営業は「点取り屋」ではない!

2010.07.15

(2010年7月15日メルマガより)

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■サッカーワールドカップ南アフリカ大会は、スペインの初優勝で幕を閉じ
ました。

約1ヶ月に渡って続いた世界最大のスポーツイベントです。皆さん、十分に
楽しまれたでしょうか。

特に、日本代表が予想外の活躍を見せたので、俄かサッカーファンは大いに
盛り上がったのではないですか。

まさに私がそうです^^

普段、サッカーをあまり見ない私としても、日本代表の試合はもちろん必死
で。その他強豪国の試合までうれしがって観てしまいました。

スペインとオランダの決勝もしかり。朝、3時に何となく目が覚めて、観て
しまいましたよ。

緊迫感のあるいい試合でしたねーーー。

強豪国の本気の試合を観ると、我が日本代表岡田監督が掲げた4強という目
標の途方もない高さが分かるというものでした。

■今回、4強に残ったのが、スペイン、オランダ、ドイツ、ウルグアイでし
た。

彼らと日本代表では何が違ったのか?

全部違うじゃないかーーーと怒られそうですが、それは置いておいて。

評論家などの意見を聞いていると、日本代表のディフェンス力は世界に通用
するということでした。

確かに、今大会わずか2失点。あのオランダ相手に、前半は殆ど攻撃をさせ
ませんでした。

強豪国の試合を見ていても、日本が相手ならこんな決定機は作れないはずだ
と思う場面がよくありました。身びいきかも知れませんが...

だがオランダが勝ち上がり、日本は勝ちあがれなかったのはなぜか。

これも複数の評論家が、日本に足りないのは、膠着状態を突き破る優秀なフ
ォワードだと論評しています。

■4強の顔ぶれを見ると、すぐに決定力のあるフォワードが思い浮かびます。

スペイン、ビジャ。

オランダ、ロッベン。

ドイツ、クローゼ。ミュラー。

ウルグアイ、フォルラン。

特に、FIFAランク18位のウルグアイを4強に導いた原動力といわれる
フォルランは、今大会のMVPに選ばれました。

まさに強豪国に名フォワードあり、です。

分かっていながら、育成できるものではないのがフォワードであるとはいえ、
悔しい限りです。

■前置きが長くなりました。

実は、今回、ワールドカップを観ていて、ある人の言葉を思い出しました。

その方は、サッカーが好きな経営者で、よくサッカーに例えた話をする方で
した。

その方の持論は「営業はフォワードのようなもの。点さえとってくれればい
いんだ」というものです。

いわゆる「営業は結果を出してナンボ」という考えです。

むしろ、ゴチャゴチャ理屈を言わない方がいい。こちらが示した商品を黙っ
て売ってくれば、高い給料を払ってやるぞ。

このメルマガを何度か読んでくださっている方なら、私がそのような考えに
同意できないことはよくご存知だと思います。

営業は単なる売り子ではありませんし、結果だけで判断されるべきものでは
ありません。営業を結果でしか評価しない会社は、固定費で外部の営業代行
を養っているようなもの。いつまで経っても自社の営業力を伸ばすことはで
きません。

その方は、私のクライアントではなかったのですが、知人だったので、何度
か討議をしましたが、結局平行線をたどりました。

経営者としては、コンサルの机上の理想論に与するいわれはないと思ったん
でしょうね。

あんたって甘いねーーーといつも表情で言っていました。

■その方と私の意見が一致するのは、優秀な営業は総じて現場に強く、実践
的だという事実認識に関してです。

考えてから行動する、行動しながら考える。タイプはいろいろでしょうが、
いずれにしろ、現場に行かないと正しい答えを出せないことを知っているの
が、優秀な営業マンの姿です。

