「前向きのコスパ」と「後ろ向きのコスパ」

2023.03.02

最近、コスパがいい、悪い、という言い方をよく聞きます。

若い世代が特に気にするそうではないですか。

映画でもファスト映画と呼ばれる5分ほどにまとめたあらすじ動画を見てから、映画館に行くらしい。

結末がわかっていたら興ざめだろと思うのは、年寄りのたわごとです。

時間とお金をかけて観てつまらなかったら無駄なので、確実に面白いと思うものにしか時間をかけないという理屈があるようです。

映画を倍速で観るという行動も話題になりました。これも、映画を、監督の意図した通りに楽しむという気持ちはさらさらなくて、情報として処理しようという行動です。

こういう話を聞くと、今の若者は賢いんだなーと思いますね。

人間は、欠乏するものを大切にする習性がありますから、若い人がお金の使い途に慎重になるのはわかります。

が、極端に時間を重視する姿勢をみていると、実は時間も欠乏しているということを現代の若者はよく理解しているということですよ。

私の若い頃は、時間だけは有り余っていると錯覚していましたからね。

そんなことはない。この歳になればわかりますが、人生に有り余った時間なんてありません。何かを為そうとすれば、与えられた時間では足りないことが殆どです。

若くしてそこに気付いているのだから、賢いなあと思う次第です。

前向きか、後ろ向きか


「技芸の道は長く、人生は短い」と嘆いたのは、ファウストです。(ゲーテの戯曲の登場人物)

ファウストは、限られた人生の中で目標を達成できないので、悪魔と契約し、魂と引き換えに、人生を引き伸ばします。

ただ現実には、便利な悪魔などいませんので、我々は、自分の人生と折り合いをつけなければなりません。

その折り合いの付け方が、その人の個性が現れるところになります。



この記事を読むと、Z世代の特徴は、プライベートを大切にすることと、コスパを重視することです。

ただ、一概にコスパといっても、その中身は様々です。

どうせ仕事を熱心にしても大したリターンはないのだから適当に済ませてプライベートを充実させようというコスパもあります。

その逆に、この程度の楽な仕事では自分のためにならない、もっと勉強になる時間を過ごし最大のリターンを得たいというコスパもあります。

いわば、前者は「後ろ向きのコスパ」であり、後者は「前向きのコスパ」です。

いや、後ろ向きだから悪くて、前向きだからいいという意味ではありませんよ。要は、その人が、何に重きを置いているかです。

余計な負荷なく、心穏やかに波風立てず、そこそこ楽しくできれば満足だと考える人なら、後ろ向きのコスパをとるべきです。

それなりの苦難を乗り越えても大きなリターンを得たいと考える人なら、前向きのコスパをとることでしょう。


あるいは、仕事に後ろ向きのコスパをとる人でも、プライベートのボランティア活動では前向きのコスパをとる方もいるでしょう。

仕事に熱心でないからダメと決めつけるわけにはいきません。人生の価値など主観的なものですからね。

ちなみに、私の会社の同期は、そろそろ定年を迎える時期ですが、ものすごく一所懸命に仕事をしてきた人と、仕事は適当にそれ以外を充実させてきた人、どちらが正解だったかなんて判定できません。

