戦略には「感動」が必要だ

2015.05.28

(2015年5月28日メルマガより)



■まずはこの記事。


参考:キツイ、汚い...新幹線清掃を「奇跡の職場」に変えた人物〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150514-00000000-sasahi-bus_all

ヤフーニュースなので、そのうち消されるかも知れませんが...

新幹線の清掃を請け負う会社の話です。(JR東日本の子会社で、JR東日本テクノハートTESSEI)

仕事は明確です。営業も必要なし。下請けからの脱却、なんてテーマではありません。

役割は、折り返しの新幹線車内を素早く的確に清掃すること。

この会社は、7分でそれを終わらせるそうで、海外メディアから「7ミニッツミラクル」などと称賛されたこともあるようです。

■まあ、いうなれば、毎日決まったことを当たり前にやることが仕事です。創造性が必要とされるわけでもないでしょう。

やって当たり前。ミスすればクレームです。普通に考えれば面白味のない3K職場だということです。

ところが、この会社は従業員のモチベーションが高く、メディアから取材されるほどです。

何でなんだろう?

というのが、この記事ですね。

■答えは、この会社を高モチベーションの集団に変えた人物がいるということ

以前は、やる気のない職場だったのが、JR東日本からやってきたこの人物が様々な施策をうって、今のような状態に持っていったのだそうです。

プロジェクトXのようないい話ですね^^例が古いか。

■どのようにして、この面白味のない職場を面白くしたのか。

この人(矢部輝夫さん)は、まずリーダーの最大要件である「ビジョン」を皆に見せる。ということをやっています。

「我々の仕事は清掃業でなくサービス業です。あなたがたは掃除のおじちゃん、おばちゃんではなく、新幹線劇場のキャスト。お客様に温かな思い出をお持ち帰りいただくのが仕事です」

このビジョンは、この清掃会社の従業員に、価値転換を図るものです。乗客の放置したゴミの後始末をする仕事ではなく、これから乗る乗客のために、いい思い出という価値を提供しているのだ。まるでディズニーランドのクルーです。

このビジョンを形にするために劇場のキャストらしい制服に一新したといいます。

■ただし、これだけでは、従業員の心は動きません。形だけ整えても、大半は半信半疑です。これを何とかするのが難しい。

なぜかというと、面白みのない職場の従業員は、仕事を作業だと思っています。生活のために仕方なくやっている。楽しみは、仕事の後に待っているので、はやく終わらんかなーとしか思っていない。ゴミが散らかっていたりすると、思わず乗客を心の中で罵ったりしていることでしょう。

つまり、従業員は、仕事に「参加」していないのです。作業として関わっているだけです。

そんなメンバーを巧言で働かそうとしても、6割は白けて、2割は反発してしまいます。

私はコンサルタントという立場で、そのような現場をイヤというほど見てきています。そういう職場では、成果が出るようには動いてもらえません。

■どのようにすれば、皆が仕事に「参加」するようになるのか。

皆は無理かも知れませんが、8割が参加するにはどうすればいいのか。

この記事ではあっさりとしか書かれていませんが、「エンジェル・リポート」なる施策を導入。これはお互いが「良い行い」をリポートしあうというものです。

従業員同士が、お互いのいいところを見つけあい、認め合うことで、チーム内に仲間意識が芽生えてくるはずです。

もちろん組織が変わっていくまでには、相当の紆余曲折があったはずです。それぐらい組織に蔓延する他人事感は根深いものですから。

しかし、相当の時間がかかったとしても、やりぬかなければ、自律的な組織はできあがりません。

■チームが一丸になった時のパワーは予想以上のものです。

私自身、身売りも検討されていた小さな事業部が、あっという間に世界トップになったという経験をしています。あの時の凄まじいエネルギーといったら!

