ソニーの成功はこれでよかったのか?

2025.09.06



先月の「戦略勉強会」では、ソニーを取り上げました。

ソニーの業績は今、非常に好調です。

ゲーム、音楽、映画、アニメといったコンテンツが世界中でヒットし、売上は11兆円を超え、営業利益も過去最高水準にあります。日本企業の中では珍しく「グローバルで稼ぐ力」を持った企業に変貌しました。


しかし私は、ときどきこんな問いを自分に投げかけます。

「ソニーは本当にこれでよかったのか?」


平井一夫が選んだ「現実的な改革」


2012年に社長に就任した平井一夫氏がやったのは、きわめて現実的で冷徹な改革でした。

赤字続きのPC事業(VAIO)は売却

テレビ事業はリストラと分社化で縮小

携帯電話もグローバルでのシェアを失い、国内中心に絞り込み

一方で、将来性のある分野にリソースを集中しました。

ゲーム(PlayStation)

音楽・映画といったコンテンツ事業

スマホ用イメージセンサー(半導体)

つまり「捨てるものは捨て、勝てる市場に資源を投下する」という「選択と集中」戦略です。

この冷静な判断が、ソニーを赤字体質から救い、今日の好調につながっています。


もしソニーがiPhoneを作っていたら


では逆に、もしソニーが「iPhone級の製品」を生み出していたらどうなっていたでしょうか。

ソニーは、音楽プレーヤー(ウォークマン)、デジカメ、携帯電話、ゲーム機といった要素技術をすでに持っていました。これを統合すれば、「携帯電話で音楽もネットも楽しめる万能デバイス」は作れたはずです。

もし2000年代前半に「ソニー版スマートフォン」が出ていたら――

世界標準のOSは「iOS」ではなく「Sony OS」になっていたかもしれない。

音楽はiTunesではなく「Sony Music Store」で買うのが当たり前になっていたかもしれない。

NetflixやSpotifyが登場する前に、ソニーが映像・音楽の配信プラットフォームを握っていたかもしれない。

そして何より、ソニーは「アップルを超える企業」として、テクノロジーとエンタメを支配する存在になっていたかもしれない。

これは決して夢物語ではありません。技術もブランドも、ユーザー基盤も、全部ソニーは持っていたのです。


なぜ実現できなかったのか


では、なぜソニーはその道を歩めなかったのでしょうか。理由は大きく三つあります。

・縦割り組織の壁

音楽部門、映画部門、エレクトロニクス部門がバラバラで、全社横断の製品が作れなかった。

ウォークマンの技術はあっても、携帯電話と統合するには部門間調整が必要で、それができなかったのです。

・著作権ビジネスとの衝突

ソニーは音楽レーベルを抱えていたため、ユーザーが自由に音楽を取り込める機器を作ることに抵抗がありました。

一方のアップルは「iTunes」でレコード会社と交渉し、ハードとソフトを一体化する大胆さを持っていました。

・経営資源の分散

テレビやPCなど赤字事業の穴埋めに追われ、未来への集中投資ができなかった。

平井改革以前のソニーは「なんでもやる総合電機メーカー」になっており、Appleのように一つの大きな賭けに出ることができなかったのです。

つまり、「技術はあったが、組織と戦略がなかった」ということです。


成功の形は一つではない


とはいえ、今のソニーの成功もまた事実です。

低迷期から立ち直り、ゲーム・音楽・映画・アニメを核にした世界的なIP企業へ進化したのは、経営史的に見ても見事な逆転劇です。

けれども、もしiPhone級の製品を生み出していたら、ソニーは今日の「好調なコンテンツ企業」ではなく、「世界をリードするプラットフォーム企業」になっていたかもしれない。

これは「失われた未来」ですが、同時に企業にとっての大きな教訓でもあります。


今日の問いかけ


企業にとって、未来は一つではありません。

ソニーは「現実的な再建路線」で成功しましたが、もっと大きな未来もあり得た。

私たち自身のビジネスに置き換えれば、

「現実的に残すべきものは何か」

「大胆に捨てるべきものは何か」

「もしやれば世界を変えられる賭けはないか」

この三つの問いを常に持つことが大事です。




先月の「戦略勉強会」では、ソニーを取り上げました。

ソニーの業績は今、非常に好調です。

ゲーム、音楽、映画、アニメといったコンテンツが世界中でヒットし、売上は11兆円を超え、営業利益も過去最高水準にあります。日本企業の中では珍しく「グローバルで稼ぐ力」を持った企業に変貌しました。


