小さな起業 成功の方法論

2021.08.05

(2021年8月5日メルマガより)


前々回、このメルマガで、「シニアの起業が有利なこれだけの理由」という内容の記事を発行しました。

その際、最近の起業希望者には、シニアの方が目立つという話をさせていただきました。

最近の流れなんでしょうな。

定年が延長しているものの、退職しても元気なシニアは、そのまま引退するのではなく、自ら起業を志向する人が多いのでしょう。

シニアと同じぐらい多いのが、女性の起業希望者です。

これは最近というよりも、ここ五年、十年の大きな傾向です。若い方からそれなりの年齢の方まで、女性の起業希望者は、多いと感じます。

むしろ、ひと昔前の起業家イメージの象徴だった若い男性の方が珍しい。

私が担当するのが、地域密着型の創業塾という事情があるかも知れませんが、いや、それでも何年か前までは、半分以上が30歳代までの男性だった気がします。

いまの時代、起業される方のイメージを書き換えなければならないようですな。


小さな起業は成立しやすい


シニアや女性が多いということからなのか、最近の起業希望者は、身の丈に応じた起業を志向していると感じます。

10億、100億の企業を作って、雇用創出という形で地域に貢献するのも、素晴らしいことだし、必要なことだと思います。

が、自分や家族が生活していくだけの利益が稼げればいいやと考える身の丈に応じた起業も、同じぐらい立派だし、必要なことです。

世の中には、大きな企業では手が届かない小さな困りごとがいっぱいあります。それらを解決する小さな事業者がいることで、社会は少しずつ良くなっていくと考えるからです。

それに目標を小さく設定できる小さな起業は、成立しやすい。しかも、身動きが軽いので、維持しやすいという利点もあります。

実は、小さな身の丈起業は、成功しやすいのです。

シニアや女性に限らず、成立しやすく、続けやすい身の丈起業の可能性を考えてみるべきだと思います。


小さな起業が成功する理由


小さな身の丈に応じた起業が成立しやすい最大の理由は、売上高が小さくても利益を出せる体制を作りやすいことです。

いくら独立したからといって、売上がそのまま収入になるわけではありません。事業には様々な経費がかかりますから、その分を差し引かなければなりません。

何人も従業員を雇わなければならない大掛かりな事業は、経費も大きくなります。その分、大きな売上が必要です。が、小さな事業なら、経費が小さいので、それほどの売上をあげなくても、成立します。

いっぱい儲けてセレブを気取りたいなどアホなことを考えなければ、小さな起業は、目標売上高を低く設定できます。必要なのは、自分と家族が生活していく分になるはずですから、ハードルは低い。

小さな起業を志向する人は、この特徴を最大限、活かさなければなりません。

つまり、規模が小さくて、大きな企業ならとても手を出せないような市場でも、成立するビジネスを作れるという利点を活かさなければなりません。

例えば、私のような経営コンサルタント業は、経費があまりかかりません。それはそうですね。仕入れがあるわけではないし、製造原価もありません。一人でやるなら、人件費も小さいものです。

その立場だと、必要売上高などたかがしれています。誰も目を付けないようなニッチな分野へでも進出できるというものです。

特にランチェスター戦略や孫子の兵法を知る身からすれば、ニッチな市場への志向はもともと強いですから、そういう市場の探索はお手のものですからね。

私が、あまり人が行かないような地域や分野で仕事をしているのはそういう意味あいがあります。


自分自身の"売り"を理解する


「勝てる場所で戦う」というのが、私が考えるランチェスター戦略や孫子の兵法の結論です。

起業においてもこの結論は効果を発揮します。特に小さな起業においては、この考えを充分に理解しておかなければなりません。

つまり、小さな起業においては、儲かりそうな仕事を選ぶのではなく、この分野なら自分の強みが活かせる、自分なら勝てる、という市場を選択することが重要です。

そのためには、当然のことながら、自分の強みをよく理解しておかなければなりません。

起業するにおいては、まずここがハードルとなります。なぜなら、多くの人が、自分の強みを理解していないからです。

ドラッカーも言っています。人はしばしば客観性を失います。他人から見れば、明らかに強みとみえることも、本人は、弱みだと思ってしまっています。ことに、いま手掛けている仕事のことを過小評価する傾向があります。