コンサルティングの成否も、一丸になれるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。

人間は一人では弱い。やはりチーム一丸になった時に大きな力を発揮する存在なのでしょう。

次の記事です。

参考:なぜ退役軍人は戦争が恋しくなるのか? その理由は「人殺し」とは真逆の感情だった(ログミー)
http://logmi.jp/55608

これは重い記事です。アメリカの退役軍人が、戦争が好きなわけではないのに、戦場に戻りたくなるという話です。

なぜならそこには究極の一体感があったからです。(記事では同胞愛といっています)

戦場では、部隊のメンバーが欠けることは自らの死が迫っていることを意味します。だから軍隊では、メンバーの命を守ることは、自分の命を守ることです。そこでは、自分だけが逃げようという欲求は命取りになります。究極の他利です。

シンプルな役割分担と濃密な助け合いの関係が、戦場で生き残るための最適解です。

戦争という重い話ですが、そこには人間の能力がチームとなった時に最も発揮されるのだという真実が含まれていると感じます。

■孫子には「よく士卒の耳目を愚にして、ゆくことなからしむ」という言葉があります。

兵隊の認識能力を無力化して、逃亡しないようにせよ。という意味で、これまた身も蓋もない言い方です。

兵隊は、状況を知ったら逃げてしまう。だから騙して、敵地まで連れていって、必死で戦わなければならないように追い込め。と言っています。

現代ではブラック企業のマネジメントですな。

この部分はさすがに私も、ビジネスセミナーで説明することを避けておりました。

ただ、今回、上の退役軍人の記事を読むにつけ、孫子のいうことは「究極の一体感」を作ることがチーム力を発揮する道なんだと解釈できることに気づきました。

さすが孫子です。実に現実的です。

もっとも従業員を騙せ、というのは肯定できませんが。

■では、現代に生きる我々が、ビジネスで活用するためにはどうすればいいのか。

今回はもう一つの事例を。

参考:涙でチームが一体化! ヤマト運輸の「感動研修」(プレジデント・オンライン)
http://president.jp/articles/-/15186

宅急便の仕事というのはキツイでしょうね。想像に難くありません。

その分、報酬もいいわけですが、それだけではモタなくなります。離職率も高いでしょうし、社内もギスギスするはずです。

それを払しょくし、一丸のチームを作るためには、一本筋の通ったビジョンが必要です。それは、先ほどの清掃会社と同じです。

その上で、会社が進むビジョンに「参加」してもらうためにどうすればいいのか。

■ヤマト運輸は「感動」という手法を使います。

メンバーが仕事で経験したちょっといい話や感動した話をスライドにして皆で鑑賞する。音楽などの演出つきです。

「感動」はエンターテイメントの中では最も原初的で容易であるといわれますが、効果は絶大です。この研修を受けたメンバーの中ではすすり泣く人もいるらしい。外国人も泣くというから、感動はグローバルなんですね。

「感動」は、最も単純な「参加」の証明です。感動して泣くというのは、当事者意識を持っているということ。斜めに見ている人は感動などできません。

感動するスライドを見て、皆で、感想や自分の体験を述べ合う。これを繰り返すことで、チームに一体感を醸成していくわけです。

理屈で語って行動を促すよりも、何倍も効果が高いはずです。

■孫子のいうように、騙して戦地に追い込むよりは、ずっと時間がかかる方法です。

しかし、時間がかかるというのは、それだけ差別化として優れている(真似されにくい)ということです。

混迷の時代、不確実な時代といいますが、この時代に単純なトップダウンは危険極まりない。

孫子も別のところでは「戦道必ず勝たば、主は戦うことなかれと日うも、必ず戦いて可なり。戦道勝たざれば、主は必ず戦えと日うも、戦うことなくして可なり」と言っています。

(必ず勝てる見込みがあるならば、君主が戦ってはならないと言っても、戦って構わない。勝てる見込みがないならば、君主が必ず戦えと言っても、戦わなくて構わない)

そのような人材は、国の宝だ。とまで言っています。

われわれは、時間がかかったとしても、自分で考えられる人材、自律的に動く組織づくりを目指すべきなのです。

■現在、多くの、いやほとんどの会社や組織が、そのような人材やチームをどのように作ればいいのだろうかと悩んでいるはずです。

売上をあげる、市場シェアを高める、という課題においては、ランチェスター戦略をはじめとする方法論がある程度確立されています。

しかし、正しい戦略を現場に応用しながら着実に実行してもらうためにはどうすればいいのか。

言い換えれば、チームメンバーの大半が、会社の目標達成に「参加」し、一丸のパワーを発揮するにはどうすればいいのか。

そのことに関しては、私も長い間、試行錯誤でやってきました。今でも確実な答えを持っているわけではありません。

しかし、このような事例をみるにつけ、「感動」というキーワードは、その大きなヒントになるのではないか。と私は考えています。

(2015年5月28日メルマガより)



■まずはこの記事。


参考:キツイ、汚い...新幹線清掃を「奇跡の職場」に変えた人物〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150514-00000000-sasahi-bus_all

ヤフーニュースなので、そのうち消されるかも知れませんが...

