営業利益50%超 異常な製造業キーエンスの秘密

2021.11.03

■センサーなど電子機器の製造会社キーエンスの業績が拡大しているようです。


この会社、大阪です。2021年4月期の売上高が5381億円。2022年4月期には大幅にアップして、7111億円になると予測されています。

売上だけでみればもっと大きな会社はいっぱいあるでしょうが、キーエンスの株式時価総額は、約16兆円。トヨタ、ソニーに次ぐ第3位です。

なぜ売上高7千億円ほどの企業の時価総額がそれほど高いかというと、儲かっているからに他なりません。

なにしろ、営業利益が56%!製造業とは思えない高利益を出している会社なのです。

上の記事のタイトルを読むと、いかにも人に投資をしている会社だと思えますが、実際には、労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)が高いわけではありません。利益が異常に高いので、報酬が高くなっているだけなのです。


■キーエンスといえば、あまり社内の情報を外に出さない謎めいた会社だといわれてきました。

私なども、独立当初は、キーエンスの秘密を探ろうと、社員の方に話を聞いたりしていたものです。

ただ最近は、キーエンス出身のコンサルタントの方などが増えてきたこともあり、内情が徐々に明らかになりつつあります。

営業利益50%超なんて、製造業としては異常ですが、やっていることは、製造物を売るというよりは、顧客の問題を解決するという行為です。(そもそも自社で工場を持っていません。企画だけするファブレス経営です)

いわゆるコンサルティング営業を徹底しているわけで、だから営業利益もコンサルティング会社に近いものとなっています。

などというと、すごく高度なことをされているのだろうと思われがちですが、結論からいうと、そうでもない。

むしろ、当たり前のことを、ものすごく厳密にやり切っている会社だというのが私の印象です。


■語りだすと長くなるので、簡単にいいます。

キーエンスの特徴は、

1.顧客や現場にこだわる。

→ビジネスの種は現場にしかありません。業績に困れば、現場に行くことです。

キーエンスの場合、工場で使用する機器を販売しているので、とにかく工場に出向き、現場の人の話を聞き、悩みや問題点を探り出すことに執念を燃やしています。

問題を掴むことができれば、その解決ができる商品を作ることができます。

要するに、他社より高い値段で売れる商品は、いかに営業が現場の問題を正しく収集するかにかかっています。


2.無駄なことはしない。

→キーエンスの創業者滝崎武光氏は、無駄なことをとにかく嫌う人だそうです。

儲からない商品で価格競争させられるのは、愚の骨頂です。当て馬にされて企画書を作るのは労力の無駄。キーマンでない人に営業を続けるのもバカバカしい。

営業の様々な無駄を排除するためには、営業がどんな活動をしているかを常に把握しておかなければなりません。標準化し、社内で情報が共有されることが必要です。

優秀な人の営業行動が共有されることで、営業組織全体の行動が、徐々に洗練され、成果につながる行動プロセスができあがっていきます。


3.営業プロセスを徹底する。

→営業には成果の出るプロセスというものがあります。キーエンスは、自社が決めたプロセスを徹底させることで、確率的に成果が出やすい方法に労力を集中させています。

営業プロセスは、業種、業界、会社のポジションによって微妙に違いますから、自分で作らなければなりません。もっとも、キーエンスのプロセスが、ことさら特別かといえば、そういうわけではありません。リストアップして、アプローチし、ニーズを把握し、プレゼンし、契約して、アフターフォローする。当たり前のものです。

ただ、キーエンスは、その徹底さが群を抜いています。毎日、午前、午後、やるべきことがプロセスで決まっていて、その通り動くことを要求されるらしい。訪問するとなれば必ず訪問しなければならず、現場で聞き取りするとなれば、何があっても聞き取りしなければなりません。営業の感情や思惑でプロセスを変更することを認めていません。

私が会ったキーエンスの営業の方は、優秀な方なのでしょうが、忙しすぎて、自分が何をしているかを考える暇もないような具合で、まるでプログラム通りに動くロボットのようでした。同社の平均勤続年数が短いのもわかる気がしました。


■人間性を失うほどロボット扱いされるのは、どうかと思いますが、営業を標準化し、成果の出やすいプロセスを徹底するキーエンスの手法は、理に適っています。

基本的に、私の営業コンサルティングも、この方法論に沿ったものです。

実は、ランチェスター戦略の中の営業戦略も、標準化を基本としています。

自由にのびのび過ごしたい営業からは忌み嫌われますが、やり方を変えるつもりはありません。

事実、オリジナルの営業プロセスを作って、それに従って組織が活動する方法は、成果に結びついています。

まあ、私は元営業ですからね。営業が、ブラックボックスの中から出たくないという気持ちはよく理解しています。しんどいですからね。

しかし、その姿勢が、実は営業自身の首を締めていきます。いま、大企業を中心に、営業の標準化、効率化という流れが進んでいます。効率の悪い営業組織なんて、5年後には無用の長物になっているでしょう。

