初めての著作は、なぜ「小説」になったのか?

2015.11.19

(2015年11月19日メルマガより)


■このたび、初めての著作を上梓させていただきました。


『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

この著作の特徴は、ビジネス書ながら小説風になっていることです。

いくつかの先例があるとはいえ、あまり多いスタイルではありません。

この本の企画を通してくださった出版社に感謝しております。

■なぜわざわざ小説風にしたのか?

サーモスの営業改革事例を書籍にするなら、ふつうのビジネス書でいいだろう?

そう思われるかも知れません。

実際、企画段階では、そのように言われる出版社もありました。

■しかし、私としては、小説風にすることにこだわりがありました。

それはお前が小説を書きたいだけだろーと言われるかも知れませんが、そうではありません^^;

内容に相応しいスタイルで書くのが当然です。

だから、今回の内容については、小説風に書くことが相応しいと考えたわけです。

■サーモスがなぜ「廃業寸前」からわずかの期間で世界トップ企業になれたのか?

簡単にいうと、製品差別化と営業改革という両輪がうまくはまったからです。

それを導くための戦略立案のプロセスも、本の中に書かせていただきました。

ただ結果として、こういう手段をとったからうまくいった。そのためのノウハウはこうだ。と語っても、あまり意味はないな、と思ったのです。

■私が書きたかったのは、あの圧倒的な体験です。

本当に小さな、上層部の気持ち一つでいつでも消えてなくなってしまうような小さな事業部が、崖っぷちで世界トップ企業になるための逆転案をつくり、それを実施した。

そしていまやグループの中でも有数の高収益企業となっていった。

その中にいた私たちが、どのように感じ、どのように振るまったのか。

その体験です。

■希望もありましたし、日々の喜びもありましたし、ひりつくような緊張もありました。

やりきれないような徒労感もありましたし、絶望したこともありました。

振り返れば、激動の毎日だったのですが、渦中にいる者たちは、目先の喜びと不安を繰り返しながら、その中で懸命に戦ってきました。

廃業か存続か、どちらに転んでもおかしくないような日々の中で、ほんの少しの長期的な視野と全体を見渡す視点がどれほど力になったのか。

その体験の全体は、結果論では書けないと考えました。

■前回のメルマガで書きましたが、戦略は実行されなければ意味がありません。

参考:「戦略は実行させなければ意味がない」
http://www.createvalue.biz/column2/post-374.html

どんなに立派な戦略を立案しても、経営や営業のノウハウがあったとしても、実行されなければ、何の役にも立ちません。

逆にいうと、確実に実行されるならば、それが未熟な戦略であっても、はるかに有効です。

つまり、企業が成果を上げるためには、戦略とそれを使う人間の両輪がかみ合わなければならないのです。

■人というのは複雑です。

それが正しい、合理的である、と思っても、実行するかどうか分かりません。

「あいつの言うことは聞きたくない」「あいつの手柄にしたくない」そんな理不尽な理由の方が、動機になったりします。

私の著作の中にも、抵抗勢力が登場して、主人公に反対します。

が、はっきり言って、明確に抵抗する人の方がずっとましです。

組織を殺すのは、なんとなく動かない、その場は調子を合わせていても実行しない、他人事にしか考えない、そういう人たちです。

これはコンサルをしているとよく解ります。明確な反対者は、ある時、突如として賛同者に変貌したりします。

あるいは、反対者の存在が、他の大勢の結束を固めたりもします。

戦略が実行されるかどうかは、旗色がはっきりしない人たち、つまり普通の人たちにかかっているのです。

■どうすれば、人を動かすことができるのか。

それは、経営するにしても、コンサルティングをするにしても、最も重要なテーマです。

私の仕事は営業戦略コンサルティングですが、実際には、ほとんどこのテーマをめぐる戦いだといっていいでしょう。

それはそれは、苦労しますよ^^;

