自然界のランチェスター戦略

2017.07.13

(2017年7月13日メルマガより)


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■今回はある書籍を紹介いたします。


参考:「弱者の戦略」稲垣栄洋著(新潮選書)
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4106037521/lanchesterkan-22/ref=nosim

この本は、自然界の動植物が生き残るためにとっている「戦略」について書かれたものです。

自然界は、最も強い者しか最終的には生き残れない厳しい競争の世界です。

ですから、いま現在生き残っている生物はすべからく凄まじい生存競争に生き残ってきたものたちなのです。

弱者にしか見えない彼らが、生きるためにどのような能力を身に着け、どのような工夫をこらしているのか。

抜群に面白い本ですのでおすすめいたします。

■そういえば、数年前、インターネットの掲示板に

自然界は弱肉強食が当たり前なのに人間の社会は生きる力のない者を税金で守っている。これは自然の摂理に反しているのではないか」

という意見が載って話題になったことをご存知でしょうか。

一見もっともらしく聞こえる意見ですが、実際には的外れです。

なぜ的外れなのか?ということをこの「弱者の戦略」という本が教えてくれます。

私なりの見解を本文に載せていますので、ぜひ最後までお読みください。

========================================================

■唐突ですが、ナマケモノという動物をご存じでしょうか。

中南米のジャングルで木の枝にぶらさがって一生を過ごす奇妙な生き物です。

聞くところによると一日のほとんどを寝て過ごし、群れをつくることもありません。動きはすこぶる鈍い。餌はぶら下がっている木の葉やコケなど。

なんでこんな生き物が絶滅もせずに生き残っているのでしょうか。

■これって、自然淘汰をとなえた進化論に反しているんじゃないか。などと常々思っていたのですが、先ごろ、ある本に書いてあることをみて納得しました。

ナマケモノというのは、毒性のある種類の木の葉を消化できる能力を持っているのだそうです。そんな毒葉を好んで食べる生物は他にいませんので、他の動物と競合しません。したがって、ぶら下がった木は、自分ひとりの縄張りとなります。

しかも、ナマケモノはあまり動かないのでエネルギーを使いません。だから小食で、自分がぶら下がっている木を食べつくしません。

本当にエコな生き物です。

■こんな生き物、外敵に弱いだろうと思うのですが、そうでもないらしい。

南米にはピューマやジャガーという肉食動物がいますが、彼らは泳ぎもできるし、木登りもできる厄介な外敵です。

ところが動体視力に優れた彼らも、静止しているものを見分けるのは得意ではありません。

すなわち木の枝でじっとしているナマケモノを獲物として認識する能力に若干欠けているきらいがあります。

そのため、外敵に食い尽くされてしまいそうなナマケモノが見逃されて生き残っているといいうのです。

■要するに、ナマケモノというのは、特殊なものを餌とし、燃費がすこぶるよく、外敵に見つけられにくいという特徴を持ったために自然淘汰されずに生き残っているのです。

これもまさに進化論が正しいことを示す例なのだということでした

このナマケモノのことを読んだのは、下記の書籍です。

参考:「弱者の戦略」稲垣栄洋著(新潮選書)
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4106037521/lanchesterkan-22/ref=nosim

「戦略」とありますが、企業戦略について書いた本ではなく、生き物(動植物)が生き残るために持った特徴について書かれています。

個人的には抜群に面白い本だと思いますので、おすすめさせていただきます。

■生き物は厳しい競争の世界に生きています。

生き物の種は、同じものを餌とする限り、同時には存在できない。と考えられています。

餌が充分豊富にある場合でも、一方の種が、他方の種を駆逐してしまうまで競争を止めないそうです。

つまり、強者である1つの種しか生き残れない。

■これって、1位だけが強者、その他はすべて弱者。

競争においては強者が圧倒的に有利であり、弱者は競争を避けるための何らかの手を打たなければ生き残ることもできない。

というランチェスター戦略の考え方に合致するものです。

この本の中には、ランチェスター戦略についての記述があり、ナンバーワンしか生き残れないというルールは、「自然界のしくみともよく合っている」と評価されています。

実際、この本に書かれている動植物の生き残るための工夫は、企業経営にも大いに参考になるものだと考えます。

それにしても同じ条件下では1種類の生物しか生き残れないとは何と厳しい条件でしょうか。

しかし、です。

実際のところ、我々の周りをみても、生物というのは多様多彩です。

ジャングルにいけば、さらに多くの種類の動植物が生きているはずです。一種類しか生きていないというのは極端な話ではないのでしょうか

と思いがちですが、実際には同じ条件で共存しているのではないらしい。

例えば、アフリカなどのサバンナを想像してください。(上記の本の中に書かれている事例です)