私は営業に必要な資質・能力を

(1)コミュニケーション能力

(2)目標達成意欲

だと考えています。

コミュニケーション能力とは、顧客やその他周辺の方々と意思疎通する能力
です。

相手の話をよく聞いて理解する。あるいはこちらの考えや主張を正しく伝え
る。いわば人間としての基本能力です。

といって口下手な人がいい営業になれないわけではありません。

コミュニケーションは言葉だけではありません。相手の表情を読み、それを
感じ取るのもコミュニケーション能力の1つです。

我々は、相手の顔を見ないでも、その場の雰囲気の変化で感情や思考の流れ
を読み取るような能力を持ち合わせているはずです。いわゆる「空気を読む」
というやつですね。

こうした感じ取る力は、意識することで、ある程度までは鋭敏にすることが
できます。

逆に、こちらから伝える場合。言葉で話すのが得意ではないなら、企画書を
作って提出してもいいでしょう。私の知っている営業マンは、極度の口下手
で、いつも自作の詳細な企画書を持ち歩いていました。それをツールにあら
ゆる顧客とコミュニケーションをとり、実績を上げていました。

営業の現場力の主要な部分は、こうした有形無形のコミュニケーション能力
に支えられています。

現場に行って、顧客やその他の方と直接話して情報を得る。情報を伝える。
それがなければ始まりません。

経験を積むと、顧客の機嫌の良し悪し、顧客の性格、立場、状況を読み取っ
て、こちらの対応を変えることができるようになります。個人差はあるにせ
よ、誰もが経験で対応できるようになります。

これがいわゆるベテランのノウハウというものでしょう。

■ただし、これだけでは一歩抜き出ることはできません。

若いうちから成績を残す人の最大の資質が「意欲」であるというのが私の印
象です。

理屈ではこうなると計算できても、実際には当てが外れることがよくありま
す。

人間は合理的に動くとは限りませんから、突拍子もないことが起こり得ます。

そんな時、粘って考えて工夫できるか、諦めるかの違いは、実は「目標を達
成してやろう」という意欲の差だと私は考えます。

僭越ながら私が営業時代、成績を残せたのは「何とかしてやる」という意欲
の力であったと思い返します。

もし当時の関係者がこれを読んでいたら気分を害されるかも知れないので申
し訳ないとは思うのですが、多くの営業が「何としても、この仕事をモノに
したい」という意欲を持ち合わせておらず、すぐに諦めてしまうのを見てき
ました。

例えば、ある販促物が必要だと言われて、社内で予算がないと否定されても、
過去に作った販促物で代用できないか、他部署で作成した販促物は使えない
か、少し改良すれば流用できないか、あるいは自作でなんとかならないかと
材料を買ってきて工作する手間をかけることができないか。

そんな時、私が各所の担当者に応援要請の電話をしている横で、同僚や先輩
が「メンドクサイことやってるな」と呆れて、あっさりと諦めるのが、逆に
不思議でならなかったものです。