どうも、起業したいという人の多くが、いまの仕事に見切りをつけようとしており、全く違う分野で事業を興そうと思っているかのようです。

そんな「他人の芝は青く見える」的な思考は捨ててくださいね。

いまの仕事が不満であろうとなかろうと、それまでの経歴や経験は、大きな優位性となります。その業種や業界の状況や慣習も知っているでしょうし、人脈もあるはずです。その大きな優位性をかなぐり捨てるのは、実に勿体ないと思わなければなりません。

はっきり言いますが、自分の強みは、自分がやってきた仕事の中にしかありません。自分の経歴を活かした起業ほど成功確率が高くなります。

特に小さな起業において、"売り"は自分自身です。自分の強みを正確に見極めるようにしてください。


対象とする市場を数値として把握する


強みが理解できれば、それを活かせる市場を選択することができます。

この場合も、いま所属している業界をよく探索してください。慣れ親しんだ業界だからこそ、外部の者にはわからない矛盾も見えてくるでしょうし、ニッチ(くぼみ・隙間)な市場もみつけられるというものです。

〇〇専用旅行会社とか、〇〇専用配送業者とか。結果だけ見れば、どうやって思いついたんだーと驚く事業がありますが、何のことはない、それって業界内部の人だから見つけられる隙間ですよ。

業界外部の人にはわからないニッチを発見できればしめたものです。成功した起業の多くが、そんな内部の事情を知る人によって立ち上げられています。

ただし、思いついたからといってすぐに起業するのは勇み足です。

必ず検証してください。

自分が起業しようというビジネスの対象顧客は、どの程度存在するのか。数値で表せるようにしてください。

アイデアフルな人ほど客観的数値で説明できるようにしてください。数値で説明してはじめて、思いつきが、客観的資料となります。

「そんなものわからない」と安易に言わないように。市場規模を調べきれずに、人生を賭けて起業するなど無謀極まりないことです。たいていのことは、真剣に調べれば相当程度までわかるものですよ。

日本は統計数値がはっきりしています。地域ごとの年齢別男女別人口統計は発表されていますし、項目別の家計消費支出も明らかです。

地域ごとの事業者数も調べればわかります。特定の業種の分布や数値も、業界団体の資料を調べればたいていわかります。

ことに、自分が慣れ親しんだ業界ならなおさらわかりやすいはずです。統計資料も手に入れやすいはずです。

自分の発見や思いつきが、ただの独りよがりにならないように、対象顧客の数値は明確にすること。

どうしてもわからない、という方は、起業は止めた方がいいでしょう。一か八かの起業などおすすめしません。

対象顧客が、自分のビジネスを成立させ得るほど確実に把握できていることが起業をスタートさせる条件だと思ってください。


適切な売上目標を立て、行動計画を作る


市場を数値で把握することができれば、目標を設定できます。

ここ重要です。

目標売上高があるからこそ、行動計画を立てることができます。闇雲に動いて、無駄うちするような真似を避けることができます。

若い頃の起業なら無駄な動きも経験だと言えますが、家族の生活を預かる人の起業は、悠長なことを言っていられません。

計画を立てて、確実に目標に近づいているという感覚をいつも持っていなければなりません。

私はランチェスター戦略の専門家ですから、とくにここにこだわります。同戦略の場合、売上目標、営業行動目標は、市場シェアに紐づいています。市場シェアをどれだけとるかを鑑みて、目標や行動を決めていきます。

上で、小さな起業は、売上目標を低く設定できると言いましたが、その数値は必ず明確にしてください。

なんとなくの数値では、価格設定も曖昧になってしまいます。

できるだけ儲けたいから。。といって高価格に設定すれば顧客からそっぽを向かれる恐れがありますし、逆にいっぱい売りたいから。。といって安く設定してしまうと数量売上を無理追いしてしまうことになります。