■ただ私が10年この仕事をして、一つの答えがあるとすれば、「人はストーリーで動く」ということです。

ここは大事ですね。

人というのは千差万別です。

理屈で動く人もいる、損得で動く人もいる、人間関係で動く人もいれば、内的な情熱で動く人もいる。

理屈だけでは一部の人しか動く気になりません。損得勘定、人間関係、情熱でも同様です。

組織を動かすには、その全てを動員しなければならないのかーと思うところですね。

■しかし、ストーリーというのは、その全てを含んだものです。

良質なストーリーは、様々な人々の気持ちを包括する豊かさを持っています。

ストーリーは、心に届きやすく、記憶されやすく、伝播されやすいものです。

ある人は、ストーリーに自分が動くための理由を見出します。

またある人は、同じストーリーに自分が情熱を賭けるべき意味を見出します。

またある人は、そこに自らの利益を見出し、ある人は人間同士の結びつきを見出します。

極論すれば、ストーリーのあるところに人は寄り添い、動こうとします。

組織にストーリーがなければ、人は個別に自分だけのストーリーを作って閉じこもってしまうでしょう。

■今回の著作で、私はサーモスのストーリーをお伝えしようとしました。

当時、サーモスにいた私たちが共有していたのは「今は廃業寸前かもしれないが、いつかは世界トップ企業になる」というストーリーでした。

なぜならサーモスは「世界で初めてステンレス魔法瓶を開発した会社」だからです。

その会社が、日本で3位に甘んじたまま消えてしまっていいのでしょうか?

そしてそのストーリーは見事完結し、いまは「かつて廃業寸前だった小さなダメ事業部が、世界トップ企業に駆け上がったストーリー」となりました。

それは、心に届きやすく、記憶されやすく、伝播されやすいものだったでしょうか?

■私が書いたのはサーモスのストーリーですが、それは同時に普遍的なものであるはずです。

なぜなら、それは、それぞれ違った背景を持つ人々が、同じ目標に向かって進んで行くストーリーです。

誰もが、自分の思いを託すことができるものだと私は考えています。

この物語が、皆様の心の糧になりますように!

(2015年11月19日メルマガより)


■このたび、初めての著作を上梓させていただきました。


『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

この著作の特徴は、ビジネス書ながら小説風になっていることです。

いくつかの先例があるとはいえ、あまり多いスタイルではありません。

この本の企画を通してくださった出版社に感謝しております。

■なぜわざわざ小説風にしたのか?

サーモスの営業改革事例を書籍にするなら、ふつうのビジネス書でいいだろう?

そう思われるかも知れません。

実際、企画段階では、そのように言われる出版社もありました。

■しかし、私としては、小説風にすることにこだわりがありました。

それはお前が小説を書きたいだけだろーと言われるかも知れませんが、そうではありません^^;

内容に相応しいスタイルで書くのが当然です。

だから、今回の内容については、小説風に書くことが相応しいと考えたわけです。

■サーモスがなぜ「廃業寸前」からわずかの期間で世界トップ企業になれたのか?