今更ながら思いますが、私の営業方法は、スマートさに欠ける泥臭いもので
すね^^;しかし、そういう悪あがきから実績を拾ってきたのは事実です。

今の人が意欲を失っているというつもりはありません。昔も、意欲のない人
はいっぱいいました。

結局、そういう方は、自分の目標と会社の目標がリンクしていないのかも知
れません。

あるいは、目標そのものがなく、日々を過ごしているのかも知れません。

意欲のあるなしで、営業行動にそれほど極端な差が出るわけではないでしょ
う。ほんの少しの差のはずです。

ほんの少しの差だから、気づかないのでしょうね。だからいつの間にか、実
績をいつも残せる人、残せない人に分かれてしまうのでしょう。

■現場百回。

いい言葉ですね。

現場に百回通って、粘って工夫しろ。

理屈じゃない。身体で覚えろ。

こうして営業は一人前になっていきます。

会社会社で独自の営業ワールドができていく所以です。

■どこの会社にも、こうした"ほんの少しの差"で、実績を残してきたベテ
ラン営業がいるはずです。

私が、前の会社に残っていたなら、そういう元カリスマ営業の一人になって
いたかも知れません。

しかし、今、私はコンサルタントという立場で、様々な会社の営業を見るこ
とになりました。

コンサルタントという冷徹な部外者の視点から見てみると、そうした美しい
現場主義の物語の裏側にある影の部分にも気づくことになりました。

■現場はまさに理屈の通らない世界です。その場その場で臨機応変な対応を
迫られます。

だから現場を知らない奴にあれこれ言われたくない。かといって、現場で起
きていることを知らない奴に理解させることはできない。

こうして、現場至上主義者は、秘密主義になっていきます。

管理者とすれば、実績を上げていないなら介入の理由もあるのですが、実績
を上げている限りは文句を言えない。

逆に言えば、秘密主義を貫こうとすれば、実績を上げ続ける必要に駆られま
す。とりあえず、実績を上げよう。会社の方針はともかく、派手な実績を稼
がなければならない。

いわゆる短期実績主義。利己主義です。

かといって、短期実績を自転車操業のように上げ続けるのはキツイので、持
続的に実績を上げるために、自分の顧客を囲い込むようになります。

その突出したコミュニケーション能力をフルに発揮して、自分の担当先を味
方に引き入れてしまいます。

それはそれで素晴らしい才覚なのですが、彼はその顧客を自分の実績を上げ
るためだけに活用します。

極端な事例でいうと、普段は担当者に利益を誘導してやって、いざという時
無理を聞いてもらうような関係の構築です。

実際にあった例では、ある会社のエースと言われる営業が、こっそり裏伝票
を切って利益を相手に渡し、売上ノルマ達成を続けていました。

彼は「このご時勢ですから、利益確保は難しいですよ。とりあえず工場の稼
働率だけは何とかしないとねーー」と嘯いていました。こうなれば極道営業
ですな。

(ちなみに、この事例では、その営業は得意先から個人リベートを受け取っ
ているという噂もありました。立派な犯罪です。そこまで追求する前に辞め
ていったので、結局お咎めなし。日本の会社は甘いですね...)

このように秘密主義を許していると、営業は部分最適に走ります。

しかも恐ろしいことに、こうした営業マンは、自分が胡散臭いことをやって
いるという自覚が殆どない。

「裏技も営業の能力だ」と堂々と主張する輩もいます。

■自分の顧客を囲い込んで、秘密主義を貫く"自称・できる営業"は、会社
の方針を軽視しています。

「顧客に呼ばれました」と会社の会議や研修に平気で遅れてきたり、休んだ
りするのは、こういう人たちです。

会社が大きく方針転換して、組織を改変するようになると、完全に抵抗勢力
になります。

彼らの言い分は「お客さんのためになりません」「お客さんが怒りますよ」

営業がこういうことを言い出したら、疑ってかかってください^^

要するに、担当を替えられたら、仕事がやりにくくなるわけです。また一か
ら関係構築するよりも、楽なポジションを手放したくない。

「あのお客さんは私でしか無理です」などと戯言を言い出します。

酷い時には、顧客と示し合わせて「担当を替えるぐらいなら取引をやめる」
などと言わせたりするかも知れません。

当然のことながら、担当を替えたぐらいで取引を止めるような顧客なら、さ
っさと見限った方がいいですね。

ともかく、これが「営業は実績を上げてさえいればいい」という管理方針の
成れの果てです。

■そもそも「営業は点取り屋だ」という人は、営業という仕事を軽視してい
ます。

営業は実績を上げてさえいればいいと主張する経営者は、営業にまともに向
き合わず、管理する仕事を放棄しているに過ぎません。

当の営業自身も、実績さえ上げればいいという姿勢は、自分自身の価値を下
げていることに気づかなければなりません。

立場を維持して、卑小なプライドと小銭を確保できればいいやという輩に成
り下がってはダメです。

■営業に必要なもう一つの能力は

(3)戦略的思考力

です。

戦略的思考とは、

1.全体を見渡して考える。

2.長期的視野から考える。

3.目的に応じているかどうかで考える。

4.因果関係やプロセスで考える。

という思考のことです。

■特に営業は「目的に応じているか」という視点で、自分の姿勢をもう一度
問い直していただきたい。

会社の方針を軽視して、居心地のいい立場を維持することが本当にあなたの
目的なのか?

