BYDの日本市場参入にどう対抗するのか?

2025.08.05

7月の戦略勉強会で、BYDの日本参入戦略についてとりあげました。

BYD「軽」で日本流徹底、聖域に挑む EVで実質100万円台めざす
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC178Q40X10C25A6000000/

↑これを受けてのnote記事
「日本は輸入車の墓場」と言われたけれど。BYDが仕掛ける"戦わずに勝つ"戦略
https://note.com/komazo/n/naf26fe0fb96e


中国のEVメーカー「BYD」が、どうやら日本の軽自動車市場に本気で乗り込んでくるらしい。

これ、けっこう大ごとです。

なにせBYDといえば、世界的にはテスラと並ぶEVの巨人。バッテリーから車体まで、自前で作れちゃう会社です。

それが、日本の聖域といわれた"軽自動車"の市場に参入する――さて、日本のメーカーはどうするんでしょうか。


■日本勢の「強み」が、今は「重荷」に?

軽自動車って、日本の知恵の結晶みたいなもの。狭い道もスイスイ走れて、燃費もよくて、価格もお手頃です。

でも、その裏には「系列企業との長い付き合い」や「独特な部品の作り方」など、長年の慣習がたくさんあります。

それって一見、強みに見えるけど......実は新しい時代に向けて身軽に動くのが難しいという問題もあります。

たとえばBYDは、すでにEVに最適化された"最初からEV用"の設計で勝負してきます。

それに対して、日本勢は「今ある車に電池を積んで、なんとかEVっぽくしよう」としてる面も否めません。


■日和見的な日本勢の隙をつくBYD

日本メーカーがこれまでEVに及び腰だったのは、ひとつは、日本の強みである「系列」や「すり合わせ技術」が、使えなくなるからだと言われています。

そもそもEVが普及するかどうかもわからない。

(欧米のメーカーは、トヨタ対策として、EV推進を決めたものの、中国企業が強すぎるので、やっぱりEVやめようか...と考え始めています)

だからトヨタも、EVなのか、燃料電池車なのか、趨勢を見極めようとしているようです。

そんな日和見的態度を突いてきたのが、今回のBYDです。

日本メーカーがどっちつかずなら、自分たちの手でインフラ整備し、日本にEVを普及させてやろうという本気度MAXの戦略です。


■日本勢にできること

そんなBYDの動きに、日本勢(特にトヨタ)がどう動くのか、現時点ではわかりませんが、対抗するとすれば、どのような方法があるのか。

それを私なりに考えてみたいと思います。


(1)「みんなで組んで戦う」という選択肢

まず大事なのは、ひとつの会社でなんとかしようとしないことです

軽EVは、技術的にもコスト的にもハードルが高いので、業界全体で協力しあうことが必要です。

たとえば――

とりあえずは、トヨタが得意なハイブリッド車(HV)をベースに、当面の対抗策をとる。(トヨタが技術供与する)

逆にEVについては、あえてBYD以外の中国メーカーや、テスラなどと手を組んで技術を取り入れ、早急に日本製EVを作る。

自動車産業において「全部自前でやる」時代は終わりつつあります

これからは強みを持ち寄る"連携プレー"が鍵になります。


(2)「地元での強さ」をもっと生かそう

日本の自動車メーカーは、全国に販売店や整備工場があります。

この"地元に強い"という力は、海外メーカーにはマネできません

「困ったらすぐ相談できる」「顔の見える人から買える」って、安心感があります。

とくに高齢者や子育て世代には、この安心感が大きい。

つまり、全国の地域密着ネットワークをフル活用して、小さなエリアごとに勝つ。

これでBYDの局地戦に対抗します。


(3)「とにかく安く」ではなく、「値ごろ感」を見極める

BYDは、実質100万円のEVを導入するといいます。

確かに安さは脅威ですが、日本メーカーまで100万円のEVを目指す必要はありません。

日本の消費者は、

「安心して長く乗れる」

「燃費がいいだけでなく、使い勝手もいい」

「困った時はすぐに対応してくれるる」

というように"目に見えない価値"を求めています。

100万円のBYDに対して、150万円なら許容できるか。170万円ならどうか。という範囲があるはずです。

この値ごろ感を見極めていきましょう。


(4)「EV時代の土台」=充電&整備のネットワークを押さえる

もうひとつ大事なのは、EVを取り巻く環境=インフラです。

どこで充電できるか?

どこで修理や点検を受けられるか?

こういうネットワークがなければ、どんなに安いEVでも普及しません。

BYDはここを狙ってきます。

だから、BYDの投資を利用できるところは利用する。要するに、規格を統一して、日本車も利用できるようにすることです。

あるいは逆に、BYDの車には使えない規格を日本車が打ち出し、締め出すことも考えられます。

日本には、ガソリンスタンドや販売店、修理店、あるいは量販店の駐車場など充電機を設置できる場所が多くありますから、そこを日本勢で押さえてしまい、BYDを除け者にするわけです。

いささか汚い方法ですが、兵法に鑑みれば、これぐらい当たり前です。欧州など日本車を締め出すために散々やってきたことですから、非道だとまでは言えますまい。


■あなたなら、どう考えますか?

いかがでしょうか?

「安くてすごいEVが来た!これはもう負けだ!」とあきらめるのではなく、

「自分たちにしかできない戦い方は何か?」と考える――必ず活路があるはずです。


もしあなたが自動車メーカーの経営者だったら、

あるいは地域の販売店の人だったら――

BYDの参入に、どう立ち向かいますか?

どんな戦い方が、あなたの「強み」を一番生かせるでしょうか? 