簡単にいうと、製品差別化と営業改革という両輪がうまくはまったからです。

それを導くための戦略立案のプロセスも、本の中に書かせていただきました。

ただ結果として、こういう手段をとったからうまくいった。そのためのノウハウはこうだ。と語っても、あまり意味はないな、と思ったのです。

■私が書きたかったのは、あの圧倒的な体験です。

本当に小さな、上層部の気持ち一つでいつでも消えてなくなってしまうような小さな事業部が、崖っぷちで世界トップ企業になるための逆転案をつくり、それを実施した。

そしていまやグループの中でも有数の高収益企業となっていった。

その中にいた私たちが、どのように感じ、どのように振るまったのか。

その体験です。

■希望もありましたし、日々の喜びもありましたし、ひりつくような緊張もありました。

やりきれないような徒労感もありましたし、絶望したこともありました。

振り返れば、激動の毎日だったのですが、渦中にいる者たちは、目先の喜びと不安を繰り返しながら、その中で懸命に戦ってきました。

廃業か存続か、どちらに転んでもおかしくないような日々の中で、ほんの少しの長期的な視野と全体を見渡す視点がどれほど力になったのか。

その体験の全体は、結果論では書けないと考えました。

■前回のメルマガで書きましたが、戦略は実行されなければ意味がありません。

参考:「戦略は実行させなければ意味がない」
http://www.createvalue.biz/column2/post-374.html

どんなに立派な戦略を立案しても、経営や営業のノウハウがあったとしても、実行されなければ、何の役にも立ちません。

逆にいうと、確実に実行されるならば、それが未熟な戦略であっても、はるかに有効です。

つまり、企業が成果を上げるためには、戦略とそれを使う人間の両輪がかみ合わなければならないのです。

■人というのは複雑です。

それが正しい、合理的である、と思っても、実行するかどうか分かりません。

「あいつの言うことは聞きたくない」「あいつの手柄にしたくない」そんな理不尽な理由の方が、動機になったりします。

私の著作の中にも、抵抗勢力が登場して、主人公に反対します。

が、はっきり言って、明確に抵抗する人の方がずっとましです。

組織を殺すのは、なんとなく動かない、その場は調子を合わせていても実行しない、他人事にしか考えない、そういう人たちです。

これはコンサルをしているとよく解ります。明確な反対者は、ある時、突如として賛同者に変貌したりします。

あるいは、反対者の存在が、他の大勢の結束を固めたりもします。

戦略が実行されるかどうかは、旗色がはっきりしない人たち、つまり普通の人たちにかかっているのです。

■どうすれば、人を動かすことができるのか。

それは、経営するにしても、コンサルティングをするにしても、最も重要なテーマです。

私の仕事は営業戦略コンサルティングですが、実際には、ほとんどこのテーマをめぐる戦いだといっていいでしょう。

それはそれは、苦労しますよ^^;

■ただ私が10年この仕事をして、一つの答えがあるとすれば、「人はストーリーで動く」ということです。

ここは大事ですね。

人というのは千差万別です。

理屈で動く人もいる、損得で動く人もいる、人間関係で動く人もいれば、内的な情熱で動く人もいる。

理屈だけでは一部の人しか動く気になりません。損得勘定、人間関係、情熱でも同様です。

組織を動かすには、その全てを動員しなければならないのかーと思うところですね。

■しかし、ストーリーというのは、その全てを含んだものです。

良質なストーリーは、様々な人々の気持ちを包括する豊かさを持っています。

ストーリーは、心に届きやすく、記憶されやすく、伝播されやすいものです。

ある人は、ストーリーに自分が動くための理由を見出します。

またある人は、同じストーリーに自分が情熱を賭けるべき意味を見出します。

またある人は、そこに自らの利益を見出し、ある人は人間同士の結びつきを見出します。

極論すれば、ストーリーのあるところに人は寄り添い、動こうとします。

組織にストーリーがなければ、人は個別に自分だけのストーリーを作って閉じこもってしまうでしょう。

■今回の著作で、私はサーモスのストーリーをお伝えしようとしました。

当時、サーモスにいた私たちが共有していたのは「今は廃業寸前かもしれないが、いつかは世界トップ企業になる」というストーリーでした。

なぜならサーモスは「世界で初めてステンレス魔法瓶を開発した会社」だからです。

その会社が、日本で3位に甘んじたまま消えてしまっていいのでしょうか?

そしてそのストーリーは見事完結し、いまは「かつて廃業寸前だった小さなダメ事業部が、世界トップ企業に駆け上がったストーリー」となりました。

それは、心に届きやすく、記憶されやすく、伝播されやすいものだったでしょうか?

■私が書いたのはサーモスのストーリーですが、それは同時に普遍的なものであるはずです。

なぜなら、それは、それぞれ違った背景を持つ人々が、同じ目標に向かって進んで行くストーリーです。

誰もが、自分の思いを託すことができるものだと私は考えています。

この物語が、皆様の心の糧になりますように!

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