そもそも目標計画もなしに、正しい行動がとれるものでしょうか。私には自信ありません。

適切な行動の指針は、適切な数値目標が教えてくれるというものです。


会計管理を徹底する


会計管理も重要ですから忘れないようにしてください。

売上が小さくても成り立つのが小さな起業の特長だといいましたが、いまが黒字か赤字かもわからないようでは、売上も何もあったものじゃありません。

私は小さな事業の破綻理由の殆どが会計管理のいい加減さにあると思っています。

売上高しかみないで、経費管理を怠っていると、知らぬうちに赤字になってしまっています。

それが怖い事業者は、ついついとれる顧客から取ろうとして無理な見積もりをしてしまったりします。

場末のスナックじゃあるまいし、上顧客から無理な金をとるってのは、自分の足を食べるタコのようなもので、緩やかな自殺行為に他なりません。

たとえギリギリの小さな売上でも、事業を持続できるのは、細かい会計管理があればこそです。会計管理がきっちりできているから、適切な目標が立てられるのですし、価格設定ができるのですし、攻めた販売施策を打つことができます。つまり、余裕を持って事業運営できるのです。

日々の会計管理を軽視していると、手痛いしっぺかえしを食らうこと請け合いです。小さな事業は、顧客の獲得と同じぐらい会計管理が生き残るための必須事項であることを忘れないようにしましょう。


ひたすらしつこく実行する


ここまできたら、売る仕組みを作って、ひたすらそれを回すことです。

「売る仕組み」については、このメルマガで何度か言及してきましたので繰り返しません。

過去の内容を参照ください。

実行段階においては、とにかくしつこくやることです。

「戦略はシンプルに、実行はクレイジーに」を旨をしてください。自分の作った計画を信じて、結果が出るまでしつこくやりぬいてください。

しつこくやれ、といっても、馬車馬のように非人間的なほど働けというわけではありません。人間性を失うほど厳しい状況に追い込まれては、起業などする意味がありません。

ことに小さな起業ですから、もっとのんびりとやっていいはずです。

そもそも、身の丈に応じた起業という概念そのものが、貪欲さに陥らず、無理なく事業を続ける方法論です。

そのためにも、顧客を知り、自分を知り、仕組みを作って、数値管理をしっかり行い、人間らしさを失わない事業生活を続けてほしいと思います。


小さな事業の消費期限は3~5年だと覚悟する


最後にもうひとつだけ、重要なことを。

ニッチ市場の特徴は、変化も早いということです。選んだニッチ市場が、思わず大きく拡大してしまうことがあります。そうなるとラッキーだと思えるかも知れませんが、実際には、大手企業の参入を呼び込むことになり、競争上大変なことになります。

もっと多いのは、ニッチ市場がそのまま蒸発するように無くなってしまう事態です。そうなると、小さな事業などひとたまりもありません。

今までと同じことをしているのに急に売れなくなった。2年前の半分の売り上げになってしまった。。などと嘆く声をよく聞きますが、実際のところ、それがニッチ市場を選ぶ小さな事業者の宿命です。

同じことをしていて、10年安泰なんてことはあり得ません。5年、いや3年で市場はがらりと変わってしまうことを前提としてビジネスすることが必要です。

つまり、一度成立したと思う事業でも、3~5年で消費期限がきます。覚悟してください。成立したと慢心していたら、すぐに立ち枯れしてしまいます。

これは実は起業に限りません。既存の企業の売上不振の原因の殆どが、市場の変化に対応できていないことです。ニッチ市場を土俵とする小さな起業はなおさらだとです。

どうすればいいのか。

今日、ここに書いたような方法を常に回し続けることです。特に、変化する市場の把握を怠ってはいけません。

大変だと思いますかね。

厳しい言い方ですが、これを大変だと思う人は、起業などしない方がいいと思います。

いや、むしろ、常に起業初期のようなワクワク感を繰り返し味わえるわけで、考えようによっては楽しいことですよ。


(2021年8月5日メルマガより)


