営業として大成できるかどうかの分岐点は〇〇です。

2021.01.21

(2020年1月21日メルマガより)


むかし、北海道のある観光地で、腐った高級メロンを売りつけられたことがあります。

けっこうな値段の品物です。調子のいいオヤジの口上と値引き提示があったので、ノリで買ってしまって、重いのを大阪まで持ち帰って、割ってみると、食べるところが全くない状態でした。

観光地あるあるですな。

先方は、観光客にいっぱい食わせてやった程度の認識でしょうが、私は忘れていません。何十年後か、その観光地を訪れた時、その店に寄ってみると、代替わりしていました。

若い兄ちゃんが、立て板に水のような弁舌で商品説明してくれましたが、もちろんこちらは買う気はありません。

いかにも、営業の知らない人がイメージする「できる営業」然とした営業トークにうんざりしながら、心の中で、子は親に似るもんだなあと密かに思っていました。

知らないオッサンが心の中で何を思おうが痛くも痒くもないでしょうが、いい加減な商売は思った以上に後を引くものだという図式をここに記しておきます。


情報格差のある業界は危ない


メロン程度なら、ネタ話で済みますが、不動産や冠婚葬祭や一生に一度といった取引は、それでは済みません。

が、そういう大きい買い物ほど、消費者と業者の情報格差があるので、だまそうと思えば、だませてしまうのが厄介です。

実際、建築業をしている人に聞いてみると、その内実はひどいものだそうですよ。

リフォームも、人生のうちで何度も行うものではありませんから、消費者と業者の情報格差は圧倒的です。

真面目な業者もいて、良心的な工事と見積もりをされる場合もあるのでしょうけど、なかにはひどいのもいるらしい。

聞いたところ、ある業者は、顧客をみてチョロそうなら平気で2倍、3倍を吹っ掛けるのだとか。

消費者の人の好さに付け込んだぼったくりが横行しているわけですな。

しかも厄介なことに、その業者は悪びれることもなく、これは自分の才覚だなんて考えているらしい。

こういうのがいるから、その業界全体の評判が落ちてしまうのですよ。

こうなると、真面目な業者が損をします。まともな仕事をしているのに疑心暗鬼な目で見られ、顧客との信頼関係がなかなか結べない。

ダークサイドに堕ちた方が、簡単に儲かると思える業界になってしまったら終りですな。


明朗会計だけで目立つ業界


だから私は、リフォームとか不動産とか冠婚葬祭とか、消費者と業者の情報格差がある産業には、アマゾンに入ってきてほしいと本気で考えています。

そういえば、以前、葬祭時のお坊さん派遣の会社が、アマゾン・マーケット・プレイスに出品して、大騒ぎになったことがありました。


葬祭費用が業者の言いなり状態であることは、ご存知の通りです。たまにしかない機会で、しかも合い見積もりをとる時間もない、葬祭ぐらいはケチケチしないでおこうと考える人も多いでしょうから、仕方ありません。

ただ消費者側に不満がないかといえばそうではない。その場で文句を言わないだけで、不透明で根拠の曖昧な金額設定には密かに不審を感じています。

お坊さんのお布施は宗教行為ですから、値段がないものなので余計不透明です。なぜ値段がないものに相場金額が提示されるのでしょうか。

その相場金額が、お坊さんによって(個人によって?宗派によって?)違うというのが、また不透明です。

その点、アマゾンに出品したお坊さんの派遣会社は、少なくとも明朗会計でしたから、宗教行為が何たるかを論ずる前に、ニーズに合致していたと思います。

まあ、明朗会計をするだけで目立つ業界って、どうなんだと思わなければなりませんよ。


アマゾンに健全化してほしい業界


いまアマゾンに最も入ってきてほしいのは、家ですね。

アマゾンが、アメリカで低価格住宅の建設を始めたというニュースをみて、ひそかに喝采しておりました。

これを本格稼働すれば、凄まじいインパクトがありますからね。


私の拙い知見からの意見で申し訳ないですが、不動産業界もたいがい胡散臭いですよ。詳しくは言えませんが、平気で人をだまして悪びれない連中を何人も見てきました。

小さい業者も、ある程度大きい企業も同じでした。相手の無知につけこんで高利益を上げていると判断せざるを得ない場面に何度も遭遇しました。

不動産業界も、情報格差が大きいですし、顧客と一過性の付き合いしかしないビジネスですから、観光地の土産物売りのような感覚になるのかもしれません。

もちろん、そういう業界ですから、まともに誠実なビジネスをすれば、それだけで価値があります。明朗会計にするだけでもいい。利益の計算をオープンにすればいい。それだけで、勝つことができます。

