そこを主戦場にすれば、いくぶん楽に事業を進めることができます。

コツはやはり掛け合わせることです。成長市場と自分の得意分野や知っている業界独自のニーズを組み合わせることで、小さな事業者でも手掛けられる市場を見出せます。

ただし、成長市場には強力なライバルが現れます。せっかく切り開いた市場を後発強者に奪われてしまうのは世の常です。(ITバブルの自称成功者の殆どはこれです)

そうならないためには、いちはやく地位を固めて、つぶされないようにすること。小さな市場でも圧倒的なトップになれば、簡単には追いやられません。

ランチェスター戦略を学んで、小さくてもトップになれる戦い方を工夫していただきたいと思います。


まとめ:創業の成功確率を上げる5つの要件


まとめます。

創業の成功確率を上げるためには、スタート時に、次の5つを心掛けてください。

1.心の底から好きなことをビジネスにする

2.誰にも負けない得意なことをビジネスにする

3.世の中の不便や不満、悩みを解消するビジネスをする

4.誰も気づいていない社会のニーズを捉えてビジネスにする

5.成長市場でいち早く地位を固める


ただし、これで万全だ!とは思わないでくださいよ。

これはあくまで成功確率を上げるための要件にすぎません。絶対に成功が保証されるというものではありませんので。

創業者が注力すべきことはまだまだあります。


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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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