前々回、このメルマガで、「シニアの起業が有利なこれだけの理由」という内容の記事を発行しました。

その際、最近の起業希望者には、シニアの方が目立つという話をさせていただきました。

最近の流れなんでしょうな。

定年が延長しているものの、退職しても元気なシニアは、そのまま引退するのではなく、自ら起業を志向する人が多いのでしょう。

シニアと同じぐらい多いのが、女性の起業希望者です。

これは最近というよりも、ここ五年、十年の大きな傾向です。若い方からそれなりの年齢の方まで、女性の起業希望者は、多いと感じます。

むしろ、ひと昔前の起業家イメージの象徴だった若い男性の方が珍しい。

私が担当するのが、地域密着型の創業塾という事情があるかも知れませんが、いや、それでも何年か前までは、半分以上が30歳代までの男性だった気がします。

いまの時代、起業される方のイメージを書き換えなければならないようですな。


小さな起業は成立しやすい


シニアや女性が多いということからなのか、最近の起業希望者は、身の丈に応じた起業を志向していると感じます。

10億、100億の企業を作って、雇用創出という形で地域に貢献するのも、素晴らしいことだし、必要なことだと思います。

が、自分や家族が生活していくだけの利益が稼げればいいやと考える身の丈に応じた起業も、同じぐらい立派だし、必要なことです。

世の中には、大きな企業では手が届かない小さな困りごとがいっぱいあります。それらを解決する小さな事業者がいることで、社会は少しずつ良くなっていくと考えるからです。

それに目標を小さく設定できる小さな起業は、成立しやすい。しかも、身動きが軽いので、維持しやすいという利点もあります。

実は、小さな身の丈起業は、成功しやすいのです。

シニアや女性に限らず、成立しやすく、続けやすい身の丈起業の可能性を考えてみるべきだと思います。


小さな起業が成功する理由


小さな身の丈に応じた起業が成立しやすい最大の理由は、売上高が小さくても利益を出せる体制を作りやすいことです。

いくら独立したからといって、売上がそのまま収入になるわけではありません。事業には様々な経費がかかりますから、その分を差し引かなければなりません。

何人も従業員を雇わなければならない大掛かりな事業は、経費も大きくなります。その分、大きな売上が必要です。が、小さな事業なら、経費が小さいので、それほどの売上をあげなくても、成立します。

いっぱい儲けてセレブを気取りたいなどアホなことを考えなければ、小さな起業は、目標売上高を低く設定できます。必要なのは、自分と家族が生活していく分になるはずですから、ハードルは低い。

小さな起業を志向する人は、この特徴を最大限、活かさなければなりません。

つまり、規模が小さくて、大きな企業ならとても手を出せないような市場でも、成立するビジネスを作れるという利点を活かさなければなりません。

例えば、私のような経営コンサルタント業は、経費があまりかかりません。それはそうですね。仕入れがあるわけではないし、製造原価もありません。一人でやるなら、人件費も小さいものです。

その立場だと、必要売上高などたかがしれています。誰も目を付けないようなニッチな分野へでも進出できるというものです。

特にランチェスター戦略や孫子の兵法を知る身からすれば、ニッチな市場への志向はもともと強いですから、そういう市場の探索はお手のものですからね。

私が、あまり人が行かないような地域や分野で仕事をしているのはそういう意味あいがあります。


自分自身の"売り"を理解する


「勝てる場所で戦う」というのが、私が考えるランチェスター戦略や孫子の兵法の結論です。

起業においてもこの結論は効果を発揮します。特に小さな起業においては、この考えを充分に理解しておかなければなりません。

つまり、小さな起業においては、儲かりそうな仕事を選ぶのではなく、この分野なら自分の強みが活かせる、自分なら勝てる、という市場を選択することが重要です。

そのためには、当然のことながら、自分の強みをよく理解しておかなければなりません。

起業するにおいては、まずここがハードルとなります。なぜなら、多くの人が、自分の強みを理解していないからです。

ドラッカーも言っています。人はしばしば客観性を失います。他人から見れば、明らかに強みとみえることも、本人は、弱みだと思ってしまっています。ことに、いま手掛けている仕事のことを過小評価する傾向があります。