新幹線の清掃を請け負う会社の話です。(JR東日本の子会社で、JR東日本テクノハートTESSEI)

仕事は明確です。営業も必要なし。下請けからの脱却、なんてテーマではありません。

役割は、折り返しの新幹線車内を素早く的確に清掃すること。

この会社は、7分でそれを終わらせるそうで、海外メディアから「7ミニッツミラクル」などと称賛されたこともあるようです。

■まあ、いうなれば、毎日決まったことを当たり前にやることが仕事です。創造性が必要とされるわけでもないでしょう。

やって当たり前。ミスすればクレームです。普通に考えれば面白味のない3K職場だということです。

ところが、この会社は従業員のモチベーションが高く、メディアから取材されるほどです。

何でなんだろう?

というのが、この記事ですね。

■答えは、この会社を高モチベーションの集団に変えた人物がいるということ

以前は、やる気のない職場だったのが、JR東日本からやってきたこの人物が様々な施策をうって、今のような状態に持っていったのだそうです。

プロジェクトXのようないい話ですね^^例が古いか。

■どのようにして、この面白味のない職場を面白くしたのか。

この人(矢部輝夫さん)は、まずリーダーの最大要件である「ビジョン」を皆に見せる。ということをやっています。

「我々の仕事は清掃業でなくサービス業です。あなたがたは掃除のおじちゃん、おばちゃんではなく、新幹線劇場のキャスト。お客様に温かな思い出をお持ち帰りいただくのが仕事です」

このビジョンは、この清掃会社の従業員に、価値転換を図るものです。乗客の放置したゴミの後始末をする仕事ではなく、これから乗る乗客のために、いい思い出という価値を提供しているのだ。まるでディズニーランドのクルーです。

このビジョンを形にするために劇場のキャストらしい制服に一新したといいます。

■ただし、これだけでは、従業員の心は動きません。形だけ整えても、大半は半信半疑です。これを何とかするのが難しい。

なぜかというと、面白みのない職場の従業員は、仕事を作業だと思っています。生活のために仕方なくやっている。楽しみは、仕事の後に待っているので、はやく終わらんかなーとしか思っていない。ゴミが散らかっていたりすると、思わず乗客を心の中で罵ったりしていることでしょう。

つまり、従業員は、仕事に「参加」していないのです。作業として関わっているだけです。

そんなメンバーを巧言で働かそうとしても、6割は白けて、2割は反発してしまいます。

私はコンサルタントという立場で、そのような現場をイヤというほど見てきています。そういう職場では、成果が出るようには動いてもらえません。

■どのようにすれば、皆が仕事に「参加」するようになるのか。

皆は無理かも知れませんが、8割が参加するにはどうすればいいのか。

この記事ではあっさりとしか書かれていませんが、「エンジェル・リポート」なる施策を導入。これはお互いが「良い行い」をリポートしあうというものです。

従業員同士が、お互いのいいところを見つけあい、認め合うことで、チーム内に仲間意識が芽生えてくるはずです。

もちろん組織が変わっていくまでには、相当の紆余曲折があったはずです。それぐらい組織に蔓延する他人事感は根深いものですから。

しかし、相当の時間がかかったとしても、やりぬかなければ、自律的な組織はできあがりません。

■チームが一丸になった時のパワーは予想以上のものです。

私自身、身売りも検討されていた小さな事業部が、あっという間に世界トップになったという経験をしています。あの時の凄まじいエネルギーといったら!