そこには、シマウマもキリンもウシもシカもいっぱいいそうな気がします。同じ植物を食べる草食動物なのに、うまく共存しているやんか。

と思えますが、詳細に観てみると彼らは棲み分けています。

シマウマは地面に生えた草を食べます。それに対してキリンは高い木の上にある葉を食べます。

これは分かりやすい。

もっと詳細にみると、シマウマは草の先端の柔らかい部分を食べます。ウシの仲間のヌーは草の茎や葉を食べます。シカの仲間のトムソンガゼルは地面に近い背丈の低い部分を食べているらしい。

さらに言うと、サイの仲間であるシロサイは地面に近い背の低い草を食べ、クロサイは背の高い草を食べているそうです。

もっと言うと、昼間に出てくる動物と夜に活動する動物は違いますし、地中にいる種類もいます。

こうして同じ場所にいる草食動物たちは少しずつ餌をずらすことで、競合しないようにして共存しているというのです。

■これは経営戦略におけるニッチ戦略と同じ考え方です。

ニッチとはくぼみや隙間という意味です。

そこから派生して、経営においては、小さいが独自の条件を持つ市場を狙うことをニッチ戦略と呼んでいます。

例えば、同じ都会には無数の飲食店がありますが、長く続いている店をみると独自の市場を持っていることがわかります。

ある店はランチだけ。ある店は深夜営業。ある店は女性向け。ある店は高齢者向け。ある店は健康志向の人向け。ある店は配達専門。

同じ地域で開業する飲食店でも、少しづつ対象客をずらすことで、競合を避けて生き残りを図っているわけです。

逆にいうと、儲かっている先行店を安易に真似してしまうと、価格競争にならざるを得ません。

そうなるとどちらかが音を上げて閉店してしまうまで消耗戦になってしまう恐れがありますから、お互いにとって賢いやり方ではありません。

生物も同じ。現在生きている動植物は競合して種を危機に晒すのではなく、餌や時間や空間や季節や様々な条件をずらすことで、独自のニッチ市場を獲得して、しぶとく生き残っているのです。