どうも、起業したいという人の多くが、いまの仕事に見切りをつけようとしており、全く違う分野で事業を興そうと思っているかのようです。

そんな「他人の芝は青く見える」的な思考は捨ててくださいね。

いまの仕事が不満であろうとなかろうと、それまでの経歴や経験は、大きな優位性となります。その業種や業界の状況や慣習も知っているでしょうし、人脈もあるはずです。その大きな優位性をかなぐり捨てるのは、実に勿体ないと思わなければなりません。

はっきり言いますが、自分の強みは、自分がやってきた仕事の中にしかありません。自分の経歴を活かした起業ほど成功確率が高くなります。

特に小さな起業において、"売り"は自分自身です。自分の強みを正確に見極めるようにしてください。


対象とする市場を数値として把握する


強みが理解できれば、それを活かせる市場を選択することができます。

この場合も、いま所属している業界をよく探索してください。慣れ親しんだ業界だからこそ、外部の者にはわからない矛盾も見えてくるでしょうし、ニッチ(くぼみ・隙間)な市場もみつけられるというものです。

〇〇専用旅行会社とか、〇〇専用配送業者とか。結果だけ見れば、どうやって思いついたんだーと驚く事業がありますが、何のことはない、それって業界内部の人だから見つけられる隙間ですよ。

業界外部の人にはわからないニッチを発見できればしめたものです。成功した起業の多くが、そんな内部の事情を知る人によって立ち上げられています。

ただし、思いついたからといってすぐに起業するのは勇み足です。

必ず検証してください。

自分が起業しようというビジネスの対象顧客は、どの程度存在するのか。数値で表せるようにしてください。

アイデアフルな人ほど客観的数値で説明できるようにしてください。数値で説明してはじめて、思いつきが、客観的資料となります。

「そんなものわからない」と安易に言わないように。市場規模を調べきれずに、人生を賭けて起業するなど無謀極まりないことです。たいていのことは、真剣に調べれば相当程度までわかるものですよ。

日本は統計数値がはっきりしています。地域ごとの年齢別男女別人口統計は発表されていますし、項目別の家計消費支出も明らかです。

地域ごとの事業者数も調べればわかります。特定の業種の分布や数値も、業界団体の資料を調べればたいていわかります。

ことに、自分が慣れ親しんだ業界ならなおさらわかりやすいはずです。統計資料も手に入れやすいはずです。

自分の発見や思いつきが、ただの独りよがりにならないように、対象顧客の数値は明確にすること。

どうしてもわからない、という方は、起業は止めた方がいいでしょう。一か八かの起業などおすすめしません。

対象顧客が、自分のビジネスを成立させ得るほど確実に把握できていることが起業をスタートさせる条件だと思ってください。


適切な売上目標を立て、行動計画を作る


市場を数値で把握することができれば、目標を設定できます。

ここ重要です。

目標売上高があるからこそ、行動計画を立てることができます。闇雲に動いて、無駄うちするような真似を避けることができます。

若い頃の起業なら無駄な動きも経験だと言えますが、家族の生活を預かる人の起業は、悠長なことを言っていられません。

計画を立てて、確実に目標に近づいているという感覚をいつも持っていなければなりません。

私はランチェスター戦略の専門家ですから、とくにここにこだわります。同戦略の場合、売上目標、営業行動目標は、市場シェアに紐づいています。市場シェアをどれだけとるかを鑑みて、目標や行動を決めていきます。

上で、小さな起業は、売上目標を低く設定できると言いましたが、その数値は必ず明確にしてください。

なんとなくの数値では、価格設定も曖昧になってしまいます。

できるだけ儲けたいから。。といって高価格に設定すれば顧客からそっぽを向かれる恐れがありますし、逆にいっぱい売りたいから。。といって安く設定してしまうと数量売上を無理追いしてしまうことになります。