コンサルティングの成否も、一丸になれるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。

人間は一人では弱い。やはりチーム一丸になった時に大きな力を発揮する存在なのでしょう。

次の記事です。

参考:なぜ退役軍人は戦争が恋しくなるのか? その理由は「人殺し」とは真逆の感情だった(ログミー)
http://logmi.jp/55608

これは重い記事です。アメリカの退役軍人が、戦争が好きなわけではないのに、戦場に戻りたくなるという話です。

なぜならそこには究極の一体感があったからです。(記事では同胞愛といっています)

戦場では、部隊のメンバーが欠けることは自らの死が迫っていることを意味します。だから軍隊では、メンバーの命を守ることは、自分の命を守ることです。そこでは、自分だけが逃げようという欲求は命取りになります。究極の他利です。

シンプルな役割分担と濃密な助け合いの関係が、戦場で生き残るための最適解です。

戦争という重い話ですが、そこには人間の能力がチームとなった時に最も発揮されるのだという真実が含まれていると感じます。

■孫子には「よく士卒の耳目を愚にして、ゆくことなからしむ」という言葉があります。

兵隊の認識能力を無力化して、逃亡しないようにせよ。という意味で、これまた身も蓋もない言い方です。

兵隊は、状況を知ったら逃げてしまう。だから騙して、敵地まで連れていって、必死で戦わなければならないように追い込め。と言っています。

現代ではブラック企業のマネジメントですな。

この部分はさすがに私も、ビジネスセミナーで説明することを避けておりました。

ただ、今回、上の退役軍人の記事を読むにつけ、孫子のいうことは「究極の一体感」を作ることがチーム力を発揮する道なんだと解釈できることに気づきました。

さすが孫子です。実に現実的です。

もっとも従業員を騙せ、というのは肯定できませんが。

■では、現代に生きる我々が、ビジネスで活用するためにはどうすればいいのか。

今回はもう一つの事例を。

参考:涙でチームが一体化! ヤマト運輸の「感動研修」(プレジデント・オンライン)
http://president.jp/articles/-/15186

宅急便の仕事というのはキツイでしょうね。想像に難くありません。

その分、報酬もいいわけですが、それだけではモタなくなります。離職率も高いでしょうし、社内もギスギスするはずです。

それを払しょくし、一丸のチームを作るためには、一本筋の通ったビジョンが必要です。それは、先ほどの清掃会社と同じです。

その上で、会社が進むビジョンに「参加」してもらうためにどうすればいいのか。

■ヤマト運輸は「感動」という手法を使います。

メンバーが仕事で経験したちょっといい話や感動した話をスライドにして皆で鑑賞する。音楽などの演出つきです。

「感動」はエンターテイメントの中では最も原初的で容易であるといわれますが、効果は絶大です。この研修を受けたメンバーの中ではすすり泣く人もいるらしい。外国人も泣くというから、感動はグローバルなんですね。

「感動」は、最も単純な「参加」の証明です。感動して泣くというのは、当事者意識を持っているということ。斜めに見ている人は感動などできません。

感動するスライドを見て、皆で、感想や自分の体験を述べ合う。これを繰り返すことで、チームに一体感を醸成していくわけです。

理屈で語って行動を促すよりも、何倍も効果が高いはずです。

■孫子のいうように、騙して戦地に追い込むよりは、ずっと時間がかかる方法です。

しかし、時間がかかるというのは、それだけ差別化として優れている(真似されにくい)ということです。

混迷の時代、不確実な時代といいますが、この時代に単純なトップダウンは危険極まりない。

孫子も別のところでは「戦道必ず勝たば、主は戦うことなかれと日うも、必ず戦いて可なり。戦道勝たざれば、主は必ず戦えと日うも、戦うことなくして可なり」と言っています。

(必ず勝てる見込みがあるならば、君主が戦ってはならないと言っても、戦って構わない。勝てる見込みがないならば、君主が必ず戦えと言っても、戦わなくて構わない)

そのような人材は、国の宝だ。とまで言っています。

われわれは、時間がかかったとしても、自分で考えられる人材、自律的に動く組織づくりを目指すべきなのです。

■現在、多くの、いやほとんどの会社や組織が、そのような人材やチームをどのように作ればいいのだろうかと悩んでいるはずです。

売上をあげる、市場シェアを高める、という課題においては、ランチェスター戦略をはじめとする方法論がある程度確立されています。

しかし、正しい戦略を現場に応用しながら着実に実行してもらうためにはどうすればいいのか。

言い換えれば、チームメンバーの大半が、会社の目標達成に「参加」し、一丸のパワーを発揮するにはどうすればいいのか。

そのことに関しては、私も長い間、試行錯誤でやってきました。今でも確実な答えを持っているわけではありません。

しかし、このような事例をみるにつけ、「感動」というキーワードは、その大きなヒントになるのではないか。と私は考えています。

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