■植物を例にあげます。

家の庭や公園や道路の端っこなどに気が付いたら生えている草があります。

我々がいう雑草です。

どんなところにも芽を出す雑草をみるといかにもたくましく、植物の生命力を感じますが、生物学的にいうと、あれらは決して強い草ではないそうです。

むしろ植物の種の中では弱者とでもいいたくなるような種類なのだそうです。

なぜなら、森の中やジャングルや植物が生きていく上で理想的な環境下では、いわゆる雑草は生えていません。

そこには巨木になる種の木が生えており、地面に光が届きません。巨木以外は、光のいらない植物か、巨木に寄生するような植物しか生きていけない。

だから小さくて力のない植物は、道路の端のような水もない土も堅いような過酷な環境下で生きていかざるを得ないというわけです。

■雑草といわれる植物は、環境の変化が大好きです。

いや、いうなれば、環境が変化し、他の植物がすぐには適応できないような環境でしか生きていけないのが雑草です。

彼らの武器は、新たなニッチを見つける探索力、いち早く根をおろすスピード、それにどんな環境でも生きていけるエコな体質です。

その武器をフルに活用して、一番乗りした隙間に根を下ろすのが、雑草の生きる道です。

これって、経営における起業者やベンチャー企業、小さな企業に必要な要素にそのままあてはまるのではないでしょうか。

ビジネスに適した儲かりそうな環境は、実績と資金力のある大手企業がかっさらってしまうはずです。

だとすれば、起業者や小さな企業に勝ち目があるのは、ビジネスに適しようもない儲からなさそうな環境下か、大手企業が進出する前の新たに立ち上がった市場です。

いまなら人工知能か自動運転かドローンか新エネルギーか。大手企業がまだリスクが高いと尻込みするような分野のビジネス。

あるいは、運送など儲からないと言われる産業。

前回のメルマガで書いた零細企業のM&A仲介など、成長分野の周辺サービスもねらい目です。

とにかく起業者や小さな会社は、たいしたお金がなくても生きていけるエコな体質を活用して、世間の常識に挑戦し続けることです。

「大手企業がやらないというのは儲からないってことだよ」なんていう呆けた意見に耳を貸してはダメですよ。

■現在、地球上の動植物は、それぞれが長い時間をかけて突然変異と自然淘汰を繰り返した上で、あらゆる環境下にニッチ市場を見出して、そこに最適の進化を遂げて棲みついています。

もし火山の噴火や地震や洪水やあるいは人間の手による工事などが行われて環境が変わったとしても、数か月から数年で新たな動植物がそこに棲みつきます。

噴火で島の形が全く変わってしまった西之島でも数年で植物が生えて、鳥が戻ってきているそうですから。

まさに生命の力おそるべしです。

人間の力も同じはずです。我々は、社会の様々なところにニッチを見つけて、そこで多様なビジネスを作る能力を持っています。

いまだチャンスはいたるところにあり、日々誰かがそれを見つけていることでしょう。

■あとは、そのチャンスをビジネスとして形作るスキルがあればいい。

そうして一度、実を結んでしまえば、そこで継続する仕組みを作って、サイクルを回す作業に入ります。

雑草が、過酷な環境下でしか生きられず、常にニッチ市場を探し続けないと生きていけないことに比べて、人間のビジネスは、ニッチ市場を守り続けて百年もつ場合もあるし、そのまま大企業に成長していく可能性も大いにあります。

アマゾンもアップルもグーグルもマイクロソフトも、そうやって捉えたニッチ市場をてこに巨大になっていった企業です

そう考えると、まだビジネスには夢がありますね。

■ただし自然には本能として生きる力が備わっているのに対して、ビジネスは本能ではありませんので、最低限の知識とスキルが必要になることも確かです。

決して難しいことではなく最低限の知識で結構です。

それを知っている知っていないでは、成功確率が格段に変わっていきます。

ビジネスをしている、あるいはこれから始めるという方は、少しでも成功に近づくように、経営や戦略の勉強を軽視しないように努めていただきたいと思います。

■さて、ここから先は余談として、このメルマガの前文に書いたものの続きです。

繰り返しになりますが、以前、インターネットの掲示板に「自然界は弱肉強食が当たり前なのに人間の社会は生きる力のない者を税金で守っているのは、自然の摂理に反しているのではないか」という意見が載って話題になりました。

一見、もっともらしく聞こえますが、この「弱者の戦略という本を読むと、的外れな意見だということがよくわかります。

まず自然界は「弱肉強食」ではありません。

おそらく「ライオンがシマウマを食べる」といった食物連鎖の一部分だけをとりあげて言っているのでしょうが、絶滅しかけているのはライオンの方で、シマウマは維持しています。いったいどちらが弱者でどちらが強者と呼べばいいのでしょうか。

種としてみるなら最も繁栄しているのは蟻などの昆虫です。

彼らは、強固な組織力を身に着けて、ちょっとやそっとの環境の変化にもぐらつかない驚異的な繁栄力を持っています。

実は人間も同じです。

食物連鎖ではウサギとオオカミの間ぐらいだった人間も、組織力を身に着けることで、オオカミを狩り、農耕する能力を手に入れました。

社会性は人間という種が繁栄するための武器なのです。

弱い個体を守るという社会性は、オオカミやサルの群れなどでもみられる行動であり、ましてや人間が同じ種を守るのは必然です。

多様な組織ほど環境の変化に強く、適合しやすい柔軟性を持っています。だとすれば、子供やお年寄りやその他、弱い個体を守り、組織の構成員とすることは、強固な組織を作る条件となります。(蟻の組織内でも一定の割合で働かない蟻が存在するそうですよ)

弱者を助ける社会というのは、むしろ人間組織の懐の深さ、柔軟性、強さにつながっていると考えた方がよさそうです。

以上、余談でした。



(2017年7月13日メルマガより)