しかし私は、ときどきこんな問いを自分に投げかけます。

「ソニーは本当にこれでよかったのか?」


平井一夫が選んだ「現実的な改革」


2012年に社長に就任した平井一夫氏がやったのは、きわめて現実的で冷徹な改革でした。

赤字続きのPC事業(VAIO)は売却

テレビ事業はリストラと分社化で縮小

携帯電話もグローバルでのシェアを失い、国内中心に絞り込み

一方で、将来性のある分野にリソースを集中しました。

ゲーム(PlayStation)

音楽・映画といったコンテンツ事業

スマホ用イメージセンサー(半導体)

つまり「捨てるものは捨て、勝てる市場に資源を投下する」という「選択と集中」戦略です。

この冷静な判断が、ソニーを赤字体質から救い、今日の好調につながっています。


もしソニーがiPhoneを作っていたら


では逆に、もしソニーが「iPhone級の製品」を生み出していたらどうなっていたでしょうか。

ソニーは、音楽プレーヤー(ウォークマン)、デジカメ、携帯電話、ゲーム機といった要素技術をすでに持っていました。これを統合すれば、「携帯電話で音楽もネットも楽しめる万能デバイス」は作れたはずです。

もし2000年代前半に「ソニー版スマートフォン」が出ていたら――

世界標準のOSは「iOS」ではなく「Sony OS」になっていたかもしれない。

音楽はiTunesではなく「Sony Music Store」で買うのが当たり前になっていたかもしれない。

NetflixやSpotifyが登場する前に、ソニーが映像・音楽の配信プラットフォームを握っていたかもしれない。

そして何より、ソニーは「アップルを超える企業」として、テクノロジーとエンタメを支配する存在になっていたかもしれない。

これは決して夢物語ではありません。技術もブランドも、ユーザー基盤も、全部ソニーは持っていたのです。


なぜ実現できなかったのか


では、なぜソニーはその道を歩めなかったのでしょうか。理由は大きく三つあります。

・縦割り組織の壁

音楽部門、映画部門、エレクトロニクス部門がバラバラで、全社横断の製品が作れなかった。

ウォークマンの技術はあっても、携帯電話と統合するには部門間調整が必要で、それができなかったのです。

・著作権ビジネスとの衝突

ソニーは音楽レーベルを抱えていたため、ユーザーが自由に音楽を取り込める機器を作ることに抵抗がありました。

一方のアップルは「iTunes」でレコード会社と交渉し、ハードとソフトを一体化する大胆さを持っていました。

・経営資源の分散

テレビやPCなど赤字事業の穴埋めに追われ、未来への集中投資ができなかった。

平井改革以前のソニーは「なんでもやる総合電機メーカー」になっており、Appleのように一つの大きな賭けに出ることができなかったのです。

つまり、「技術はあったが、組織と戦略がなかった」ということです。


成功の形は一つではない


とはいえ、今のソニーの成功もまた事実です。

低迷期から立ち直り、ゲーム・音楽・映画・アニメを核にした世界的なIP企業へ進化したのは、経営史的に見ても見事な逆転劇です。

けれども、もしiPhone級の製品を生み出していたら、ソニーは今日の「好調なコンテンツ企業」ではなく、「世界をリードするプラットフォーム企業」になっていたかもしれない。

これは「失われた未来」ですが、同時に企業にとっての大きな教訓でもあります。


今日の問いかけ


企業にとって、未来は一つではありません。

ソニーは「現実的な再建路線」で成功しましたが、もっと大きな未来もあり得た。

私たち自身のビジネスに置き換えれば、

「現実的に残すべきものは何か」

「大胆に捨てるべきものは何か」

「もしやれば世界を変えられる賭けはないか」

この三つの問いを常に持つことが大事です。


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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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