7月の戦略勉強会で、BYDの日本参入戦略についてとりあげました。

BYD「軽」で日本流徹底、聖域に挑む EVで実質100万円台めざす
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC178Q40X10C25A6000000/

↑これを受けてのnote記事
「日本は輸入車の墓場」と言われたけれど。BYDが仕掛ける"戦わずに勝つ"戦略
https://note.com/komazo/n/naf26fe0fb96e


中国のEVメーカー「BYD」が、どうやら日本の軽自動車市場に本気で乗り込んでくるらしい。

これ、けっこう大ごとです。

なにせBYDといえば、世界的にはテスラと並ぶEVの巨人。バッテリーから車体まで、自前で作れちゃう会社です。

それが、日本の聖域といわれた"軽自動車"の市場に参入する――さて、日本のメーカーはどうするんでしょうか。


■日本勢の「強み」が、今は「重荷」に?

軽自動車って、日本の知恵の結晶みたいなもの。狭い道もスイスイ走れて、燃費もよくて、価格もお手頃です。

でも、その裏には「系列企業との長い付き合い」や「独特な部品の作り方」など、長年の慣習がたくさんあります。

それって一見、強みに見えるけど......実は新しい時代に向けて身軽に動くのが難しいという問題もあります。

たとえばBYDは、すでにEVに最適化された"最初からEV用"の設計で勝負してきます。

それに対して、日本勢は「今ある車に電池を積んで、なんとかEVっぽくしよう」としてる面も否めません。


■日和見的な日本勢の隙をつくBYD

日本メーカーがこれまでEVに及び腰だったのは、ひとつは、日本の強みである「系列」や「すり合わせ技術」が、使えなくなるからだと言われています。

そもそもEVが普及するかどうかもわからない。

(欧米のメーカーは、トヨタ対策として、EV推進を決めたものの、中国企業が強すぎるので、やっぱりEVやめようか...と考え始めています)

だからトヨタも、EVなのか、燃料電池車なのか、趨勢を見極めようとしているようです。

そんな日和見的態度を突いてきたのが、今回のBYDです。

日本メーカーがどっちつかずなら、自分たちの手でインフラ整備し、日本にEVを普及させてやろうという本気度MAXの戦略です。


■日本勢にできること

そんなBYDの動きに、日本勢(特にトヨタ)がどう動くのか、現時点ではわかりませんが、対抗するとすれば、どのような方法があるのか。

それを私なりに考えてみたいと思います。


(1)「みんなで組んで戦う」という選択肢

まず大事なのは、ひとつの会社でなんとかしようとしないことです

軽EVは、技術的にもコスト的にもハードルが高いので、業界全体で協力しあうことが必要です。

たとえば――

とりあえずは、トヨタが得意なハイブリッド車(HV)をベースに、当面の対抗策をとる。(トヨタが技術供与する)

逆にEVについては、あえてBYD以外の中国メーカーや、テスラなどと手を組んで技術を取り入れ、早急に日本製EVを作る。

自動車産業において「全部自前でやる」時代は終わりつつあります

これからは強みを持ち寄る"連携プレー"が鍵になります。


(2)「地元での強さ」をもっと生かそう

日本の自動車メーカーは、全国に販売店や整備工場があります。

この"地元に強い"という力は、海外メーカーにはマネできません

「困ったらすぐ相談できる」「顔の見える人から買える」って、安心感があります。

とくに高齢者や子育て世代には、この安心感が大きい。

つまり、全国の地域密着ネットワークをフル活用して、小さなエリアごとに勝つ。

これでBYDの局地戦に対抗します。


(3)「とにかく安く」ではなく、「値ごろ感」を見極める

BYDは、実質100万円のEVを導入するといいます。

確かに安さは脅威ですが、日本メーカーまで100万円のEVを目指す必要はありません。

日本の消費者は、

「安心して長く乗れる」

「燃費がいいだけでなく、使い勝手もいい」

「困った時はすぐに対応してくれるる」

というように"目に見えない価値"を求めています。

100万円のBYDに対して、150万円なら許容できるか。170万円ならどうか。という範囲があるはずです。

この値ごろ感を見極めていきましょう。


(4)「EV時代の土台」=充電&整備のネットワークを押さえる

もうひとつ大事なのは、EVを取り巻く環境=インフラです。

どこで充電できるか?

どこで修理や点検を受けられるか?

こういうネットワークがなければ、どんなに安いEVでも普及しません。

BYDはここを狙ってきます。

だから、BYDの投資を利用できるところは利用する。要するに、規格を統一して、日本車も利用できるようにすることです。

あるいは逆に、BYDの車には使えない規格を日本車が打ち出し、締め出すことも考えられます。

日本には、ガソリンスタンドや販売店、修理店、あるいは量販店の駐車場など充電機を設置できる場所が多くありますから、そこを日本勢で押さえてしまい、BYDを除け者にするわけです。

いささか汚い方法ですが、兵法に鑑みれば、これぐらい当たり前です。欧州など日本車を締め出すために散々やってきたことですから、非道だとまでは言えますまい。


■あなたなら、どう考えますか?

いかがでしょうか?

「安くてすごいEVが来た!これはもう負けだ!」とあきらめるのではなく、

「自分たちにしかできない戦い方は何か?」と考える――必ず活路があるはずです。


もしあなたが自動車メーカーの経営者だったら、

あるいは地域の販売店の人だったら――

BYDの参入に、どう立ち向かいますか?

どんな戦い方が、あなたの「強み」を一番生かせるでしょうか? 





コラム

blog

代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
世の中の事象を営業戦略コンサルタントの視点から斬っていきます。(無料)

記事一覧

blog

記事一覧

Customer Voice

記事一覧

このページのTOPへ