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■今回はある書籍を紹介いたします。


参考:「弱者の戦略」稲垣栄洋著(新潮選書)
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4106037521/lanchesterkan-22/ref=nosim

この本は、自然界の動植物が生き残るためにとっている「戦略」について書かれたものです。

自然界は、最も強い者しか最終的には生き残れない厳しい競争の世界です。

ですから、いま現在生き残っている生物はすべからく凄まじい生存競争に生き残ってきたものたちなのです。

弱者にしか見えない彼らが、生きるためにどのような能力を身に着け、どのような工夫をこらしているのか。

抜群に面白い本ですのでおすすめいたします。

■そういえば、数年前、インターネットの掲示板に

自然界は弱肉強食が当たり前なのに人間の社会は生きる力のない者を税金で守っている。これは自然の摂理に反しているのではないか」

という意見が載って話題になったことをご存知でしょうか。

一見もっともらしく聞こえる意見ですが、実際には的外れです。

なぜ的外れなのか?ということをこの「弱者の戦略」という本が教えてくれます。

私なりの見解を本文に載せていますので、ぜひ最後までお読みください。

========================================================

■唐突ですが、ナマケモノという動物をご存じでしょうか。

中南米のジャングルで木の枝にぶらさがって一生を過ごす奇妙な生き物です。

聞くところによると一日のほとんどを寝て過ごし、群れをつくることもありません。動きはすこぶる鈍い。餌はぶら下がっている木の葉やコケなど。

なんでこんな生き物が絶滅もせずに生き残っているのでしょうか。

■これって、自然淘汰をとなえた進化論に反しているんじゃないか。などと常々思っていたのですが、先ごろ、ある本に書いてあることをみて納得しました。

ナマケモノというのは、毒性のある種類の木の葉を消化できる能力を持っているのだそうです。そんな毒葉を好んで食べる生物は他にいませんので、他の動物と競合しません。したがって、ぶら下がった木は、自分ひとりの縄張りとなります。

しかも、ナマケモノはあまり動かないのでエネルギーを使いません。だから小食で、自分がぶら下がっている木を食べつくしません。

本当にエコな生き物です。

■こんな生き物、外敵に弱いだろうと思うのですが、そうでもないらしい。

南米にはピューマやジャガーという肉食動物がいますが、彼らは泳ぎもできるし、木登りもできる厄介な外敵です。

ところが動体視力に優れた彼らも、静止しているものを見分けるのは得意ではありません。

すなわち木の枝でじっとしているナマケモノを獲物として認識する能力に若干欠けているきらいがあります。

そのため、外敵に食い尽くされてしまいそうなナマケモノが見逃されて生き残っているといいうのです。

■要するに、ナマケモノというのは、特殊なものを餌とし、燃費がすこぶるよく、外敵に見つけられにくいという特徴を持ったために自然淘汰されずに生き残っているのです。

これもまさに進化論が正しいことを示す例なのだということでした

このナマケモノのことを読んだのは、下記の書籍です。

参考:「弱者の戦略」稲垣栄洋著(新潮選書)
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4106037521/lanchesterkan-22/ref=nosim

「戦略」とありますが、企業戦略について書いた本ではなく、生き物(動植物)が生き残るために持った特徴について書かれています。

個人的には抜群に面白い本だと思いますので、おすすめさせていただきます。

■生き物は厳しい競争の世界に生きています。

生き物の種は、同じものを餌とする限り、同時には存在できない。と考えられています。

餌が充分豊富にある場合でも、一方の種が、他方の種を駆逐してしまうまで競争を止めないそうです。

つまり、強者である1つの種しか生き残れない。

■これって、1位だけが強者、その他はすべて弱者。

競争においては強者が圧倒的に有利であり、弱者は競争を避けるための何らかの手を打たなければ生き残ることもできない。

というランチェスター戦略の考え方に合致するものです。

この本の中には、ランチェスター戦略についての記述があり、ナンバーワンしか生き残れないというルールは、「自然界のしくみともよく合っている」と評価されています。

実際、この本に書かれている動植物の生き残るための工夫は、企業経営にも大いに参考になるものだと考えます。

それにしても同じ条件下では1種類の生物しか生き残れないとは何と厳しい条件でしょうか。

しかし、です。

実際のところ、我々の周りをみても、生物というのは多様多彩です。

ジャングルにいけば、さらに多くの種類の動植物が生きているはずです。一種類しか生きていないというのは極端な話ではないのでしょうか

と思いがちですが、実際には同じ条件で共存しているのではないらしい。

例えば、アフリカなどのサバンナを想像してください。(上記の本の中に書かれている事例です)