中小企業においてもすぐにその流れがきます。営業こそが、高い利益を生む源泉になっていなければ生き残れませんよ。


■何度も言いますが、キーエンスが特別なことをしているわけではありません。

当たり前のプロセスを徹底させているだけです。その蓄積で、組織の行動が徐々に洗練され、高い収益を生む組織になっています。

要するに、早くオリジナルのプロセス作りに取り組んで、経験値を積んだ方が勝ちにつながります。


■センサーなど電子機器の製造会社キーエンスの業績が拡大しているようです。


この会社、大阪です。2021年4月期の売上高が5381億円。2022年4月期には大幅にアップして、7111億円になると予測されています。

売上だけでみればもっと大きな会社はいっぱいあるでしょうが、キーエンスの株式時価総額は、約16兆円。トヨタ、ソニーに次ぐ第3位です。

なぜ売上高7千億円ほどの企業の時価総額がそれほど高いかというと、儲かっているからに他なりません。

なにしろ、営業利益が56%!製造業とは思えない高利益を出している会社なのです。

上の記事のタイトルを読むと、いかにも人に投資をしている会社だと思えますが、実際には、労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)が高いわけではありません。利益が異常に高いので、報酬が高くなっているだけなのです。


■キーエンスといえば、あまり社内の情報を外に出さない謎めいた会社だといわれてきました。

私なども、独立当初は、キーエンスの秘密を探ろうと、社員の方に話を聞いたりしていたものです。

ただ最近は、キーエンス出身のコンサルタントの方などが増えてきたこともあり、内情が徐々に明らかになりつつあります。

営業利益50%超なんて、製造業としては異常ですが、やっていることは、製造物を売るというよりは、顧客の問題を解決するという行為です。(そもそも自社で工場を持っていません。企画だけするファブレス経営です)

いわゆるコンサルティング営業を徹底しているわけで、だから営業利益もコンサルティング会社に近いものとなっています。

などというと、すごく高度なことをされているのだろうと思われがちですが、結論からいうと、そうでもない。

むしろ、当たり前のことを、ものすごく厳密にやり切っている会社だというのが私の印象です。


■語りだすと長くなるので、簡単にいいます。

キーエンスの特徴は、

1.顧客や現場にこだわる。

→ビジネスの種は現場にしかありません。業績に困れば、現場に行くことです。

キーエンスの場合、工場で使用する機器を販売しているので、とにかく工場に出向き、現場の人の話を聞き、悩みや問題点を探り出すことに執念を燃やしています。

問題を掴むことができれば、その解決ができる商品を作ることができます。

要するに、他社より高い値段で売れる商品は、いかに営業が現場の問題を正しく収集するかにかかっています。


2.無駄なことはしない。

→キーエンスの創業者滝崎武光氏は、無駄なことをとにかく嫌う人だそうです。

儲からない商品で価格競争させられるのは、愚の骨頂です。当て馬にされて企画書を作るのは労力の無駄。キーマンでない人に営業を続けるのもバカバカしい。

営業の様々な無駄を排除するためには、営業がどんな活動をしているかを常に把握しておかなければなりません。標準化し、社内で情報が共有されることが必要です。

優秀な人の営業行動が共有されることで、営業組織全体の行動が、徐々に洗練され、成果につながる行動プロセスができあがっていきます。


3.営業プロセスを徹底する。

→営業には成果の出るプロセスというものがあります。キーエンスは、自社が決めたプロセスを徹底させることで、確率的に成果が出やすい方法に労力を集中させています。

営業プロセスは、業種、業界、会社のポジションによって微妙に違いますから、自分で作らなければなりません。もっとも、キーエンスのプロセスが、ことさら特別かといえば、そういうわけではありません。リストアップして、アプローチし、ニーズを把握し、プレゼンし、契約して、アフターフォローする。当たり前のものです。

ただ、キーエンスは、その徹底さが群を抜いています。毎日、午前、午後、やるべきことがプロセスで決まっていて、その通り動くことを要求されるらしい。訪問するとなれば必ず訪問しなければならず、現場で聞き取りするとなれば、何があっても聞き取りしなければなりません。営業の感情や思惑でプロセスを変更することを認めていません。

私が会ったキーエンスの営業の方は、優秀な方なのでしょうが、忙しすぎて、自分が何をしているかを考える暇もないような具合で、まるでプログラム通りに動くロボットのようでした。同社の平均勤続年数が短いのもわかる気がしました。


■人間性を失うほどロボット扱いされるのは、どうかと思いますが、営業を標準化し、成果の出やすいプロセスを徹底するキーエンスの手法は、理に適っています。

基本的に、私の営業コンサルティングも、この方法論に沿ったものです。

実は、ランチェスター戦略の中の営業戦略も、標準化を基本としています。

自由にのびのび過ごしたい営業からは忌み嫌われますが、やり方を変えるつもりはありません。

事実、オリジナルの営業プロセスを作って、それに従って組織が活動する方法は、成果に結びついています。

まあ、私は元営業ですからね。営業が、ブラックボックスの中から出たくないという気持ちはよく理解しています。しんどいですからね。

しかし、その姿勢が、実は営業自身の首を締めていきます。いま、大企業を中心に、営業の標準化、効率化という流れが進んでいます。効率の悪い営業組織なんて、5年後には無用の長物になっているでしょう。

中小企業においてもすぐにその流れがきます。営業こそが、高い利益を生む源泉になっていなければ生き残れませんよ。


■何度も言いますが、キーエンスが特別なことをしているわけではありません。

当たり前のプロセスを徹底させているだけです。その蓄積で、組織の行動が徐々に洗練され、高い収益を生む組織になっています。

要するに、早くオリジナルのプロセス作りに取り組んで、経験値を積んだ方が勝ちにつながります。


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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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