顧客と深い関係を築くことができるあなたの能力は、組織をよりよい方向へ
進めるために役立てるべきではないか?

会社が新しい方向へ動き出そうとする時、抵抗勢力になって顧客に会社の悪
口を吹き込むことが、あなたのすべきことなのか?

会社の目的と自分の人生の目的をリンクすることが出来れば、会社生活は充
実したものになるはずです。

それなら、まずは、会社は何を目的としているのか。自分は何を目的とすべ
きかをよく考えてみてください。

もし会社の目的が明瞭でないと思うならば、会社にそう問うてください。そ
れこそが建設的な姿勢であり、豊かな人生を取り戻すことにつながります。

■サッカー好きの例の経営者はどうしておられるんですかね。

最近、ご無沙汰しております。

また会えば、営業を「点取り屋」と考えている以上は、会社に発展性はない
と言ってやろうと思っているのですがね^^;

まあ、今はまだワールドカップの余韻に浸っているでしょうけど。。。

そういえば、今大会、最も注目されたストライカーの一人が、アルゼンチン
のメッシでした。

マラドーナ監督の再来と期待され、監督自身も、メッシ中心のチームづくり
をしたことから多大の信頼を寄せていたことが分かります。

メッシ自身、プレッシャーに押しつぶされることなく、各国の厳しいマーク
をかいくぐり、非凡なプレーを随所に見せてくれました。

しかし、彼らは8強止まり。メッシは、ドイツの組織力の前に完封されてし
まいました。

思えば、日本代表の躍進もカメルーン戦で今大会屈指のフォワードであるエ
トーを押さえ込んだことから始まりました。

期待されたアフリカ勢が振るわず、アジア勢が大会を盛り上げたのも、個人
の能力に頼った組織が、チームの総合力で勝負する組織に勝てないことを端
的に示していると考えられます。

サッカーの例と営業を短絡的に結びつけるわけではありませんが、このメル
マガを締めくくる話として座りがいいので、載せておきました^^


(2010年7月15日メルマガより)

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■サッカーワールドカップ南アフリカ大会は、スペインの初優勝で幕を閉じ
ました。

約1ヶ月に渡って続いた世界最大のスポーツイベントです。皆さん、十分に
楽しまれたでしょうか。

特に、日本代表が予想外の活躍を見せたので、俄かサッカーファンは大いに
盛り上がったのではないですか。

まさに私がそうです^^

普段、サッカーをあまり見ない私としても、日本代表の試合はもちろん必死
で。その他強豪国の試合までうれしがって観てしまいました。

スペインとオランダの決勝もしかり。朝、3時に何となく目が覚めて、観て
しまいましたよ。

緊迫感のあるいい試合でしたねーーー。

強豪国の本気の試合を観ると、我が日本代表岡田監督が掲げた4強という目
標の途方もない高さが分かるというものでした。

■今回、4強に残ったのが、スペイン、オランダ、ドイツ、ウルグアイでし
た。

彼らと日本代表では何が違ったのか?

全部違うじゃないかーーーと怒られそうですが、それは置いておいて。

評論家などの意見を聞いていると、日本代表のディフェンス力は世界に通用
するということでした。

確かに、今大会わずか2失点。あのオランダ相手に、前半は殆ど攻撃をさせ
ませんでした。

強豪国の試合を見ていても、日本が相手ならこんな決定機は作れないはずだ
と思う場面がよくありました。身びいきかも知れませんが...