そこには、シマウマもキリンもウシもシカもいっぱいいそうな気がします。同じ植物を食べる草食動物なのに、うまく共存しているやんか。

と思えますが、詳細に観てみると彼らは棲み分けています。

シマウマは地面に生えた草を食べます。それに対してキリンは高い木の上にある葉を食べます。

これは分かりやすい。

もっと詳細にみると、シマウマは草の先端の柔らかい部分を食べます。ウシの仲間のヌーは草の茎や葉を食べます。シカの仲間のトムソンガゼルは地面に近い背丈の低い部分を食べているらしい。

さらに言うと、サイの仲間であるシロサイは地面に近い背の低い草を食べ、クロサイは背の高い草を食べているそうです。

もっと言うと、昼間に出てくる動物と夜に活動する動物は違いますし、地中にいる種類もいます。

こうして同じ場所にいる草食動物たちは少しずつ餌をずらすことで、競合しないようにして共存しているというのです。

■これは経営戦略におけるニッチ戦略と同じ考え方です。

ニッチとはくぼみや隙間という意味です。

そこから派生して、経営においては、小さいが独自の条件を持つ市場を狙うことをニッチ戦略と呼んでいます。

例えば、同じ都会には無数の飲食店がありますが、長く続いている店をみると独自の市場を持っていることがわかります。

ある店はランチだけ。ある店は深夜営業。ある店は女性向け。ある店は高齢者向け。ある店は健康志向の人向け。ある店は配達専門。

同じ地域で開業する飲食店でも、少しづつ対象客をずらすことで、競合を避けて生き残りを図っているわけです。

逆にいうと、儲かっている先行店を安易に真似してしまうと、価格競争にならざるを得ません。

そうなるとどちらかが音を上げて閉店してしまうまで消耗戦になってしまう恐れがありますから、お互いにとって賢いやり方ではありません。

生物も同じ。現在生きている動植物は競合して種を危機に晒すのではなく、餌や時間や空間や季節や様々な条件をずらすことで、独自のニッチ市場を獲得して、しぶとく生き残っているのです。