そういう事業者も増えてきているでしょう。

しかし、いまだ多勢に無勢です。まともにコツコツするよりも、一回、ぼったくれば濡れ手に粟ですから、その魅力にはあがなえない人が多いのでしょうな。

ここは、アマゾンにお出ましいただいて、業界に破壊的革新をもたらしてほしいと思う次第です。


営業の秘訣は「嘘をつかないこと」


個人の営業も同じです。

一度でも、顧客の無知につけこむような取引をしてしまうと、早晩、信用を失います。

私は仕事柄、多くの営業の方と会ってきましたが、優秀な方ほど誠実でした。

無知につけこむというと余程のことのように思えるでしょうが、在庫を過少申告したり、クレームの原因を隠したり、競合のサービスを貶めたり、空約束をしたり、ついやってしまいがちなことはあるものです。

適当なことを言って、その場をやり過ごせば、その時は楽ちんですが、後々、しっぺ返しを食うことになります。

大げさに思えるかもしれませんが、そんな小さなごまかしをやってしまうかしないかが、営業として大成できるかできないかの分岐路となります。

本当にそう思います。小さな嘘やごまかしは、営業としての停滞や堕落の第一歩です。安易なごまかしを覚えてしまうと、その快適さに抜けられなくなって毎回繰り返し、いつか誰にも信用されないクズ営業だと見做されるようになってしまいます。悪い薬のようなものですよ。


安易に流れるのは「人生の損失」


営業も経験を重ねると、スタイルが固まってしまいます。長期間に経験したことは、なかなか変えられないものです。

だから最初が肝心です。情報格差のある業界に属する方はよほど気を付けてください。先輩が胡散臭いからと言って、同じことをしてはいけません。

周りの全員がそうだと、自分だけ変えるのは難しかもしれませんが、なるべく良識的な先輩や上司に師事して、自分を保ってください。

実際、嘘やごまかしを使うと楽です。その場をとりつくろえるし、取引を有利にコントロールできます。

だからといって、それに慣れてしまうと、まともな営業が身に着けるべき、経験や知識、能力が蓄積されません。

それが何年も続くと、胡散臭く、小狡いだけで、まともな営業の能力がない使えないオヤジになってしまいます。

まったくもって人生の損失ですよ。

そうなってほしくないから、ここに書いています。

「嘘をつかないこと」を自分に課していれば、道を踏み外すことはありません。そう心がけてください。


人質解放交渉はビジネスで役に立たない


交渉術の世界では、相手からより多くのものを奪い、短期的に自分の要求を叶える交渉のことを「駆け引き型交渉」と呼んでいます。

映画で観るような「人質解放交渉」や、弁護士さんの交渉が、駆け引き型です。

本屋で売っている「交渉術」の本の多くが、駆け引き型を扱っているので注意が必要です。ビジネスで、そんなことしていたら、速攻で信用を失うたぐいのものです。

ビジネスは、取引を継続させることが前提ですから、一回の駆け引き型交渉で、相手をやりこめてしまうのは、決別宣言をしているようなもので致命的です。

だって、映画の人質解放交渉って、手練手管で犯人をだまして、最後は射殺してしまうことも多いのですよ。

そんな交渉が普段のビジネスで許されるはずがありません。

この話、言葉にしてしまうと「そんなの当たり前やん」と思うでしょうが、実際のところ、多くの人が少しでも目先の利益を得ようと、やっきになって駆け引きしています。

とくに、技術者やデザイナー、研究者など、自分の仕事分野に関しては誠実な姿勢を貫くのに、営業の知識がなく、営業なんて胡散臭い仕事だろうと思いこんでいる人たちが、まさにその胡散臭い駆け引き営業をしてしまう場面を何度も、何度も、何度も見てきました。

営業なんて口八丁の胡散臭い仕事だという浅はかな思い込みが、当の本人を胡散臭い営業に追い込むという笑えない皮肉です。

自分の仕事にたいする誠実さを、営業やビジネス全体に反映できないものだろうかと思う次第です。


ちなみに、営業に必要なのは、「関係重視型交渉」か「利害調整型交渉」です。

いまは詳しく説明しませんが、駆け引きだけではない交渉の方法があることを知っていてほしいと思います。

営業関連の方はもちろん、ビジネスを続けていこうという方は、ほんの少しでいいので、こうした営業の知識を持ってください。




(2020年1月21日メルマガより)