だがオランダが勝ち上がり、日本は勝ちあがれなかったのはなぜか。

これも複数の評論家が、日本に足りないのは、膠着状態を突き破る優秀なフ
ォワードだと論評しています。

■4強の顔ぶれを見ると、すぐに決定力のあるフォワードが思い浮かびます。

スペイン、ビジャ。

オランダ、ロッベン。

ドイツ、クローゼ。ミュラー。

ウルグアイ、フォルラン。

特に、FIFAランク18位のウルグアイを4強に導いた原動力といわれる
フォルランは、今大会のMVPに選ばれました。

まさに強豪国に名フォワードあり、です。

分かっていながら、育成できるものではないのがフォワードであるとはいえ、
悔しい限りです。

■前置きが長くなりました。

実は、今回、ワールドカップを観ていて、ある人の言葉を思い出しました。

その方は、サッカーが好きな経営者で、よくサッカーに例えた話をする方で
した。

その方の持論は「営業はフォワードのようなもの。点さえとってくれればい
いんだ」というものです。

いわゆる「営業は結果を出してナンボ」という考えです。

むしろ、ゴチャゴチャ理屈を言わない方がいい。こちらが示した商品を黙っ
て売ってくれば、高い給料を払ってやるぞ。

このメルマガを何度か読んでくださっている方なら、私がそのような考えに
同意できないことはよくご存知だと思います。

営業は単なる売り子ではありませんし、結果だけで判断されるべきものでは
ありません。営業を結果でしか評価しない会社は、固定費で外部の営業代行
を養っているようなもの。いつまで経っても自社の営業力を伸ばすことはで
きません。

その方は、私のクライアントではなかったのですが、知人だったので、何度
か討議をしましたが、結局平行線をたどりました。

経営者としては、コンサルの机上の理想論に与するいわれはないと思ったん
でしょうね。

あんたって甘いねーーーといつも表情で言っていました。

■その方と私の意見が一致するのは、優秀な営業は総じて現場に強く、実践
的だという事実認識に関してです。

考えてから行動する、行動しながら考える。タイプはいろいろでしょうが、
いずれにしろ、現場に行かないと正しい答えを出せないことを知っているの
が、優秀な営業マンの姿です。

私は営業に必要な資質・能力を

(1)コミュニケーション能力

(2)目標達成意欲

だと考えています。

コミュニケーション能力とは、顧客やその他周辺の方々と意思疎通する能力
です。

相手の話をよく聞いて理解する。あるいはこちらの考えや主張を正しく伝え
る。いわば人間としての基本能力です。

といって口下手な人がいい営業になれないわけではありません。

コミュニケーションは言葉だけではありません。相手の表情を読み、それを
感じ取るのもコミュニケーション能力の1つです。

我々は、相手の顔を見ないでも、その場の雰囲気の変化で感情や思考の流れ
を読み取るような能力を持ち合わせているはずです。いわゆる「空気を読む」
というやつですね。

こうした感じ取る力は、意識することで、ある程度までは鋭敏にすることが
できます。

逆に、こちらから伝える場合。言葉で話すのが得意ではないなら、企画書を
作って提出してもいいでしょう。私の知っている営業マンは、極度の口下手
で、いつも自作の詳細な企画書を持ち歩いていました。それをツールにあら
ゆる顧客とコミュニケーションをとり、実績を上げていました。

営業の現場力の主要な部分は、こうした有形無形のコミュニケーション能力
に支えられています。

現場に行って、顧客やその他の方と直接話して情報を得る。情報を伝える。
それがなければ始まりません。

経験を積むと、顧客の機嫌の良し悪し、顧客の性格、立場、状況を読み取っ
て、こちらの対応を変えることができるようになります。個人差はあるにせ
よ、誰もが経験で対応できるようになります。

これがいわゆるベテランのノウハウというものでしょう。

■ただし、これだけでは一歩抜き出ることはできません。

若いうちから成績を残す人の最大の資質が「意欲」であるというのが私の印
象です。

理屈ではこうなると計算できても、実際には当てが外れることがよくありま
す。

人間は合理的に動くとは限りませんから、突拍子もないことが起こり得ます。

そんな時、粘って考えて工夫できるか、諦めるかの違いは、実は「目標を達
成してやろう」という意欲の差だと私は考えます。

僭越ながら私が営業時代、成績を残せたのは「何とかしてやる」という意欲
の力であったと思い返します。

もし当時の関係者がこれを読んでいたら気分を害されるかも知れないので申
し訳ないとは思うのですが、多くの営業が「何としても、この仕事をモノに
したい」という意欲を持ち合わせておらず、すぐに諦めてしまうのを見てき
ました。