そもそも目標計画もなしに、正しい行動がとれるものでしょうか。私には自信ありません。

適切な行動の指針は、適切な数値目標が教えてくれるというものです。


会計管理を徹底する


会計管理も重要ですから忘れないようにしてください。

売上が小さくても成り立つのが小さな起業の特長だといいましたが、いまが黒字か赤字かもわからないようでは、売上も何もあったものじゃありません。

私は小さな事業の破綻理由の殆どが会計管理のいい加減さにあると思っています。

売上高しかみないで、経費管理を怠っていると、知らぬうちに赤字になってしまっています。

それが怖い事業者は、ついついとれる顧客から取ろうとして無理な見積もりをしてしまったりします。

場末のスナックじゃあるまいし、上顧客から無理な金をとるってのは、自分の足を食べるタコのようなもので、緩やかな自殺行為に他なりません。

たとえギリギリの小さな売上でも、事業を持続できるのは、細かい会計管理があればこそです。会計管理がきっちりできているから、適切な目標が立てられるのですし、価格設定ができるのですし、攻めた販売施策を打つことができます。つまり、余裕を持って事業運営できるのです。

日々の会計管理を軽視していると、手痛いしっぺかえしを食らうこと請け合いです。小さな事業は、顧客の獲得と同じぐらい会計管理が生き残るための必須事項であることを忘れないようにしましょう。


ひたすらしつこく実行する


ここまできたら、売る仕組みを作って、ひたすらそれを回すことです。

「売る仕組み」については、このメルマガで何度か言及してきましたので繰り返しません。

過去の内容を参照ください。

実行段階においては、とにかくしつこくやることです。

「戦略はシンプルに、実行はクレイジーに」を旨をしてください。自分の作った計画を信じて、結果が出るまでしつこくやりぬいてください。

しつこくやれ、といっても、馬車馬のように非人間的なほど働けというわけではありません。人間性を失うほど厳しい状況に追い込まれては、起業などする意味がありません。

ことに小さな起業ですから、もっとのんびりとやっていいはずです。

そもそも、身の丈に応じた起業という概念そのものが、貪欲さに陥らず、無理なく事業を続ける方法論です。

そのためにも、顧客を知り、自分を知り、仕組みを作って、数値管理をしっかり行い、人間らしさを失わない事業生活を続けてほしいと思います。


小さな事業の消費期限は3~5年だと覚悟する


最後にもうひとつだけ、重要なことを。

ニッチ市場の特徴は、変化も早いということです。選んだニッチ市場が、思わず大きく拡大してしまうことがあります。そうなるとラッキーだと思えるかも知れませんが、実際には、大手企業の参入を呼び込むことになり、競争上大変なことになります。

もっと多いのは、ニッチ市場がそのまま蒸発するように無くなってしまう事態です。そうなると、小さな事業などひとたまりもありません。

今までと同じことをしているのに急に売れなくなった。2年前の半分の売り上げになってしまった。。などと嘆く声をよく聞きますが、実際のところ、それがニッチ市場を選ぶ小さな事業者の宿命です。

同じことをしていて、10年安泰なんてことはあり得ません。5年、いや3年で市場はがらりと変わってしまうことを前提としてビジネスすることが必要です。

つまり、一度成立したと思う事業でも、3~5年で消費期限がきます。覚悟してください。成立したと慢心していたら、すぐに立ち枯れしてしまいます。

これは実は起業に限りません。既存の企業の売上不振の原因の殆どが、市場の変化に対応できていないことです。ニッチ市場を土俵とする小さな起業はなおさらだとです。

どうすればいいのか。

今日、ここに書いたような方法を常に回し続けることです。特に、変化する市場の把握を怠ってはいけません。

大変だと思いますかね。

厳しい言い方ですが、これを大変だと思う人は、起業などしない方がいいと思います。

いや、むしろ、常に起業初期のようなワクワク感を繰り返し味わえるわけで、考えようによっては楽しいことですよ。


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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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