むかし、北海道のある観光地で、腐った高級メロンを売りつけられたことがあります。

けっこうな値段の品物です。調子のいいオヤジの口上と値引き提示があったので、ノリで買ってしまって、重いのを大阪まで持ち帰って、割ってみると、食べるところが全くない状態でした。

観光地あるあるですな。

先方は、観光客にいっぱい食わせてやった程度の認識でしょうが、私は忘れていません。何十年後か、その観光地を訪れた時、その店に寄ってみると、代替わりしていました。

若い兄ちゃんが、立て板に水のような弁舌で商品説明してくれましたが、もちろんこちらは買う気はありません。

いかにも、営業の知らない人がイメージする「できる営業」然とした営業トークにうんざりしながら、心の中で、子は親に似るもんだなあと密かに思っていました。

知らないオッサンが心の中で何を思おうが痛くも痒くもないでしょうが、いい加減な商売は思った以上に後を引くものだという図式をここに記しておきます。


情報格差のある業界は危ない


メロン程度なら、ネタ話で済みますが、不動産や冠婚葬祭や一生に一度といった取引は、それでは済みません。

が、そういう大きい買い物ほど、消費者と業者の情報格差があるので、だまそうと思えば、だませてしまうのが厄介です。

実際、建築業をしている人に聞いてみると、その内実はひどいものだそうですよ。

リフォームも、人生のうちで何度も行うものではありませんから、消費者と業者の情報格差は圧倒的です。

真面目な業者もいて、良心的な工事と見積もりをされる場合もあるのでしょうけど、なかにはひどいのもいるらしい。

聞いたところ、ある業者は、顧客をみてチョロそうなら平気で2倍、3倍を吹っ掛けるのだとか。

消費者の人の好さに付け込んだぼったくりが横行しているわけですな。

しかも厄介なことに、その業者は悪びれることもなく、これは自分の才覚だなんて考えているらしい。

こういうのがいるから、その業界全体の評判が落ちてしまうのですよ。

こうなると、真面目な業者が損をします。まともな仕事をしているのに疑心暗鬼な目で見られ、顧客との信頼関係がなかなか結べない。

ダークサイドに堕ちた方が、簡単に儲かると思える業界になってしまったら終りですな。


明朗会計だけで目立つ業界


だから私は、リフォームとか不動産とか冠婚葬祭とか、消費者と業者の情報格差がある産業には、アマゾンに入ってきてほしいと本気で考えています。

そういえば、以前、葬祭時のお坊さん派遣の会社が、アマゾン・マーケット・プレイスに出品して、大騒ぎになったことがありました。


葬祭費用が業者の言いなり状態であることは、ご存知の通りです。たまにしかない機会で、しかも合い見積もりをとる時間もない、葬祭ぐらいはケチケチしないでおこうと考える人も多いでしょうから、仕方ありません。

ただ消費者側に不満がないかといえばそうではない。その場で文句を言わないだけで、不透明で根拠の曖昧な金額設定には密かに不審を感じています。

お坊さんのお布施は宗教行為ですから、値段がないものなので余計不透明です。なぜ値段がないものに相場金額が提示されるのでしょうか。

その相場金額が、お坊さんによって(個人によって?宗派によって?)違うというのが、また不透明です。

その点、アマゾンに出品したお坊さんの派遣会社は、少なくとも明朗会計でしたから、宗教行為が何たるかを論ずる前に、ニーズに合致していたと思います。

まあ、明朗会計をするだけで目立つ業界って、どうなんだと思わなければなりませんよ。


アマゾンに健全化してほしい業界


いまアマゾンに最も入ってきてほしいのは、家ですね。

アマゾンが、アメリカで低価格住宅の建設を始めたというニュースをみて、ひそかに喝采しておりました。

これを本格稼働すれば、凄まじいインパクトがありますからね。


私の拙い知見からの意見で申し訳ないですが、不動産業界もたいがい胡散臭いですよ。詳しくは言えませんが、平気で人をだまして悪びれない連中を何人も見てきました。

小さい業者も、ある程度大きい企業も同じでした。相手の無知につけこんで高利益を上げていると判断せざるを得ない場面に何度も遭遇しました。

不動産業界も、情報格差が大きいですし、顧客と一過性の付き合いしかしないビジネスですから、観光地の土産物売りのような感覚になるのかもしれません。

もちろん、そういう業界ですから、まともに誠実なビジネスをすれば、それだけで価値があります。明朗会計にするだけでもいい。利益の計算をオープンにすればいい。それだけで、勝つことができます。