例えば、ある販促物が必要だと言われて、社内で予算がないと否定されても、
過去に作った販促物で代用できないか、他部署で作成した販促物は使えない
か、少し改良すれば流用できないか、あるいは自作でなんとかならないかと
材料を買ってきて工作する手間をかけることができないか。

そんな時、私が各所の担当者に応援要請の電話をしている横で、同僚や先輩
が「メンドクサイことやってるな」と呆れて、あっさりと諦めるのが、逆に
不思議でならなかったものです。

今更ながら思いますが、私の営業方法は、スマートさに欠ける泥臭いもので
すね^^;しかし、そういう悪あがきから実績を拾ってきたのは事実です。

今の人が意欲を失っているというつもりはありません。昔も、意欲のない人
はいっぱいいました。

結局、そういう方は、自分の目標と会社の目標がリンクしていないのかも知
れません。

あるいは、目標そのものがなく、日々を過ごしているのかも知れません。

意欲のあるなしで、営業行動にそれほど極端な差が出るわけではないでしょ
う。ほんの少しの差のはずです。

ほんの少しの差だから、気づかないのでしょうね。だからいつの間にか、実
績をいつも残せる人、残せない人に分かれてしまうのでしょう。

■現場百回。

いい言葉ですね。

現場に百回通って、粘って工夫しろ。

理屈じゃない。身体で覚えろ。

こうして営業は一人前になっていきます。

会社会社で独自の営業ワールドができていく所以です。

■どこの会社にも、こうした"ほんの少しの差"で、実績を残してきたベテ
ラン営業がいるはずです。

私が、前の会社に残っていたなら、そういう元カリスマ営業の一人になって
いたかも知れません。

しかし、今、私はコンサルタントという立場で、様々な会社の営業を見るこ
とになりました。

コンサルタントという冷徹な部外者の視点から見てみると、そうした美しい
現場主義の物語の裏側にある影の部分にも気づくことになりました。

■現場はまさに理屈の通らない世界です。その場その場で臨機応変な対応を
迫られます。

だから現場を知らない奴にあれこれ言われたくない。かといって、現場で起
きていることを知らない奴に理解させることはできない。

こうして、現場至上主義者は、秘密主義になっていきます。

管理者とすれば、実績を上げていないなら介入の理由もあるのですが、実績
を上げている限りは文句を言えない。

逆に言えば、秘密主義を貫こうとすれば、実績を上げ続ける必要に駆られま
す。とりあえず、実績を上げよう。会社の方針はともかく、派手な実績を稼
がなければならない。

いわゆる短期実績主義。利己主義です。

かといって、短期実績を自転車操業のように上げ続けるのはキツイので、持
続的に実績を上げるために、自分の顧客を囲い込むようになります。

その突出したコミュニケーション能力をフルに発揮して、自分の担当先を味
方に引き入れてしまいます。

それはそれで素晴らしい才覚なのですが、彼はその顧客を自分の実績を上げ
るためだけに活用します。

極端な事例でいうと、普段は担当者に利益を誘導してやって、いざという時
無理を聞いてもらうような関係の構築です。

実際にあった例では、ある会社のエースと言われる営業が、こっそり裏伝票
を切って利益を相手に渡し、売上ノルマ達成を続けていました。

彼は「このご時勢ですから、利益確保は難しいですよ。とりあえず工場の稼
働率だけは何とかしないとねーー」と嘯いていました。こうなれば極道営業
ですな。

(ちなみに、この事例では、その営業は得意先から個人リベートを受け取っ
ているという噂もありました。立派な犯罪です。そこまで追求する前に辞め
ていったので、結局お咎めなし。日本の会社は甘いですね...)