■植物を例にあげます。

家の庭や公園や道路の端っこなどに気が付いたら生えている草があります。

我々がいう雑草です。

どんなところにも芽を出す雑草をみるといかにもたくましく、植物の生命力を感じますが、生物学的にいうと、あれらは決して強い草ではないそうです。

むしろ植物の種の中では弱者とでもいいたくなるような種類なのだそうです。

なぜなら、森の中やジャングルや植物が生きていく上で理想的な環境下では、いわゆる雑草は生えていません。

そこには巨木になる種の木が生えており、地面に光が届きません。巨木以外は、光のいらない植物か、巨木に寄生するような植物しか生きていけない。

だから小さくて力のない植物は、道路の端のような水もない土も堅いような過酷な環境下で生きていかざるを得ないというわけです。

■雑草といわれる植物は、環境の変化が大好きです。

いや、いうなれば、環境が変化し、他の植物がすぐには適応できないような環境でしか生きていけないのが雑草です。

彼らの武器は、新たなニッチを見つける探索力、いち早く根をおろすスピード、それにどんな環境でも生きていけるエコな体質です。

その武器をフルに活用して、一番乗りした隙間に根を下ろすのが、雑草の生きる道です。

これって、経営における起業者やベンチャー企業、小さな企業に必要な要素にそのままあてはまるのではないでしょうか。

ビジネスに適した儲かりそうな環境は、実績と資金力のある大手企業がかっさらってしまうはずです。

だとすれば、起業者や小さな企業に勝ち目があるのは、ビジネスに適しようもない儲からなさそうな環境下か、大手企業が進出する前の新たに立ち上がった市場です。

いまなら人工知能か自動運転かドローンか新エネルギーか。大手企業がまだリスクが高いと尻込みするような分野のビジネス。

あるいは、運送など儲からないと言われる産業。

前回のメルマガで書いた零細企業のM&A仲介など、成長分野の周辺サービスもねらい目です。

とにかく起業者や小さな会社は、たいしたお金がなくても生きていけるエコな体質を活用して、世間の常識に挑戦し続けることです。

「大手企業がやらないというのは儲からないってことだよ」なんていう呆けた意見に耳を貸してはダメですよ。

■現在、地球上の動植物は、それぞれが長い時間をかけて突然変異と自然淘汰を繰り返した上で、あらゆる環境下にニッチ市場を見出して、そこに最適の進化を遂げて棲みついています。

もし火山の噴火や地震や洪水やあるいは人間の手による工事などが行われて環境が変わったとしても、数か月から数年で新たな動植物がそこに棲みつきます。

噴火で島の形が全く変わってしまった西之島でも数年で植物が生えて、鳥が戻ってきているそうですから。

まさに生命の力おそるべしです。

人間の力も同じはずです。我々は、社会の様々なところにニッチを見つけて、そこで多様なビジネスを作る能力を持っています。

いまだチャンスはいたるところにあり、日々誰かがそれを見つけていることでしょう。

■あとは、そのチャンスをビジネスとして形作るスキルがあればいい。

そうして一度、実を結んでしまえば、そこで継続する仕組みを作って、サイクルを回す作業に入ります。

雑草が、過酷な環境下でしか生きられず、常にニッチ市場を探し続けないと生きていけないことに比べて、人間のビジネスは、ニッチ市場を守り続けて百年もつ場合もあるし、そのまま大企業に成長していく可能性も大いにあります。

アマゾンもアップルもグーグルもマイクロソフトも、そうやって捉えたニッチ市場をてこに巨大になっていった企業です

そう考えると、まだビジネスには夢がありますね。

■ただし自然には本能として生きる力が備わっているのに対して、ビジネスは本能ではありませんので、最低限の知識とスキルが必要になることも確かです。

決して難しいことではなく最低限の知識で結構です。

それを知っている知っていないでは、成功確率が格段に変わっていきます。

ビジネスをしている、あるいはこれから始めるという方は、少しでも成功に近づくように、経営や戦略の勉強を軽視しないように努めていただきたいと思います。

■さて、ここから先は余談として、このメルマガの前文に書いたものの続きです。

繰り返しになりますが、以前、インターネットの掲示板に「自然界は弱肉強食が当たり前なのに人間の社会は生きる力のない者を税金で守っているのは、自然の摂理に反しているのではないか」という意見が載って話題になりました。

一見、もっともらしく聞こえますが、この「弱者の戦略という本を読むと、的外れな意見だということがよくわかります。

まず自然界は「弱肉強食」ではありません。

おそらく「ライオンがシマウマを食べる」といった食物連鎖の一部分だけをとりあげて言っているのでしょうが、絶滅しかけているのはライオンの方で、シマウマは維持しています。いったいどちらが弱者でどちらが強者と呼べばいいのでしょうか。

種としてみるなら最も繁栄しているのは蟻などの昆虫です。

彼らは、強固な組織力を身に着けて、ちょっとやそっとの環境の変化にもぐらつかない驚異的な繁栄力を持っています。

実は人間も同じです。

食物連鎖ではウサギとオオカミの間ぐらいだった人間も、組織力を身に着けることで、オオカミを狩り、農耕する能力を手に入れました。

社会性は人間という種が繁栄するための武器なのです。

弱い個体を守るという社会性は、オオカミやサルの群れなどでもみられる行動であり、ましてや人間が同じ種を守るのは必然です。

多様な組織ほど環境の変化に強く、適合しやすい柔軟性を持っています。だとすれば、子供やお年寄りやその他、弱い個体を守り、組織の構成員とすることは、強固な組織を作る条件となります。(蟻の組織内でも一定の割合で働かない蟻が存在するそうですよ)

弱者を助ける社会というのは、むしろ人間組織の懐の深さ、柔軟性、強さにつながっていると考えた方がよさそうです。

以上、余談でした。



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