結局は、自分が人生にどう向き合うかという信条の問題です。

人生の価値をどう捉えるか


先日、ある若い人を話す機会があり、話の流れで「若いうちに資格試験の勉強でもするといいよ。頭も柔軟で記憶力もいいから受かりやすいと思うよ」と言いました。

すると、その人は「苦労して勉強しても、もし合格しなければ、その苦労と時間が無駄になる。そんなリスクのあることはできない」という趣旨の返答をされました。

余計なアドバイスをしたもんだと反省しつつも、その割り切りの明快さにはいたく感心しました。

翻って、還暦に近い今になっても、性懲りなく目標を立てて、達成しようとしている自分は何なのかと顧みました。

仮に達成したとしてそれが自分の人生にどれほどのリターンをもたらすのか。ただの自己満足でしかないのではないか。

これは、もうサガというしかありませんね。

やる、やらないは、自分で決めること。それ以上でも以下でもない。自己満足上等。文句言われる筋合いはない。と開き直っておきましょう。

ちなみに、戯曲の主人公ファウストは、目標に向かって努力する過程こそが人生の価値だという悟りを得て、神に救われます。


最近、コスパがいい、悪い、という言い方をよく聞きます。

若い世代が特に気にするそうではないですか。

映画でもファスト映画と呼ばれる5分ほどにまとめたあらすじ動画を見てから、映画館に行くらしい。

結末がわかっていたら興ざめだろと思うのは、年寄りのたわごとです。

時間とお金をかけて観てつまらなかったら無駄なので、確実に面白いと思うものにしか時間をかけないという理屈があるようです。

映画を倍速で観るという行動も話題になりました。これも、映画を、監督の意図した通りに楽しむという気持ちはさらさらなくて、情報として処理しようという行動です。

こういう話を聞くと、今の若者は賢いんだなーと思いますね。

人間は、欠乏するものを大切にする習性がありますから、若い人がお金の使い途に慎重になるのはわかります。

が、極端に時間を重視する姿勢をみていると、実は時間も欠乏しているということを現代の若者はよく理解しているということですよ。

私の若い頃は、時間だけは有り余っていると錯覚していましたからね。

そんなことはない。この歳になればわかりますが、人生に有り余った時間なんてありません。何かを為そうとすれば、与えられた時間では足りないことが殆どです。

若くしてそこに気付いているのだから、賢いなあと思う次第です。

前向きか、後ろ向きか


「技芸の道は長く、人生は短い」と嘆いたのは、ファウストです。(ゲーテの戯曲の登場人物)

ファウストは、限られた人生の中で目標を達成できないので、悪魔と契約し、魂と引き換えに、人生を引き伸ばします。

ただ現実には、便利な悪魔などいませんので、我々は、自分の人生と折り合いをつけなければなりません。

その折り合いの付け方が、その人の個性が現れるところになります。



この記事を読むと、Z世代の特徴は、プライベートを大切にすることと、コスパを重視することです。

ただ、一概にコスパといっても、その中身は様々です。

どうせ仕事を熱心にしても大したリターンはないのだから適当に済ませてプライベートを充実させようというコスパもあります。

その逆に、この程度の楽な仕事では自分のためにならない、もっと勉強になる時間を過ごし最大のリターンを得たいというコスパもあります。

いわば、前者は「後ろ向きのコスパ」であり、後者は「前向きのコスパ」です。

いや、後ろ向きだから悪くて、前向きだからいいという意味ではありませんよ。要は、その人が、何に重きを置いているかです。

余計な負荷なく、心穏やかに波風立てず、そこそこ楽しくできれば満足だと考える人なら、後ろ向きのコスパをとるべきです。

それなりの苦難を乗り越えても大きなリターンを得たいと考える人なら、前向きのコスパをとることでしょう。


あるいは、仕事に後ろ向きのコスパをとる人でも、プライベートのボランティア活動では前向きのコスパをとる方もいるでしょう。

仕事に熱心でないからダメと決めつけるわけにはいきません。人生の価値など主観的なものですからね。

ちなみに、私の会社の同期は、そろそろ定年を迎える時期ですが、ものすごく一所懸命に仕事をしてきた人と、仕事は適当にそれ以外を充実させてきた人、どちらが正解だったかなんて判定できません。

結局は、自分が人生にどう向き合うかという信条の問題です。

人生の価値をどう捉えるか


先日、ある若い人を話す機会があり、話の流れで「若いうちに資格試験の勉強でもするといいよ。頭も柔軟で記憶力もいいから受かりやすいと思うよ」と言いました。

すると、その人は「苦労して勉強しても、もし合格しなければ、その苦労と時間が無駄になる。そんなリスクのあることはできない」という趣旨の返答をされました。

余計なアドバイスをしたもんだと反省しつつも、その割り切りの明快さにはいたく感心しました。

翻って、還暦に近い今になっても、性懲りなく目標を立てて、達成しようとしている自分は何なのかと顧みました。

仮に達成したとしてそれが自分の人生にどれほどのリターンをもたらすのか。ただの自己満足でしかないのではないか。

これは、もうサガというしかありませんね。

やる、やらないは、自分で決めること。それ以上でも以下でもない。自己満足上等。文句言われる筋合いはない。と開き直っておきましょう。

ちなみに、戯曲の主人公ファウストは、目標に向かって努力する過程こそが人生の価値だという悟りを得て、神に救われます。


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