そういう事業者も増えてきているでしょう。

しかし、いまだ多勢に無勢です。まともにコツコツするよりも、一回、ぼったくれば濡れ手に粟ですから、その魅力にはあがなえない人が多いのでしょうな。

ここは、アマゾンにお出ましいただいて、業界に破壊的革新をもたらしてほしいと思う次第です。


営業の秘訣は「嘘をつかないこと」


個人の営業も同じです。

一度でも、顧客の無知につけこむような取引をしてしまうと、早晩、信用を失います。

私は仕事柄、多くの営業の方と会ってきましたが、優秀な方ほど誠実でした。

無知につけこむというと余程のことのように思えるでしょうが、在庫を過少申告したり、クレームの原因を隠したり、競合のサービスを貶めたり、空約束をしたり、ついやってしまいがちなことはあるものです。

適当なことを言って、その場をやり過ごせば、その時は楽ちんですが、後々、しっぺ返しを食うことになります。

大げさに思えるかもしれませんが、そんな小さなごまかしをやってしまうかしないかが、営業として大成できるかできないかの分岐路となります。

本当にそう思います。小さな嘘やごまかしは、営業としての停滞や堕落の第一歩です。安易なごまかしを覚えてしまうと、その快適さに抜けられなくなって毎回繰り返し、いつか誰にも信用されないクズ営業だと見做されるようになってしまいます。悪い薬のようなものですよ。


安易に流れるのは「人生の損失」


営業も経験を重ねると、スタイルが固まってしまいます。長期間に経験したことは、なかなか変えられないものです。

だから最初が肝心です。情報格差のある業界に属する方はよほど気を付けてください。先輩が胡散臭いからと言って、同じことをしてはいけません。

周りの全員がそうだと、自分だけ変えるのは難しかもしれませんが、なるべく良識的な先輩や上司に師事して、自分を保ってください。

実際、嘘やごまかしを使うと楽です。その場をとりつくろえるし、取引を有利にコントロールできます。

だからといって、それに慣れてしまうと、まともな営業が身に着けるべき、経験や知識、能力が蓄積されません。

それが何年も続くと、胡散臭く、小狡いだけで、まともな営業の能力がない使えないオヤジになってしまいます。

まったくもって人生の損失ですよ。

そうなってほしくないから、ここに書いています。

「嘘をつかないこと」を自分に課していれば、道を踏み外すことはありません。そう心がけてください。


人質解放交渉はビジネスで役に立たない


交渉術の世界では、相手からより多くのものを奪い、短期的に自分の要求を叶える交渉のことを「駆け引き型交渉」と呼んでいます。

映画で観るような「人質解放交渉」や、弁護士さんの交渉が、駆け引き型です。

本屋で売っている「交渉術」の本の多くが、駆け引き型を扱っているので注意が必要です。ビジネスで、そんなことしていたら、速攻で信用を失うたぐいのものです。

ビジネスは、取引を継続させることが前提ですから、一回の駆け引き型交渉で、相手をやりこめてしまうのは、決別宣言をしているようなもので致命的です。

だって、映画の人質解放交渉って、手練手管で犯人をだまして、最後は射殺してしまうことも多いのですよ。

そんな交渉が普段のビジネスで許されるはずがありません。

この話、言葉にしてしまうと「そんなの当たり前やん」と思うでしょうが、実際のところ、多くの人が少しでも目先の利益を得ようと、やっきになって駆け引きしています。

とくに、技術者やデザイナー、研究者など、自分の仕事分野に関しては誠実な姿勢を貫くのに、営業の知識がなく、営業なんて胡散臭い仕事だろうと思いこんでいる人たちが、まさにその胡散臭い駆け引き営業をしてしまう場面を何度も、何度も、何度も見てきました。

営業なんて口八丁の胡散臭い仕事だという浅はかな思い込みが、当の本人を胡散臭い営業に追い込むという笑えない皮肉です。

自分の仕事にたいする誠実さを、営業やビジネス全体に反映できないものだろうかと思う次第です。


ちなみに、営業に必要なのは、「関係重視型交渉」か「利害調整型交渉」です。

いまは詳しく説明しませんが、駆け引きだけではない交渉の方法があることを知っていてほしいと思います。

営業関連の方はもちろん、ビジネスを続けていこうという方は、ほんの少しでいいので、こうした営業の知識を持ってください。




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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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