このように秘密主義を許していると、営業は部分最適に走ります。

しかも恐ろしいことに、こうした営業マンは、自分が胡散臭いことをやって
いるという自覚が殆どない。

「裏技も営業の能力だ」と堂々と主張する輩もいます。

■自分の顧客を囲い込んで、秘密主義を貫く"自称・できる営業"は、会社
の方針を軽視しています。

「顧客に呼ばれました」と会社の会議や研修に平気で遅れてきたり、休んだ
りするのは、こういう人たちです。

会社が大きく方針転換して、組織を改変するようになると、完全に抵抗勢力
になります。

彼らの言い分は「お客さんのためになりません」「お客さんが怒りますよ」

営業がこういうことを言い出したら、疑ってかかってください^^

要するに、担当を替えられたら、仕事がやりにくくなるわけです。また一か
ら関係構築するよりも、楽なポジションを手放したくない。

「あのお客さんは私でしか無理です」などと戯言を言い出します。

酷い時には、顧客と示し合わせて「担当を替えるぐらいなら取引をやめる」
などと言わせたりするかも知れません。

当然のことながら、担当を替えたぐらいで取引を止めるような顧客なら、さ
っさと見限った方がいいですね。

ともかく、これが「営業は実績を上げてさえいればいい」という管理方針の
成れの果てです。

■そもそも「営業は点取り屋だ」という人は、営業という仕事を軽視してい
ます。

営業は実績を上げてさえいればいいと主張する経営者は、営業にまともに向
き合わず、管理する仕事を放棄しているに過ぎません。

当の営業自身も、実績さえ上げればいいという姿勢は、自分自身の価値を下
げていることに気づかなければなりません。

立場を維持して、卑小なプライドと小銭を確保できればいいやという輩に成
り下がってはダメです。

■営業に必要なもう一つの能力は

(3)戦略的思考力

です。

戦略的思考とは、

1.全体を見渡して考える。

2.長期的視野から考える。

3.目的に応じているかどうかで考える。

4.因果関係やプロセスで考える。

という思考のことです。

■特に営業は「目的に応じているか」という視点で、自分の姿勢をもう一度
問い直していただきたい。

会社の方針を軽視して、居心地のいい立場を維持することが本当にあなたの
目的なのか?

顧客と深い関係を築くことができるあなたの能力は、組織をよりよい方向へ
進めるために役立てるべきではないか?

会社が新しい方向へ動き出そうとする時、抵抗勢力になって顧客に会社の悪
口を吹き込むことが、あなたのすべきことなのか?

会社の目的と自分の人生の目的をリンクすることが出来れば、会社生活は充
実したものになるはずです。

それなら、まずは、会社は何を目的としているのか。自分は何を目的とすべ
きかをよく考えてみてください。

もし会社の目的が明瞭でないと思うならば、会社にそう問うてください。そ
れこそが建設的な姿勢であり、豊かな人生を取り戻すことにつながります。

■サッカー好きの例の経営者はどうしておられるんですかね。

最近、ご無沙汰しております。

また会えば、営業を「点取り屋」と考えている以上は、会社に発展性はない
と言ってやろうと思っているのですがね^^;

まあ、今はまだワールドカップの余韻に浸っているでしょうけど。。。

そういえば、今大会、最も注目されたストライカーの一人が、アルゼンチン
のメッシでした。

マラドーナ監督の再来と期待され、監督自身も、メッシ中心のチームづくり
をしたことから多大の信頼を寄せていたことが分かります。

メッシ自身、プレッシャーに押しつぶされることなく、各国の厳しいマーク
をかいくぐり、非凡なプレーを随所に見せてくれました。

しかし、彼らは8強止まり。メッシは、ドイツの組織力の前に完封されてし
まいました。

思えば、日本代表の躍進もカメルーン戦で今大会屈指のフォワードであるエ
トーを押さえ込んだことから始まりました。

期待されたアフリカ勢が振るわず、アジア勢が大会を盛り上げたのも、個人
の能力に頼った組織が、チームの総合力で勝負する組織に勝てないことを端
的に示していると考えられます。

サッカーの例と営業を短絡的に結びつけるわけではありませんが、このメル
マガを締めくくる話として座りがいいので、載せておきました^^


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