直木賞作家 今村翔吾は、なぜ書店経営に乗り出したのか?

2024.11.07

ノリに乗っている小説家


先月の「戦略勉強会」では、直木賞作家今村翔吾氏の書店経営についてとり上げました。


今村翔吾氏は、いま、ノリに乗っている時代・歴史小説作家です。

デビューしたのが2017年。それから5年後の2022年に直木賞を受賞。

とにかく筆が早く、既に40冊近く出版されています。直木賞以外にも様々な文学賞を受賞されています。まだ40歳ですので、活躍はこれからでしょう。

今村氏が面白いのは、作家活動以外にも精力的に動かれていることです。

その一つが書店経営です。

大阪、佐賀、東京で、本丸書店を開業されています。

なぜ大活躍中の作家が、書店経営に乗り出したのでしょうか。


シェア型書店+コミュニティビジネス


本丸書店は、通常の本屋さんと違って、棚を作家や企業に貸し出すシェア型書店です。

月4850円~9350円のサブスク契約で、棚を一枠借りることができます。

雑貨などにたまにあるビジネスモデルですね。

利用者は、借りた棚に自分の好きな本を置けます。自費出版した本を並べてもいいでしょうし、推しの本を並べてもいい。企業が自社PRのために使用してもいい。

クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏と提携しており、店内のデザインは佐藤氏が手掛けたものなのでしょう。

いい感じにクールな店内に自分の好きな本を並べられるのだから、価値があると思えます。


棚の値段を考えると、利用者がそこで利益を上げるのは難しいでしょう。

利用者は棚を、PRの場であるか、自己実現の場として使用することになります。

今村氏は、このビジネスのもう一つの側面を「本が好きな人たちのコミュニティ」として、棚主限定で年12回のイベント(作家のトークショーやサイン会など)を開催するとしています。

年間約9万円から11万円で、オフ会込みの本好きコミュニティに参加できるとすれば、悪い取引ではないように思えます。

本丸書店は、今のところ、黒字を維持しているようです。


トッププレイヤーとしての使命感


今村氏がこのようなビジネスを手掛けるのは、出版業界を盛り上げたいという気概があるからです。

出版が斜陽産業であることは、周知の事実です。若者の活字離れが進み、もはや回復は手遅れといった感があります。

その中に身を置く今村氏とすれば、死活問題です。もしかしたら、今村氏のようなトップ作家は生き残れるかも知れないが、縮小市場では競争は激しくなるばかりだし、どれだけ勝っても実入りは少なくなります。

どの業界にあってもトッププレイヤーは、市場そのものを拡大発展させていく使命があります。今村氏が産業全体を盛り上げようとするのは至極健全な使命感です。

私は今村翔吾氏のYoutubeやインタビュー記事なども拝見しましたが、一作家に止まらない問題意識をお持ちの方だとお見受けしました。

時代小説作家として女性の読者を増やすにはどうすればいいのか。活字離れの若者に本を読んでもらうためにはどうすればいいのか。

それこそ、Netflixのような配信動画や、Tiktokのようなショート動画を研究し、その方法論を自分の小説にとりいれ、マーケティングの参考にしていると発言していました。

そのバイタリティには感心しますし、作家としての能力が充分ありつつ、マーケティングの才覚もあるスケールの大きさに驚きました。

上の記事によると、新人作家の育成も手掛けており、将来的にはインバウンド向けの歴史テーマパーク構想も持っているとのこと。

そのビジョンの大きさは稀有です。ビジネスは浮き沈みがあるものですが、そんなこと気にせずに、ビジョンの達成に向けて邁進していただきたいものだと思います。




ノリに乗っている小説家


先月の「戦略勉強会」では、直木賞作家今村翔吾氏の書店経営についてとり上げました。


今村翔吾氏は、いま、ノリに乗っている時代・歴史小説作家です。

デビューしたのが2017年。それから5年後の2022年に直木賞を受賞。

とにかく筆が早く、既に40冊近く出版されています。直木賞以外にも様々な文学賞を受賞されています。まだ40歳ですので、活躍はこれからでしょう。

今村氏が面白いのは、作家活動以外にも精力的に動かれていることです。

その一つが書店経営です。

大阪、佐賀、東京で、本丸書店を開業されています。

なぜ大活躍中の作家が、書店経営に乗り出したのでしょうか。


シェア型書店+コミュニティビジネス


本丸書店は、通常の本屋さんと違って、棚を作家や企業に貸し出すシェア型書店です。

月4850円~9350円のサブスク契約で、棚を一枠借りることができます。

雑貨などにたまにあるビジネスモデルですね。

利用者は、借りた棚に自分の好きな本を置けます。自費出版した本を並べてもいいでしょうし、推しの本を並べてもいい。企業が自社PRのために使用してもいい。

クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏と提携しており、店内のデザインは佐藤氏が手掛けたものなのでしょう。

いい感じにクールな店内に自分の好きな本を並べられるのだから、価値があると思えます。


棚の値段を考えると、利用者がそこで利益を上げるのは難しいでしょう。

利用者は棚を、PRの場であるか、自己実現の場として使用することになります。

今村氏は、このビジネスのもう一つの側面を「本が好きな人たちのコミュニティ」として、棚主限定で年12回のイベント(作家のトークショーやサイン会など)を開催するとしています。

年間約9万円から11万円で、オフ会込みの本好きコミュニティに参加できるとすれば、悪い取引ではないように思えます。

本丸書店は、今のところ、黒字を維持しているようです。


トッププレイヤーとしての使命感


今村氏がこのようなビジネスを手掛けるのは、出版業界を盛り上げたいという気概があるからです。

出版が斜陽産業であることは、周知の事実です。若者の活字離れが進み、もはや回復は手遅れといった感があります。

その中に身を置く今村氏とすれば、死活問題です。もしかしたら、今村氏のようなトップ作家は生き残れるかも知れないが、縮小市場では競争は激しくなるばかりだし、どれだけ勝っても実入りは少なくなります。

どの業界にあってもトッププレイヤーは、市場そのものを拡大発展させていく使命があります。今村氏が産業全体を盛り上げようとするのは至極健全な使命感です。

私は今村翔吾氏のYoutubeやインタビュー記事なども拝見しましたが、一作家に止まらない問題意識をお持ちの方だとお見受けしました。

時代小説作家として女性の読者を増やすにはどうすればいいのか。活字離れの若者に本を読んでもらうためにはどうすればいいのか。

それこそ、Netflixのような配信動画や、Tiktokのようなショート動画を研究し、その方法論を自分の小説にとりいれ、マーケティングの参考にしていると発言していました。

そのバイタリティには感心しますし、作家としての能力が充分ありつつ、マーケティングの才覚もあるスケールの大きさに驚きました。

上の記事によると、新人作家の育成も手掛けており、将来的にはインバウンド向けの歴史テーマパーク構想も持っているとのこと。

そのビジョンの大きさは稀有です。ビジネスは浮き沈みがあるものですが、そんなこと気にせずに、ビジョンの達成に向けて邁進していただきたいものだと思います。




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